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第24話 方針


「うわ……確かに歯形になってるな……」


首筋に薄っすらと浮かぶ、歯形を見ながらそうつぶやく。


アリスを説得した俺は、顔を洗う洗面台の所に来て、目の前にある鏡で首筋を見ていた。


ルナは俺の腰にずっと抱きついている。


「うーん……」


俺が掻き過ぎたせいで、余計痒くなったんだろうな……

バイ菌ははまぁ、大丈夫だと思うが。

歯形よりもむしろ、俺の爪あとのほうが酷い。


「一応洗ってから回復魔法を唱えるか……」


首を軽く洗っていると……


「クロ……」


「うん?」


「ごめんなさい……」


ルナがそう謝ってきた。


俺は首を拭きながらルナに向き直る。


「まぁ気にするな、吸血鬼ならしょうがないしな」


「…………」


俺はルナの頭をそっと撫でた。


「自分が吸血鬼だったってのは……知らなかったのか?」


「しらなかった……」


「そうか……」


まだ小さいからな……

吸血鬼の生態なんか知らないが。

一定の年齢になれば血を吸うようになるのかもな……


「しかしあれだな、俺の血は美味くないみたいだな」


ルナが落ち込んでいるから、明るくなるような話題を振ってみた。


「ぅ……」


それを聞いたルナがますます落ち込んだ。


逆効果だった……


「と、とりあえずルナ。血を吸いたくなったら何時でも言え、吸わせてやるから」


「いいの……?」


「あぁ、遠慮なんかするなよ」


「ん……」


俺の言葉を聞いてルナはコクンと頷いた。



客間のソファに座った俺は、これからの事を考えていた。

アリスは食器を片付けに行ってて、ルナは俺の隣りに座ってる。


「しかしこの世界にきてから……何日目だったか……色々なことがあったよなぁ……」


『そうですね……』


「まぁ正直、ギルさん達に出会えたのは幸運だった」


何も知らない異世界に放り出されて……気付いたら盗賊のアジトだもんな。

下手すれば死んでた、いや……実際死にかけたのか。


『まだ出会って数日しか経っていないのに、住む場所を提供されるとは思いませんでしたが』


うん、俺もそう思う。

ギルさんはいい人で、性格も軽そうだが。

アリスのことは大事にしているしな……

たった数日で俺のことを信用……いや、違うか。


「アリスのお陰か……」


『ですね……』


ギルさんとアリスの厚意はありがたかった。

服は着ていたが、武器も無しで無一文で異世界だったからな…


そういえばギルさんが召喚魔法陣のことを言っていたな。

すっかり忘れていたが……ルナとソフィアに聞いてみるか……



「ルナとソフィアに、聞きたいことがある」


「ん……?」


『なんでしょうか?』


「そうだな……まずは……今一度確認するが、俺はこの世界に転生で来たんだよな?」


称号では転生者と書かれていたが。

俺の知らないことがあるかもしれない。


『クロード様が転生者であるのは間違いありません。途中迄とはいえ、私が転生魔法でそのお身体を作り変えていましたから』


身体を作り変えるって嫌な響だな……

ソフィアは神様だから信用はできるが。


『ただ……』


「ただ……?」


『転生場所を決める前に、私ごとクロード様が転移なされましたので』


あぁ……ルナのせいで……

とか言い争っていたな。


『それに……転生場所だけが変わったのか……それとも、転生する世界まで変わってしまったのか……私には確かめる術がありません……神界に居ればわかるのですが』


「それは……召喚魔法陣のせいなのか?」


『はい……転生の儀式で使う魔法は召喚ではなく、転送魔法なので……』


「異世界への召喚魔法と、転送魔法の違いがよくわからないんだが……」


『転生神が行う転送魔法は、転送先に魔法陣が現れる事がありません』


なるほど……

次に俺は、ルナにも聞いてみることにした。


「じゃぁ……ルナ」


「ん……?」


「転生の儀式の時に、ルナは俺に何をしたんだ?」


「…………」


ルナの目的は俺を強くする事らしいが。

何かをしたのは間違いないよな……

そんな事を言ってた気がするし。


俺が考え事をしていると、ルナがボソボソと喋り始めた。


「クロの……中にある……力を引き出した」


「引き出す……?」


「うん……クロの中には、ねがいのまほうが眠っていた」


ねがいの魔法……


「アレはルナがくれた……力じゃないのか?」


そんな力を最初から俺が、持っていたとは思えないのだが。


「ちがう……クロが最初から持っていたモノを……ワタシの力が……引き出したダケだ」


そういえばこの力の説明を聞いた時……

思い出してとか言っていたな。


俺は一体何者なんだ……


「そんな危ないものを俺は持っていたのか……」


「わたしの……」



ルナが言い淀みながら言葉を続ける。


「わたしの……中にある……クロ……」


「うん……?」



「ワタシの中にある……力が教えてくれた。転生の儀式に介入すれば……クロの力を引き出せると……だからワタシは……クロを……探して……見つけた」


『…………』


ルナは力を引き出しただけで、 他には何もしてないのか……


最初に出会った時、みつけたとか聞こえたな。

俺を探し当てたからなのか……


それと……

あの時のキスは俺の力を引き出すためだったのかな。


ソフィアも何か考えているようだ。



「冥王を倒すための……力だったか……ルナは最初からその力を持っていたのか?」


「…………」


あー……

この質問は駄目だったか……

なんて思っていると――


「わたしの……だいすきなひとが……わたしのために……クロを…みつけるために……たくしてくれた……」


うん。地雷だった。

多分……

母親か父親から貰ったのだろう……



しかし……

疑問に思うことがいっぱいあるな。

魔法陣のこともそうだが……

俺が見た夢……冥王……


冥王のことは全く知らないが。

俺が夢をあまり思い出せないのは、この力のせいなのか?


ルナの話じゃ、眠っていた力を引き出したらしいし……

その影響なのかもしれないな。


「わかった」


俺はルナの頭を優しく撫でながら。


「ソフィア。俺はこの力でルナと強くなろうと思う、色々問題がいっぱいあるが……俺も死にたくはないからな」


『私はもう……クロード様を止めません。冥王の事も気になりますし……クロード様に……死んで欲しくはないですから……』


「あぁ……すまない」


「取り敢えずの方針はこの世界のことを知る事と。冥王……が何処に居るのかは分からないが……ギルドで仕事をしながら魔力を鍛えるか」


いきなり世界中を冒険する訳にはいかないしな。

元異世界人としては、冒険には憧れるが……




色々方針を決めた頃にアリスが戻って来た――

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