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第63話 加勢

「久しぶりだな、グラさん」


「グルァ」


商人の街を出発する事にした俺たちは、馬車を預けている厩舎の所に来ていた。

馬車を引いているグランドラグーンのグラさんに、久しぶりの挨拶をする――


「元気にしていたか」


エレンさんが厩舎の管理をしている人に、預託料金を払っている間に。

俺はグラさんの頭を撫でながら、そんな会話をしていた。


「グルルゥ……グルルァ」


「うん? 何だ?」


「えと……倒れるとはなさけないぞコゾウ、女だけで旅をさせるとはなにごとだ……です」


リアが俺の側に寄って来て、グラさんの言葉を訳してくれた。


「う……すみませんでした……」


「グルル……」


「えと……オレが居たからよかったものの、もし何かあったらどうするつもりだったんだ……です」


「面目もない……」


グラさんの言う通りだよな。彼女たちは俺が護るべき存在なのに……

自分が倒れてしまって、そんな俺を逆に助けてもらうとか情けない。


グラさんの言っている事は全て正論だったので、俺は素直に反省をしていた。


「グルァ……グルルル……」


「えと……そんなありさまじゃ、女たちをまかせることはできない……え……それはだめです」


「うん……? どうした? リア」


リアがグラさんの言葉を訳していたが、何故か途中で訳すのをやめて反論していた。


「グラさんは何を言ったんだ?」


「えと……それに、おじょうちゃんもオマエにはまかせられないから…………オレが嫁にもらうぞ……です」


なんだと……

言うに事欠いて、リアを嫁にするだと……

それだけは許さん!


俺はグラさんの頭をガシっと両手で抑えながら睨み――


「テメェ調子に乗るな……リアは絶対にやらんぞ!」


「グ……グギャ……」


グラさんは顔をしかめながら、変な声を出していた。


「クロード……亜竜相手に、何をそんなにムキになってるのよ……」


アリスが馬車に乗りながら、グラさんと戯れてる俺を見て呆れたような顔をしていた。



「それでは行きましょう、クロードさん」


「あ、はい。リアも馬車に乗ってくれ」


「はいです」


「チッ……」


エレンさんがお金を払い終えて戻って来たので、リアを馬車に乗せて俺たちは街を発つことにした。

俺がグラさんから離れる時に、グラさんが舌打ちをしていた気がした――



それにしても……

リアの故郷に向かうのに、これだけ時間がかかるとは思わなかったな。

計画では街につく度に1日か2日程度の滞在で済ませるつもりだったから、路銀が少し心許ない。

倉庫整理の仕事は結構な稼ぎになったが、それでもカミール山脈までの道程はまだまだあるしな。


ルナが攫われて自分がおかしくなったのは予定外だったが、金を散財したのは自業自得でもあった。

御者をしながらそんな事を考えていると、俺の横に座っているエレンさんが話しかけてきた――



「クロードさん。アリスさんからお聞きしましたが、体の方はもう何ともありませんか?」


「はい、体の方は大丈夫ですよ。ただ……ある感情で性格が変わっちゃうかもしれないので。またあの時みたいに、おかしくなる事があるかもしれません」


「そうですか。でも……性格がおかしかったと言いますが。あの時は、少しだけカッコ良かったですよ」


「えー……」


あの……黒斗と黒乃を足して2で割って、そして黒愛の性格を混ぜたようなやつがか……


カッコ良かったと言われれば悪い気はしないが、正直俺は微妙な気持ちだった。


「エレンさんは、あんなハジけた性格の俺が良かったのですか?」


「はい。とても楽しそうで……私の好きなタイプの性格でしたね」


アレが好みのタイプだと……

かなり変わった……いや、エレンさんは明るい性格の男性が好きなのかな。

けど、あの時の俺は誰が見てもやばすぎだったと思う……


そんな感じに俺は馬車を動かしながら、約数時間程エレンさんと楽しく話をしていた。



今更なんだが、なぜ俺の横に座ってるのがエレンさんなのだろうか。

エレンさんの事は好きだし、別にそれがイヤというわけでもないが。ソフィアが一緒に座ると思ってた。


「クロードさん、馬車を停めてください」


「え……? っと」


考え事をしていると、急にエレンさんがそんな事を言ってきたので、慌てて馬車を停めた――

そしてエレンさんは目を細めて、馬車の前方をじっと見ていた。


「何か見えるんですか?」


俺も真似をして、エレンさんが見ている方向に目を凝らしてみたが何も見えなかった。


「おそらく、商人の馬車が盗賊に襲われています」


「なんだって……」


「どうしたの?」


馬車を急に停めたのでアリスが不思議がって馬車の中から出て来た。


「どこかの商人が盗賊に襲われているらしい」


「大変じゃない、早く助けないと」


「助けたいのはやまやまだが、このまま行くと俺たちも襲われる事になる」


「そうですね。こちらには小さい子たちが居ますし、巻き込まれる危険がかなり高いです」


「それは……」


アリスはそれ以上言わなかったが、エレンさんの言葉通りこっちは女性ばかりだしな。そんな事に巻き込みたくはない。

けど、知らない商人だとはいえ見捨てると後味が悪いし、俺だけで助けに行くか……


「俺が一人で行ってくる。アリスはルナたちを頼む」


「一人で大丈夫なの?」


「一人のほうが動きやすい」


「そう……気をつけてね」


仲間の事を気にしないでいいから、敵を倒しやすいしな。

敵は盗賊だ。卑怯な手を使ってくるかもしれないし、仲間をゾロゾロと連れて行って、下手に人質にとられるよりはいい。


「私も行きます」


「ボクも行くよー」


そんな事を思っていたら、馬車の中からソフィアとトリアナの二人の女神が出て来た。


「何を言っているんだお前たち……」


「だから手伝うー」


「手伝うって……神様が自発的に、人間の争い事に介入する気か?」


「私たち神は、人間から姿を見られないようにする事が出来ますので、お役に立てると思います」


「そんな事が出来るのか。だけど……」


「はやく行かないとやばいんじゃないのー」


「くっ……勝手にしろ」


「ワタシもい……むぐ……」


トリアナの言う通り言い争いをしている場合ではないので、俺は馬車から飛び降りた。

二人の女神も俺に続き、馬車の中から顔を出して何かを言おうとしていたルナは、アリスに口を塞がれていた。



「トリアナ、お前は戦えないって言ってなかったか」


俺は走りながら後ろを付いて来るトリアナに話しかけていた。


「そのことなんだけど、なにかキミから力を供給されているんだよね」


「はあ? なんだそりゃ……俺の信仰心か?」


「わかんないー」


「わからないって……」


理由がわからない力が俺から供給されているとか……

別に俺自身はトリアナに力を奪われている感じはしないからそれはいいが。

気になるな……しかしこの二人、翼を出さなくても飛べるんだな……


俺が必死で走っているなか、二人の女神は少し浮きながらスイスイとついて来ていた――


「クロード様。そろそろ見えてきましたので、私たちは姿を消して左右から援護します」


「そうか、頼んだ」


「おっけー、まっかせて」


「はい」


前方を見ると商人の馬車が見えてきた。襲われている商人は無事みたいだが、傭兵らしき格好の奴が三人程倒れている。


護衛は全部で五人、襲っている盗賊は七人か。

うん? 結構善戦しているのか……


盗賊の方も五人ほど倒されていて、今も二人の傭兵の男たちが次々と敵を倒していた。


強いなあの二人……助けは必要なかったんじゃないのか。

まぁ……ここまで来たんだから、加勢はするか。


俺が商人の馬車にたどり着くまでに、二人の男たちが盗賊を二人程倒して残り五人まで減っていた――



「エアブロー・クリエイト!」


「ぐあっ」


俺は、こちらに背を向けている盗賊に向かって風の魔法を当てた。


「クソっ、魔導士か!?」


盗賊の一人が悪態をつきながら、俺に向かって来る。


おいおい……魔導士だとわかっても真正面から向かって来るのかよ


「オラァァ」


盗賊が馬鹿正直に、俺に向かってまっすぐ両手斧を振り下ろしてきた。


「ツインブレイド・クリエイト!」


手から二本の剣を出して、左手の剣で盗賊の斧を受け流し右手の剣で盗賊の脇腹を突き刺した。


「がっ……」


「ヤロォォォ……」


盗賊の一人を俺が倒したら、最初に魔法を当てたもう一人の盗賊が怒りながらこっちに向かって来た。


襲っていた傭兵に背を向けて走りだすとか……どいつもこいつも馬鹿なのか……


俺は少し呆れながら、こちらに向かって来る盗賊に手をかざして――


「フレイムバスター・クリエイト!」


「ひっ……ギャ……」


「な…………」


手のひらから爆発する炎の魔法を唱えたら、物凄い爆発音とともに盗賊が消し飛んだ――


「え……なんだこれ……」


想像していたのとは違う、あり得ない威力の魔法が飛び出して。

俺に刺されて倒れていた盗賊をも巻き込んで、魔法を唱えた俺本人がその威力に驚愕していた。



前にゾンビ共に使った時と魔法の威力が違いすぎるぞ……

俺の魔力が上がったせいなのか? それとも……まさか……


「クロちゃん。やりすぎじゃない?」


「援護の必要は無かったみたいですね」


姿を隠していたソフィアとトリアナが、そんな事を言いながら俺の目の前に現れた。


「あっちも終わったみたいだよ」




トリアナがそう言うと、残りの盗賊を退治した傭兵の二人がこちらの方に歩いて来た――

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