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日曜の午前。


インターホンを押す。


「は、はいっ」


声が少し上ずっている。


私服の朱里。


家の中の匂いがふわっとする。


「おはようございます」


「おはよ」


「あの、支度、もう少しかかりそうで…

上がってください」


「ん」


特に疑わず入る。


部屋はきれいだ。


いつも通り。


ソファに腰掛ける。


……隣に、座る。


ぴったり。


「……支度は?」


「えっと、その、えと…」


視線が泳ぐ。


悠は急かさない、ただ待つ。


「外行くんだろ?」


「きょ、今日は…」


深呼吸。


「おうちデートに、しましょう…」


一瞬、思考が止まる。


「……なんで」


責めるでもなく、本気で疑問。


朱里はぎゅっと指を握る。


「悠さん、お仕事大変でしょうし」


「別に」


「でも、疲れてるの、分かります」


目を合わせない。


「だから、その…」


耳まで赤い。


「くっつき、たい、です…」


悠は数秒、動かない。


脳内が静かに熱を持つ。


学生の頃なら即抱き寄せてたかもしれない。


でも今は違う。


社会人。


彼氏。


守る側。


深く息を吸う。


「……朱里」


名前を呼ぶ声が少し低い。


びくっと肩が揺れる。


「それ、分かって言ってる?」


「はい…」


「外出るつもりだったんだぞ、俺」


「知ってます…」


「一日ある」


「知ってます」


全部分かってる顔。


逃げない。


悠は目を閉じる。


だめだ。


かわいい。


「……ずるいな」


ぽつり。


朱里が恐る恐る見る。


「何がですか」


「社会人の理性試すな」


やっと腕を伸ばして引き寄せる。


朱里が小さく息を飲む。


胸に顔が当たる。


静か。


外の音もない。


「疲れてない」


「でも」


少しだけ腕が強くなる。


「こういうのは、嬉しい」


朱里の手が、そっと背中に回る。


ぎこちない。


でも必死。


「……会いたかったです」


理性はまだ生きてる。


でも薄い。


「今日は、外行かない」


「はい」


「代わりに」


少し顔を下げる。


「俺が我慢できなくなっても文句言うなよ」


朱里が真っ赤になる。


でも、逃げない。


「……言いません」




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