36 狐耳と尻尾という、いちおうは“妖狐要素”の高い部位
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――ドタドタ――!!
と、やってきた思わぬ部外者、妖狐の神楽坂文と、カン・ロウンたちSPY探偵団の三人の登場に、
「「なっ――!?」」
「「何だ、お前たちは!?」」
などと、警察たちは驚いていた。
「『何だ?』とは、何だ!! キツネさんだぞ!! 見て分からんのか!! コンコーン!!
妖狐が、何故かテンション高く、「コンコン!!」などと言いながら答えてみせると、
「「あぁ”?」」
「コンコーン――?」
「ああ? いちおう、狐耳がありますね。尻尾も」
と、狐耳と尻尾という、いちおうは“妖狐要素”の高い部位を確認し、納得しながらも、
「――で? 何をしに来たんだ!? お前たち!!」
「というか、どうやって入って来たんだ!?」
と、警察たちが聞くと、
「ふむ。まあ、見ておれ――」
妖狐は、「やれやれ」との仕草をしながらも、
――スッ――
と、虚空に手を伸ばした。
次の瞬間、
――シュ、ババッ――!!
と、お決まりのように、手から、“何か魔界植物”を放つ――!!
この魔界植物というのは、様々な種類に様々な能力をもったものがあり、なかなか便利なものである。
むしろ、“とりあえず魔界植物さえ出しときゃいい感”まである。
それはさておき、妖狐の放った植物はというと、何か、大きな食虫植物か、吸血植物のような不気味なものであった。
それらは、
――ブ、スッ――!!
と、まずは、刑事を襲って中に閉じ込めた水の匣へと刺さる!!
そうして、
――ゴキュ!! ゴキュ――!!
と、魔界植物たちは、まるで超強力な排水ポンプのごとく――!! 大きくうねりながら、大量の水を飲み干していく!!
そうして、水の中で藻掻いていた刑事の姿が、ふたたび空気中に露わになる。
水中から解放されて、
――ド、サァッ……!!
と、刑事は、膝をついて倒れる。
「ゲッ、ホッ――!! ハァ、ハァッ……!!」
水を吐き、苦しそうに息をする刑事に、
「「劉ッ!!」」
「「無事か――!?」」
と、仲間たちが駆けよろうとした。
その時、
「おっと――!! 油断するにはまだ早いだろ!! アンタら!!」
と、キム・テヤンが突如――!! 間に割って入るや、襲いかかってきた水のキューブ数個に対し、
「ハッ!! ハァッ――!!」
と、これはテコンドーの蹴り技か――!! 蹴りの連撃を見舞う!!
それらは、水のキューブにヒットするなり、
――バ、シャッ!! バ、シャァッ――!!
と、キューブの形が崩れ!! 水飛沫大きく、スプラッシュしてKOするッ――!!
まあ、地味ではあるが、このキム・テヤンの足先には異能力が込められているのである。
それを、情報部時代に培った格闘能力と組み合わせることで、”ドローンのように動く水のキューブという厄介な相手”にも、何とか対応することができているのである。
「フン――!! フ、シュッ――!!
と、キム・テヤンが徒手や蹴り、それから、取り出した警棒のみで、水のキューブたちを散らす!!
だが、水のキューブのほうは、数も多く、なおかつ人工知能を搭載した高性能ドローンのように動くものである。
当然、その全てには対処できず、
「くっ――!?」
と、いくつかのキューブが
――ギューンッ――!!
と、顔や身を掠めていったり、または、キム・テヤンのバランスを崩させようと接近して攻撃してくる。
それに持ちこたえながらも、キム・テヤンは、あらゆる方向からの攻撃に対応できるよう構える。
それを、
「て、テヤン!!」
「た、助けるぞ!!」
と、カン・ロウンとドン・ヨンファが、バックアップしようとしたものの、
「おい、貴様たちの異能力では話にならんかろう」
と、妖狐が言った。
「は、はい、」
うなづくドン・ヨンファの横、
「ちっ!! だったら、早く何とかしろってんだよ!! このドラえもん野郎!!」
と、キム・テヤンが舌打ちし、苛立って吐き捨てた。
そんなキム・テヤンと同じく、警察たちも、何とか防戦していた。
ある者は、
「フン!! フンッ――!!」
と、警棒を振り回し、また、ある者は、
「来るんじゃねぇッ!! チクショウッ!!」
と、先ほどの布だったり網を、ブンブン――!! と振り回し、襲い来る水のキューブを撃退しようとする。
「警棒や、布か……。まあ、よくやっているほうだ」
感心して見物する妖狐に、
「おぉい!! 吞気そうに見てないで、何かしろってんだよ!!」
「そ、そうだ!!」
「よ、妖狐だったら、妖術使ってくれよ!!」
と、警察たちが水のキューブ群と格闘しながらも、妖狐に怒鳴る。
「やれやれ、まあ、そういきり立つな」
「いきり立つなじゃねぇってんだよ!! タコ!!」
と、苛立つキム・テヤンに、
「そしたら、あとは任せるのだ」
と、妖狐は、前に出る。
同時に、
――グ、ワシッ――!!
「へ――?」
と、妖狐は突然に、ドン・ヨンファの頭を掴んで持ち上げた。
「な、何をッ――!?」
足が床から浮いて、困惑するドン・ヨンファに、
「おい、キノコ頭。お前のキノコは、タダの飾りか?」
「は――?」
「『は――?』ではなくて、貴様の、異能力を使えと言っとるんだ」
「いや、分かんないって!! どういう言い回しだよ!?」
そうして、妖狐の召還する魔界植物だけでなく、ドン・ヨンファの植物も協力することになる。
まず、
――シュ、ババッ――!!
と、黒い鉄錆色の蔓バラが放たれるや!!
――ゴ、ワッ……!!
と、この大空間内に!! 大きく広がる――!!
さらにそこへ、
「こ、こんなんでいいかい?」
と、ドン・ヨンファが、懐から“何か”を放つ!!
それらは、
――フ、ワァァン……
と、まるで日本の花咲爺さんのごとく――!! 石灰でてきた桜吹雪を、大異空間一面に巻き起こす!!
その、ドン・ヨンファの召還した桜吹雪の中、
――ニョキ、ニョキッ――!!
と、妖狐が召還した蔓バラが、恐らくは100個以上の、浮遊する水のキューブ群を捕らえるようにして包みこんでいく!!
すると、
――カッ、チーン――!!
と、まる石灰が水を喰うようにして――!! あるいは、水が石灰を喰らうかのごとく――!!
水でてきた四角いキューブは、薄く灰色を帯びた白色の――、硬いキューブへと変わる!!
妖しく美しく、空間を覆う蔓バラと、石灰色の立方体と――
まるで、何か彫刻と金属を組み合わせたアート作品のようになる。
そうして、一瞬にして、妖狐の神楽坂文とドン・ヨンファのふたりであるが、すべての水のキューブを無力化したわけである。
そんな、一連の、アニメの戦闘シーンのような非日常的な光景――
これには、
「――!?」
「な、なな……、なッ……!?」
「何だ、こりゃ……?」
と、警察、アクア・キューブリック社の人間ともに、入り乱れて驚いていた。
すると、刑事たちが、
「なっ、」
「いったい? 何者、なんだ……? お前たちは?」
と、まだ驚いた様子のまま、聞いてきた。
「あ、あ……?」
妖狐が、反応し、
「我々、実は、“こういう者”でして――」
と、申し遅れたようにしながら、
――ゴソ、ゴソ……
と、懐から、
――スッ――
と、“何か”を、取り出してみせた。
「――?」
「うん……?」
「これ、は……?」
警察たちが、注目して見た先――
妖狐の伸ばした手にあったのは、ドラマや映画であるような“それ”――
刑事モノなら警察手帳だったり、特殊な捜査機関の身分証……、また、探偵モノであれば、『○○探偵事務所』などと書かれた名刺なのかもしれない。
そして、妖狐が警察に見せたものは、その前者の類のようも見えた。
しかし、その時、
――スス、ス……
と、妖狐は突然に、猫だましをかけるがごとく――、警察手帳と思しきものの前で、手を振ってみせた。
「あ、ん――?」
「へっ――?」
警察たちから、呆気に取られたような、間の抜けた声があがる。
すると、
――ボワン……
と、すこしの時間差で、白い煙幕が生じた。
煙幕は、警察手帳を覆い隠す。
しばらくして、
――サァァッ……
と、煙幕は晴れる。
すると、
「「ん――?」」
と、妖狐が手にしていた、“警察手帳らしきもの”はというと、
「「「「って!? おい!! 葉っぱじゃねぇか――!!」」」」
と、一同がいっせいにつっこんだように――、そこにあったのは、赤茶けた“木の葉”であった。
それを見て、
「「おいおい……、何、自分で術を解いてんだよ」」
と、キム・テヤンとドン・ヨンファが、呆れた声をそろえてつっこんだ。




