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ゴブリン討伐を始めた件

本職が忙しくて泣きそうです。

日曜日が一年続けばいいのにと思う今日この頃です…。

だんだんと村に近づき人間を追いかけていた者の全貌がつかめた。一言で言い表すと“theゴブリン”だ。薄汚い緑の肌に肋骨が浮き出た小さい体。そして手に握られている木でできた粗末な棍棒。


…にしても汚いな。


その小さな体を纏う布は擦り切れ破れ、泥などでドロドロになっていた。


「きゃぁぁぁぁぁあぁ!!!」


ゴブリンに追われていた村人らしき少女が悲鳴をあげた。


ゴブリンが手に持つ棍棒を振り上げ少女に今にも叩きつけようとしていた。


「ハク!飛べっ!!」


そう発した瞬間、ハクが跳躍した。いや、超躍した。一瞬でゴブリンが見えないくなってしまった。


「ーッ高すぎだっ!」


俺はハクから飛び降りゴブリンに向かって一直線に落下した。股がヒュンっという感覚に襲われる。効果は抜群だ。


もう少しでゴブリンの元へ辿り着くと言ったところでゴブリンは棍棒を振り下ろした。ドゴッっという音を立て少女の顔を殴り飛ばした。


その殴られた少女の顔は可愛い顔立ちをしていたのだが殴られた部分が赤く腫れ上がっていた。


ーーゴブリンごときが女の子を殴るだと?


そこで俺は何かのスイッチが入った。


「クソゴブリンぁあ!!!!」

「ギブォ?」


ゴブリンは頭上からの声に「なんだ?」的な感じに顔を向けてきた。美少女殴ってキョトンとしてんじゃねえよ。


「炎槍(フレイムランス)!!!」


無詠唱でいいのだがつい声に出してしまった。


空中で放った炎槍は、まるで矢のようにゴブリンに降り注いだ。直後にボボボッと焼ける音がしゴブリンは声を上げる間も無く塵となった。


ふぅ…またつまらぬ者を燃やしてしまった。


ゴブリンが先程までいた場所に風魔法を使い衝撃を和らげ綺麗に着地した。ビシッと腕を体操選手みたいにあげたい気分だ。


「大丈夫?」


未だビクビクしている少女に声をかけ、赤く腫れ上がった頬を回復(ヒール)してやる。


「あ、ありがとう…君は…?」

「一応冒険者やってます。」


美少女の質問に笑顔で答え冒険者カードを見せてあげた。これで信じてくれるだろう。


「私と年も変わらないくらいなのに…。それにさっきの魔法も。君、強いんだね!」

「たまたまですよ。」


そう。たまたま俺の目に留まったから助けただけの話だ。


「ふふ、たまたまであんな魔法は使えないと思うけど…。でもありがとう。」

「いえ、ゴブリン討伐が依頼ですから。」

「そうなの?じゃあ村に来るよね?お礼がしたいから家に来てくれないかな?」

「お礼なんていいですよ?」

「いいの!助けてくれたお礼はしなきゃ!」


なんだかんだと丸め込まれ結局お礼を受けることになってしまった。さすが美少女…。でも、助けた人にお礼をされると言うのは何とも気持ちがいい…。


なぜかハクが帰ってきてなかったので村の一番大きな建物の前で待っていてもらうことにした。


「遅いぞ、ハク。何をしてたんだ?」


美少女が立ち去ってから数分後にやっとハクが帰って来たのだが、1メートルくらいの鳥を口に咥えていた。


「うむ。空中で美味そうな鳥を見つけたから追いかけていたのだ。」


…空中で見つけてどう追いかけたのかが疑問だったのだが、美少女を待たせているのでここで時間を取るわけにもいかない。ハクにまたがり待ち合わせ場所へと向かった。


「すいません、待たせてしまって。」


声をかけた俺を見て。いや、俺が乗っているハクを見て、美少女は小さな悲鳴をあげていた。


「え、えっと…君の従魔なの…?」

「従魔?ハクはペットです。」


「ふふ、それを従魔っていうんだよ。こんな大きな魔獣を従魔にするなんて…。君は一体何者なのかな?」


あぁ。そうだ。自己紹介がまだだったようだ。


「サーベルトです。呼びにくければベルと呼んでください。」

「あっ、ベイス・リアナです、じゃなくて!ハァ…もういいよ…。」


何がいいのだろうか?それにしても今の俺とそう年齢は変わらないはずなのに随分しっかりしている。もしかして見た目は少女でも中身は大人なのだろうか?


「ロリババァですか?」

「え?」


思ったことをそのまま口に出すのは俺の悪い癖だ。危ない危ない。


「間違えました。何歳ですか?」


しっかり訂正し、もう一度質問し直す。

すると美少女は頬を膨らましジッと俺を見て腕を組んだ。


「君、女の子に年齢を聞くのはダメだよ?私だからいいけど!」


いいなら早く教えろよ。なんて思ってないからな?


「私は7歳だよ。君は?」


君君って…さっき名前教えたんだから名前呼んでほしいな…。


「リアナ。僕はサーベルトです。」


わざと呼び捨てで呼んでみた。年下に呼び捨てされるムカつきは、日本で体験したことがある。数え切れないほどにね!


「えっ」

「なんです?」


呼ばぬなら、とぼけてみせようサーベルト。


「い、今リアナって…」

「ダメです?じゃあリアナさん。僕は5歳です。」


おそらくだが俺の顔はいじめっ子の様な顔つきになっているだろう。会って数分の相手にこの顔は今後はやめておこう。


「リ、リアナでいいよ!って5歳!?」


なんだね。5歳に見えない。老けているとでも言いたいのかね?


「私より年下なのに魔法を使えてこんな大きな魔獣を従えるなんて…。」

「魔法なんて練習すれば誰でもできますよ。従魔は運が良かっただけです。」


あの森でハクに遭遇したことは運が良かった。


「そもそも魔獣を従魔にすること自体、凄いことなのに…。あ、ここが私の家だよ!」


話しているうちにリアナの家についたらしい。リアナの家は村の他の家と同じ様な見た目だった。


「お母さんっ!」


ドアを開けていきなりリアナは母親に向かってダイブしていた。そしてそのままスンスンと鼻をすすっていた。やはり所詮ゴブリンでも怖かったのだろう。


「えっと、君は?」


リアナに抱きつかれたままのリアナ母が俺に気づいた。ここはなんと言えばいいのだろうか。


「グスッ…ゴブリンに追いかけられて追いつかれた時に助けてくれたの。」


リアナ、ナイスだよ!自分で説明しちゃうと恩着せがましくなってしまうからな。


「サーベルトです。お邪魔してしまってすいません。」


礼儀よくニコリと笑いながら日本流OJIGIをする。


「娘を助けてくれてありがとね、サーベルト君。それにしても礼儀正しい子ね。どこかの貴族様かしら…?」


やはり日本のOJIGIは貴族と間違えられるくらい素晴らしいものなのかと認識させられる。


「いえ、貴族じゃないですよ。両親に厳しく教えられただけです。」


俺は貴族じゃなくて王族だからな。ちなみに母ってのは日本にいた時の両親だ。

両親と呼べる存在が二つあると少しややこしいな。


「いいご両親ね。ほら、リアナ?サーベルト君を見習いなさい。」


まだ腹にしがみついているリアナの頭をコツンと叩きため息をついている。なるほど。リアナは泣き虫なのか。


リアナを見て俺はカンナを思い浮かべていた。カンナも意外に泣き虫だったよな、なんて思い出しながら微笑む。


「グスッ…君、泣いてたの見なかったことにしてね?」


やっと泣き止んで、赤くなった目で俺を見る。上目遣いで俺を見る様は破壊力が凄まじい。


「無理です。」

「ふぇっ!?」


思わず即答してしまった。その即答にリアナはすっとんきょうな声を上げてまた泣きそうになる。


「冗談ですよ。あと、僕はサーベルトです。」


俺がリアナと名前で呼び、リアナは俺のことを君と呼ぶ。これは少しツライのだ。


「あ。べ、ベル…君。」

「はい。」


まぁ君は良しとしよう。その返答に俺は満足気に笑い頷いた。


「サーベルト君。この村へは一人で来たの?」

「いえ、ペットと来ました。」


リアナ母の問いに俺はドアの外に目を向け答える。


「ペット?」


そう口ずさみながらドアを開けて外を見た。「きゃっ」という可愛らしい声を上げて尻をついた。


「お母さん、ベル君の従魔なの!」

「この狼の名前はハクと言います。」


するとリアナ母だけでなくリアナまでギョッとした顔をした。


「え…狼?この従魔は狼なの!?」


いや、一体なんだと思っていたんだ。見ただけでわかるだろ。


「猟犬の類の従魔かと思っていたわ。まさか狼だなんて…。狼の従魔化なんてとても難しいのに。」


あまり難しいとは感じなかったが…。恐らくハクが特殊なのだろう。


「群れのボスでしたからね。少し特殊なんでしょう。そこまで苦ではありませんでしたし。」

「「群れの…ボス…」」


リアナとリアナ母は仲良く声を揃え顔面蒼白で俺とハクを見る。何かおかしなことを言ったのだろうか?と疑問に思ったとき、リアナ家の外から叫び声が聞こえた。


「ゴブリンの群れが来たぞおっ!!」


その声に反応し俺は急いで飛び出、その叫んだ村人が指差す方向へと顔を向ける。


……ゴブリンの群れ?



俺の視界に映ったのは六匹のゴブリン達。これは群れじゃなく班じゃないか?全く脅威じゃなくないですか。期待外れだ…。


ハァっとデカいため息をつき、ゴブリンが走ってくる方向へ歩く。


「おい!ガキ!危ないぞ、逃げろ!!」

「サーベルト君!?こっちに来なさい!」


何て声が聞こえるが無視だ。逃げる必要性がない。ぶっちゃけ言おう。石ころを投げただけでも死にそうなゴブリン達だ。


(炎球(フレイムボール)×6)


なかなか早い速度でゴブリンに向かって飛んでいく。ボオオォォンという音を立て、リアナを殴ったゴブリン同様に声を上げる間も無く塵となった。焼け焦げた匂いが充満する。


振り向くと目を点にして口を開けている村人と自慢気に胸を張っているリアナがいた。


「ベル君は強いんだよ!」

「そ、そのようだな…」

「えっへん!」


なぜにリアナが威張るのだろうか。


「僕はこのまま山に入りゴブリンを討伐します。どの辺に固まっているとか知っていたら教えてください。」


今の魔法のせいかもう誰も止めるものはいなかった。


「や、山の頂上にゴブリン達が大量にいるのを見たことがある!」

「ありがとうございます。」


いい情報を得た。俺はハクに飛び乗りリアナとリアナ母を見る。


「では行ってきます。」


最後にニッコリ笑いハクを走らせた。さぁ待っていろ。ゴブリン共め。











次の更新はさらに一週間後くらいになると思います。すいません。(泣)

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