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インターホンの音が部屋に響く。
玄関がひらくと、元気な声が飛び込んできた。
「おじゃましまーす!」
先頭で入ってきた澪花ちゃんが、ぱたぱたと靴を脱ぐ。
その後ろから、遥花さんと湊さんが続いた。
「お茶、いれますね」
キッチンへ向かおうとすると、
「俺がやるから、そのまま見てて」
少しだけ困ったように笑いながら、
「はい」
と頷く。
ダイニングに戻ると、遥花さんがこちらを見て微笑んだ。
「お疲れ様、朱里ちゃん」
湊さんも穏やかに続ける。
「おめでとうございます」
胸の奥が少しだけあたたかくなる。
「ありがとうございます」
そう答えると、
すぐ横から小さな声が聞こえた。
「あかりちゃん、さわっていい?」
澪花ちゃんがそっとベビーベッドを覗き込んでいる。
「いいよ」
遥花さんが優しく声をかける。
「ゆっくりね?」
澪花ちゃんは慎重に手を伸ばす。
小さな指が、さらに小さな手に触れる。
「はじめまして」
真剣な顔で、澪花ちゃんが言う。
「みおかだよ」
その瞬間、
ふにゃ、と小さな声が漏れた。
「まま、ぱぱ!」
澪花ちゃんが慌てて振り返る。
湊さんが笑いながらしゃがみ込む。
「澪花、声少し小さくしようね?」
遥花さんも優しく続ける。
「びっくりしちゃうよ」
澪花ちゃんは「そっか」と小さく頷くと、
もう一度ベビーベッドを覗き込んだ。
その様子を見ながら、
そっと赤ちゃんを抱き上げる。
小さな身体。
まだ頼りない重さ。
澪花ちゃんがゆっくりと顔を覗き込む。
それから、
「……よろしくね」
少しだけ息を吸って、
名前を口にする。
「律」
その小さな胸が、
ゆっくり上下していた。




