第3章 部下として 第2話「引っ越し」
「、、、とりあえず、部屋を見せてもらってもいいかな?」
「、、、わかった。」
シュンゴはジェイクを連れて、リーセの部屋に入った。
「ふうむ、とても運び出せる量とは言い切れんな。いくつか売ればなんとかなりそうだが。」
リーセの部屋は本で埋め尽くされていた。寝る場所だけはある。まるで学者の部屋のようだった。
「、、、しかし、これだけ本があっても床が抜けないのは驚きますね。リーセ、売ってもよい本はここに置いていってね。」
「、、、残念だけど、売れそうな本はないかも。」
ジェイクは呆れて、頭を掻いた。
「おいおい、これだけの本を全部読んでいるわけではないだろう?もう不要で売りに出せるものとかあるだろ。」
「必要なものしか置いてないし、割とよく確認している。」
「、、、ところでリーセ、この両脇に抱えた本は不要な本かい?」
リーセは気まずそうに目を逸らし
「、、、これはさっき買った。」
シュンゴとジェイクは溜息をついた。
「まさか給料のほぼ全てを本代に使うとはなあ。」
「、、、やっぱり売らないとダメ?」
シュンゴは思いついたように手を叩いた。
「、、、貸本屋、とかはどうでしょうか?」
「、、、しかしなんというか、俺の店もえらく様変わりしたもんだ。今度は占いの館ではなく、貸本屋になるんだもんな。」
「、、、なんというか最後まで迷惑かけてしまい、すみません。」
「いいってことよ。まあ、これも何か儲けにつながるかもしれないしなあ。」
「、、、ジェイクはポジティブ。」
「、、、リーセ、ここはお礼言っとくところだぞ。」
「、、、ありがとう。」
シュンゴの提案で、リーセが「第二軍」と呼ぶ、たまに確認する程度の本は占いの館を改装した貸本屋に納められることになった。これなら売られる心配もなく、保管はできるだろう。
「しかし、シュンゴも出世したもんだなあ。今度は領主の娘の部下だとは。俺も鼻が高えよ。」
「、、、ありがとうございます。世の中どうなっていくかわからないものですよね。結局、私は自分というものを正しく知りたいためだけに動いているような気がします。」
「難しいことはいらねえよ。大事なのは、、、」
ジェイクはドンッと胸を叩いて
「ここだ、ここ。まあ気持ち次第なんだよ。何事もな。そういう意味では嬢ちゃんを見習った方がいいぞ。」
「、、、それもそうですね。」
シュンゴは貸本屋で一心不乱に読書に耽っているリーセを眺め、呟くように言った。




