七
八-七
うなだれていた次郎も、意を決したのか参加を申し出た。
「ワシも連れて行ってくれ、足でまといにはならんで。何も語ることはできんが、身辺の世話ならできる。」
骨が詰められた手箱の上で、三人が手を固く握り合った。
取り巻いている村の衆は、誰もが砂に膝を付けて、無言で手を合わせている。
磯八が手箱を胸に抱えた。作佐は手箱に入り切らない骨を残らず拾い、潮に洗われていた着物に包み込んで、次郎と二人で半分ずつ抱えた。
三人は天に向かって、大声で泣きながら浜を歩く。その後ろに、百人を数える村の衆が、頭を垂れて連なる。
その足跡は裏島寺がある山手に、筋となって残った。
この星には、決して不必要なものはない。カビだって、ペンペン草だって、蚊もアブラ虫も……。
全ての生き物が、それぞれの役割分担を果たしつつ、直接・間接的に共存しながら、力強く子孫を継承している。
およそ一千万年前、遠くの星からゼクスが飛来した。理由はともかく、この星に無断で侵入してきた生命体なので、この星の抗体にあたる細菌によって滅亡の危機に瀕した。
ゼクスはこの星の生態系が〝雌雄二性交配系〟であることを解明し、現地に棲む雌猿トゥルーを確保して絶滅を食い止めた。
子孫はトゥルーの血を受け継いでいるが、先住の動物には見られない風貌で、走れば遅くて力も弱く、目も鼻も耳も利かず、そのため自作した道具や武器を使って生き延びた。
出現して、わずか一千万年ほどの短期間に、驚異的な増殖と進化を見せて、この星を席巻するほどの分布を果たした新種の生き物が、我々なのだ。
まだ未完成の人間は、発展途上中であるのに、勘違い甚だしく人間だけの都合で環境を変えていく。
イタチのクンクは「このまま人間が増え続けたら、ボク達は全滅させられるかもしれない。」と嘆き、青大将のボウも同感だった。
ゼクスは「人間が、この星に必要な存在になる余地がある限り、温かく守ってくれますが、見限った場合は容赦しないでしょう。」と言った。
先住の動物や植物も、大地も海も空も顧みない、傍若無人な振る舞いと、自然破壊。
好き放題の行動は目に余るものがあり、どの動物も植物も「人間なんか消えてしまえ。」と怒っている。
考えてみよう、もしも人間が存在しない世界が、自然の理に叶って豊かであるなら、我々に未来はあるだうか……。
太郎は海底で、自然界の仕組みや恵みを教わり、動物や植物、川や海と共存する大切さを痛感した。
地上に帰って各地を遊説する決意をしたが、はからずも時という自然の摂理によって、志は閉ざされた。だが磯八、作佐、次郎が、太郎の志を引き継いで旅立った。
三人の努力によって、この星へ無断侵入した、ゼクスの祖先であることを自覚し、先住の生き物達を敬うだろう。
そして限りない恵みを与えてくれる植物や、川や海や空に感謝してずっと大切にし、住みやすく暮らしやすい星にしていくだろう。
さらに祖先のゼクスから受け継いだ、優れた知恵と創造力を駆使して、この星に〝人間は必要な存在〟と認められ、他の動物・植物との正しい関係を作り出すだろう。
真説・うらしまの太郎 完
==============執筆後記==============
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