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真説・うらしまの太郎  作者: 川端 茂
86/86

八-七

 うなだれていた次郎(じろう)も、()を決したのか参加(さんか)(もう)()た。

「ワシも()れて行ってくれ、(あし)でまといにはならんで。何も(かた)ることはできんが、身辺(しんぺん)世話(せわ)ならできる。」

 骨が()められた手箱(てばこ)の上で、三人が手を固く(にぎ)り合った。


 取り()いている村の(しゅう)は、誰もが砂に(ひざ)()けて、無言(むごん)で手を合わせている。

 磯八(いそはち)手箱(てばこ)を胸に(かか)えた。作佐(さくざ)手箱(てばこ)に入り切らない(ほね)を残らず(ひろ)い、(しお)(あら)われていた着物に包み()んで、次郎(じろう)と二人で半分(はんぶん)ずつ(かか)えた。

 三人は(てん)に向かって、大声(おおごえ)で泣きながら浜を(ある)く。その(うし)ろに、百人(ひゃくにん)を数える村の(しゅう)が、頭を()れて(つら)なる。

 その足跡(あしあと)裏島寺(うらしまでら)がある山手(やまて)に、(すじ)となって残った。


 この星には、決して不必要(ふひつよう)なものはない。カビだって、ペンペン草だって、()もアブラ(むし)も……。

 全ての()(もの)が、それぞれの役割(やくわり)分担(ぶんたん)()たしつつ、直接(ちょくせつ)間接(かんせつ)(てき)共存(きょうぞん)しながら、力強(ちからづよ)子孫(しそん)継承(けいしょう)している。


 およそ一千(いっせん)万年(まんねん)(まえ)、遠くの星からゼクスが飛来(ひらい)した。理由(りゆう)はともかく、この星に無断(むだん)侵入(しんにゅう)してきた生命体(せいめいたい)なので、この星の抗体(こうたい)にあたる細菌(さいきん)によって滅亡(めつぼう)危機(きき)(ひん)した。

 ゼクスはこの星の生態系(せいたいけい)が〝雌雄(しゆう)二性(にせい)交配(こうはい)(けい)〟であることを解明し、現地(げんち)()雌猿(めすざる)トゥルーを確保(かくほ)して絶滅(ぜつめつ)(くい)()めた。

 子孫(しそん)はトゥルーの血を受け()いでいるが、先住(せんじゅう)の動物には()られない風貌(ふうぼう)で、走れば(おそ)くて力も(よわ)く、目も鼻も耳も()かず、そのため自作(じさく)した道具(どうぐ)武器(ぶき)を使って生き()びた。


 出現(しゅつげん)して、わずか一千(いっせん)万年(まんねん)ほどの短期間(たんきかん)に、驚異的(きょういてき)増殖(ぞうしょく)進化(しんか)を見せて、この星を席巻(せきかん)するほどの分布(ぶんぷ)を果たした新種(しんしゅ)()(もの)が、我々なのだ。

 まだ未完成(みかんせい)の人間は、発展(はってん)途上(とじょう)中であるのに、勘違(かんちが)(はなは)だしく人間だけの都合(つごう)で環境を変えていく。

 イタチのクンクは「このまま人間が()(つづ)けたら、ボク達は全滅(ぜんめつ)させられるかもしれない。」と(なげ)き、青大将(あおだいしょう)のボウも同感(どうかん)だった。

 ゼクスは「人間が、この星に必要(ひつよう)存在(そんざい)になる余地(よち)がある(かぎ)り、(あたた)かく守ってくれますが、見限(みかぎ)った場合は容赦(ようしゃ)しないでしょう。」と言った。


 先住(せんじゅう)の動物や植物も、大地も海も空も(かえり)みない、傍若(ぼうじゃく)無人(ぶじん)()()いと、自然(しぜん)破壊(はかい)

 好き放題(ほうだい)の行動は目に(あま)るものがあり、どの動物も植物も「人間なんか()えてしまえ。」と(おこ)っている。

 考えてみよう、もしも人間が存在しない世界(せかい)が、自然の()(かな)って(ゆた)かであるなら、我々に未来はあるだうか……。

 太郎は海底で、自然界(しぜんかい)仕組(しく)みや(めぐ)みを教わり、動物や植物、川や海と共存(きょうぞん)する大切さを痛感(つうかん)した。

 地上に帰って各地(かくち)遊説(ゆうぜい)する決意をしたが、はからずも時という自然の摂理(せつり)によって、()()ざされた。だが磯八、作佐、次郎が、太郎の()を引き()いで旅立()った。


 三人の努力(どりょく)によって、この星へ無断(むだん)侵入(しんにゅう)した、ゼクスの祖先(そせん)であることを自覚(じかく)し、先住(せんじゅう)()物達(ものたち)(うやま)うだろう。

 そして(かぎ)りない(めぐ)みを与えてくれる植物(しょくぶつ)や、川や海や空に感謝(かんしゃ)してずっと大切にし、()みやすく()らしやすい(ほし)にしていくだろう。


 さらに祖先(そせん)のゼクスから受け()いだ、(すぐ)れた知恵(ちえ)創造力(そうぞうりょく)駆使(くし)して、この星に〝人間は必要(ひつよう)存在(そんざい)〟と認められ、(ほか)動物(どうぶつ)植物(しょくぶつ)との正しい関係(かんけい)を作り出すだろう。


真説・うらしまの太郎 完



==============執筆後記==============


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