25 ワンチャン、こいつなら、死なないんじゃないか?
(3)
パク・ソユンが水の匣に閉じ込められてから、すでに10分ほど経っていた。
「もう、10分くらいか……」
カン・ロウンが険しい顔で言い、
「……」
と、キム・テヤンと、
「う、ぐ……」
と、ドン・ヨンファも、同様だった。
彼らだけでなくDJたちやスタッフも、皆同様に、重い表情をするか、焦燥をつのらせるばかりであった。
「人間が、水中で長い時間息を止めれたとしても、せいぜい、10分すこしくらいまでだ……。それも、ギネスの記録のような、一部の人間の、上位のケースだ……」
カン・ロウンが言った。
それを聞いて、
「……」
と、キム・テヤンは、まだ険しい顔をしていたが、
「ただ、よぅ? ロウン?」
「う、む……?」
「まあ、常人離れした耐久性の“こいつ”だ……。もしかすると、20分くらいは、耐えれるかもしれねぇけどよ……」
と、言った。
まあ、このパク・ソユンという、確かに異常な耐久力をもった人間――
“それ”を知っているメンバーであるからこそ言えること、また、そうでもして、何とか希望を持ちたかったというのもあるのだろう。
ただ、それを聞いていた、SPY探偵団以外のメンツは、そんなことなどしらないゆえ、
「「「は、ぁ……?」」」
と、ポカン……として、「何、言ってんだ?」の顔をするしかなかった。
それはさておき、
「まったく……、思わぬ、“水の壁”が立ちはだかるぜ」
キム・テヤンが、「クソったれ」と言いたげな表情で、水の匣の表面――、“水の壁”を睨んだ。
ドン・ヨンファは、
「そ、ソユン、」
と、焦る顔で、水の中のパク・ソユンを見た。
ぐったりとして、意識を失いかけているのか、もしくは眠りに落ちているのようにも見える。
まさに、眠れる姫のようだ――、とでも言うべきか。
ただ、そのように眺めているだけでは、ただ時間が過ぎていくばかりであり、
「て、テヤン……、もう一回、頼む」
「おうよ、」
と、ふたりはふたたび、水の壁に対して“攻撃”するよう構える。
「フッ、フッ――!!」
キム・テヤンが、突きと蹴りの連撃をくり出し、
「行けっ!!」
と、ドン・ヨンファがふたたび、薔薇を水面の奥深くまで突き刺そうとする。
だが、
――パ、シィィッ――!!
と、やはり、ふたりの連携攻撃は弾かれてしまう。
「くっ――!!」
ドン・ヨンファが、思わず歯を食いしばる。
もう一度試してみたものの、水の匣、壁はビクともしなかった。
たったの、せいぜい1、2メートルの距離――
だが、自分たちの異能力を以ってしても、何とかできそうで、何もできなかった。
「クッソ、がッ――!!」
キム・テヤンが、吐き捨て、
「い、いったい……? 何なんだ……? この、“水”は」
と、カン・ロウンも、唖然とするしかなかった。
そうしているところへ、
「おおいっ!? まだ、ダメなのか!? アンタら!!」
と、ホン・ドヒョンと、
「もう、ソウが閉じ込められてから20分経つのよ!! 何とかしてよ!!」
と、キム・ユナも、三人を急かしてきた。
「ああ”!? ったく!! そいつは、俺たちも分かってらぁ!!」
キム・テヤンも苛立ち、声を荒げる。
ただ、そんな、焦燥感がつのるのと同時に、三人は――、すくなくとも、キム・テヤンとドン・ヨンファは思っていた。
((
(3)
パク・ソユンが水の匣に閉じ込められてから、すでに10分ほど経っていた。
「もう、10分くらいか……」
カン・ロウンが険しい顔で言い、
「……」
と、キム・テヤンと、
「う、ぐ……」
と、ドン・ヨンファも、同様だった。
彼らだけでなくDJたちやスタッフも、皆同様に、重い表情をするか、焦燥をつのらせるばかりであった。
「人間が、水中で長い時間息を止めれたとしても、せいぜい、10分すこしくらいまでだ……。それも、ギネスの記録のような、一部の人間の、上位のケースだ……」
カン・ロウンが言った。
それを聞いて、
「……」
と、キム・テヤンは、まだ険しい顔をしていたが、
「ただ、よぅ? ロウン?」
「う、む……?」
「まあ、常人離れした耐久性の“こいつ”だ……。もしかすると、20分くらいは、耐えれるかもしれねぇけどよ……」
と、言った。
まあ、このパク・ソユンという、確かに異常な耐久力をもった人間――
“それ”を知っているメンバーであるからこそ言えること、また、そうでもして、何とか希望を持ちたかったというのもあるのだろう。
ただ、それを聞いていた、SPY探偵団以外のメンツは、そんなことなどしらないゆえ、
「「「は、ぁ……?」」」
と、ポカン……として、「何、言ってんだ?」の顔をするしかなかった。
それはさておき、
「まったく……、思わぬ、“水の壁”が立ちはだかるぜ」
キム・テヤンが、「クソったれ」と言いたげな表情で、水の匣の表面――、“水の壁”を睨んだ。
ドン・ヨンファは、
「そ、ソユン、」
と、焦る顔で、水の中のパク・ソユンを見た。
ぐったりとして、意識を失いかけているのか、もしくは眠りに落ちているのようにも見える。
まさに、眠れる姫のようだ――、とでも言うべきか。
ただ、そのように眺めているだけでは、ただ時間が過ぎていくばかりであり、
「て、テヤン……、もう一回、頼む」
「おうよ、」
と、ふたりはふたたび、水の壁に対して“攻撃”するよう構える。
「フッ、フッ――!!」
キム・テヤンが、突きと蹴りの連撃をくり出し、
「行けっ!!」
と、ドン・ヨンファがふたたび、薔薇を水面の奥深くまで突き刺そうとする。
だが、
――パ、シィィッ――!!
と、やはり、ふたりの連携攻撃は弾かれてしまう。
「くっ――!!」
ドン・ヨンファが、思わず歯を食いしばる。
もう一度試してみたものの、水の匣、壁はビクともしなかった。
たったの、せいぜい1、2メートルの距離――
だが、自分たちの異能力を以ってしても、何とかできそうで、何もできなかった。
「クッソ、がッ――!!」
キム・テヤンが、吐き捨て、
「い、いったい……? 何なんだ……? この、“水”は」
と、カン・ロウンも、唖然とするしかなかった。
そうしているところへ、
「おおいっ!? まだ、ダメなのか!? アンタら!!」
と、ホン・ドヒョンと、
「もう、ソウが閉じ込められてから20分経つのよ!! 何とかしてよ!!」
と、キム・ユナも、三人を急かしてきた。
「ああ”!? ったく!! そいつは、俺たちも分かってらぁ!!」
キム・テヤンも苛立ち、声を荒げる。
ただ、そんな、焦燥感がつのるのと同時に、三人は――、すくなくとも、キム・テヤンとドン・ヨンファは思っていた。
((ワンチャン、こいつなら、死なないんじゃないか? 30分以上、経っても――))
など、と――
まあ、絶対に、口には出すことはできないが。
ただ、もし仮に“そう”であっても、一刻もはやく、パク・ソユンを水の匣から救出しなければならないことに変わりはなく、そのために奔走しているわけではある。
キム・テヤンが、
「なあ? この、“水の匣の水”ってのは……、確か、上の、水のディスプレイってのから降ってきた水だよな?」
と、ホン・ドヒョンに確認するように聞いた。
「あ、ああ、」
ホン・ドヒョンが、うなづく。
「そしたら、その水のディスプレイってのは、会場内のどっかで制御しているだろ? その、制御している連中はどうなんだ? もしかすると、何か、ハッキングみたいなこと、されてねぇのか?」
と、キム・テヤンは、水のディスプレイから水のキューブがパク・ソユンを襲った際のことを思い出しながら聞いた。
これまでの水のケースはさておき、水のディスプレイを構成するガジェットを、外部からハッキングのように乗っ取って操ることが可能であれば、先のような強襲も可能であると考えたからだ。
ホン・ドヒョンが、スタッフたち何人かに確認し、
「いや、コンピュータのほうは……、とくに、異常はないようだ」
と、報告してきた。
「そう、か……。すると、この制御を振り切って、水が、何者かの力によって、」
と、キム・テヤンは考えを巡らそうとするも、いまはそれどころでなく、
「まあ、いい……。とりあえず、ヨンファの能力を使わせ続けるしかねぇか」
と言って、そのドン・ヨンファのほうをみた。
ダメもとで、ドン・ヨンファはさきほどの薔薇だったり、別の“魔法植物”を召還せ、何度も水の壁を破ろうとしていた。
ただ、それらの“攻撃”はまったく効いてない様子で、
「おおいっ!! 何とかしろってんだよ!! ヨンファ!! 使えねぇ奴だな!!」
「はぁ!? いま、やってるじゃないかッ!!」
キム・テヤンに声を荒げられ、思わずドン・ヨンファもキレ返す。
しかし、キレてみたところで、事態は何ともならない。
――パシッ、パシィッ……!!
と、水の匣は、ただドン・ヨンファの召還する植物たちを跳ね返し、その進入を拒み、
――ぽちゃん……
と、虚しくも、“水面”に波紋が立つばかりであった。
そこへ、さらに、
「おい!!」
「どけどけ!!」
「邪魔だ!! お前ら!!」
と、慌ただしく怒鳴る声とともに、プロのご到着――、すなわち、レスキューがやって来た。
「どけこら!!」
レスキューのひとりが、ドン・ヨンファを無理やりどかし、
「わっ!?」
と、ドン・ヨンファはこけながらも、横へと弾かれる。
「おい!! 何しやがんだ!!」
キム・テヤンが声をあげるも、
「どけ!! 素人は下がってろ!!」
「下がれ!! 救助の邪魔だ!!」
と、別のレスキューの男たちは、キム・テヤンも下がらせる。
彼らは露骨にカン・ロウンたちをうっとうしがりながらも、皆がやったのと同じように、水の匣に入ろうとした。
しかし、案の定、
――パシィィッ――!!
「う、おッ――!?」
「な、何だこの水は――!?」
「は、入れないぞ!!」
と、その反応と結果も、ホン・ドヒョンやカン・ロウンたちと同じものであった。
「何か、水槽みたいな、ケースでもあるのか――?」
「い、いやッ!! 確かに、水だけでできてます!!」
などと、ここもやはり、水の匣が純粋に水だけで出来ていることを確認する。
レスキューたちは、道具を使う。
ナイフを取り出したり、救助用の電動ノコだったり、エンジンカッターすら出すも、
――ギィィィン……!!
と、それらの道具ですらエンジン音が響くだけであり、まったくの無力であった。
「だ、ダメだァッ!!」
「ほ、本当に、た、ただの水なのかッ――!?」
と、レスキューたちが叫ぶ。
そうして、素人玄人ふくめて、何もできないままで時間がすぎていく。
ついに、その30分ほど経つ。
「おい!! もう30分たったぞ!!」
「な、何とかしてよ!! プロなんでしょ!!」
ホン・ドヒョンとキム・ユナが、憤って叫ぶ。
「くっ……!!」
ドン・ヨンファが顔を歪め、
「いくら、ソユンのヤツとは言え、このままじゃマズい……!!」
と、キム・テヤンの顔も、いままでにないほど焦燥した表情になる。
「ま、まさか、」
「ソユンが、このまま、おぼれ死ぬ…、か……」
カン・ロウンとキム・テヤンは、最悪の言葉が浮かんだ。
無力な状況に、ただ焦りだけが強まる。
「な、何か……、何か無いか?」
キム・テヤンが、思わず声にした。
それは、カン・ロウンと、ドン・ヨンファも同様であり、
「くっ……! ろ、ロウン、何か、手はないのかい?」
「う~ん……」
と、刻一刻と状況が悪くなる中、何とか状況を打開するための知恵を巡らそうとする。
その時、
「あっ――」
と、ふと、カン・ロウンが何か思いついたように、声を出した。
「あん? どうしたんだ? ロウン?」
キム・テヤンが聞くと、
「お、おい……、一か八か、キツ――、“タヌキさん”に連絡を取ってみないか」
「タヌ、キ……? ああっ――!!」、こいつなら、死なないんじゃないか? 30分以上、経っても――))
など、と――
まあ、絶対に、口には出すことはできないが。
ただ、もし仮に“そう”であっても、一刻もはやく、パク・ソユンを水の匣から救出しなければならないことに変わりはなく、そのために奔走しているわけではある。
キム・テヤンが、
「なあ? この、“水の匣の水”ってのは……、確か、上の、水のディスプレイってのから降ってきた水だよな?」
と、ホン・ドヒョンに確認するように聞いた。
「あ、ああ、」
ホン・ドヒョンが、うなづく。
「そしたら、その水のディスプレイってのは、会場内のどっかで制御しているだろ? その、制御している連中はどうなんだ? もしかすると、何か、ハッキングみたいなこと、されてねぇのか?」
と、キム・テヤンは、水のディスプレイから水のキューブがパク・ソユンを襲った際のことを思い出しながら聞いた。
これまでの水のケースはさておき、水のディスプレイを構成するガジェットを、外部からハッキングのように乗っ取って操ることが可能であれば、先のような強襲も可能であると考えたからだ。
ホン・ドヒョンが、スタッフたち何人かに確認し、
「いや、コンピュータのほうは……、とくに、異常はないようだ」
と、報告してきた。
「そう、か……。すると、この制御を振り切って、水が、何者かの力によって、」
と、キム・テヤンは考えを巡らそうとするも、いまはそれどころでなく、
「まあ、いい……。とりあえず、ヨンファの能力を使わせ続けるしかねぇか」
と言って、そのドン・ヨンファのほうをみた。
ダメもとで、ドン・ヨンファはさきほどの薔薇だったり、別の“魔法植物”を召還せ、何度も水の壁を破ろうとしていた。
ただ、それらの“攻撃”はまったく効いてない様子で、
「おおいっ!! 何とかしろってんだよ!! ヨンファ!! 使えねぇ奴だな!!」
「はぁ!? いま、やってるじゃないかッ!!」
キム・テヤンに声を荒げられ、思わずドン・ヨンファもキレ返す。
しかし、キレてみたところで、事態は何ともならない。
――パシッ、パシィッ……!!
と、水の匣は、ただドン・ヨンファの召還する植物たちを跳ね返し、その進入を拒み、
――ぽちゃん……
と、虚しくも、“水面”に波紋が立つばかりであった。
そこへ、さらに、
「おい!!」
「どけどけ!!」
「邪魔だ!! お前ら!!」
と、慌ただしく怒鳴る声とともに、プロのご到着――、すなわち、レスキューがやって来た。
「どけこら!!」
レスキューのひとりが、ドン・ヨンファを無理やりどかし、
「わっ!?」
と、ドン・ヨンファはこけながらも、横へと弾かれる。
「おい!! 何しやがんだ!!」
キム・テヤンが声をあげるも、
「どけ!! 素人は下がってろ!!」
「下がれ!! 救助の邪魔だ!!」
と、別のレスキューの男たちは、キム・テヤンも下がらせる。
彼らは露骨にカン・ロウンたちをうっとうしがりながらも、皆がやったのと同じように、水の匣に入ろうとした。
しかし、案の定、
――パシィィッ――!!
「う、おッ――!?」
「な、何だこの水は――!?」
「は、入れないぞ!!」
と、その反応と結果も、ホン・ドヒョンやカン・ロウンたちと同じものであった。
「何か、水槽みたいな、ケースでもあるのか――?」
「い、いやッ!! 確かに、水だけでできてます!!」
などと、ここもやはり、水の匣が純粋に水だけで出来ていることを確認する。
レスキューたちは、道具を使う。
ナイフを取り出したり、救助用の電動ノコだったり、エンジンカッターすら出すも、
――ギィィィン……!!
と、それらの道具ですらエンジン音が響くだけであり、まったくの無力であった。
「だ、ダメだァッ!!」
「ほ、本当に、た、ただの水なのかッ――!?」
と、レスキューたちが叫ぶ。
そうして、素人玄人ふくめて、何もできないままで時間がすぎていく。
ついに、その30分ほど経つ。
「おい!! もう30分たったぞ!!」
「な、何とかしてよ!! プロなんでしょ!!」
ホン・ドヒョンとキム・ユナが、憤って叫ぶ。
「くっ……!!」
ドン・ヨンファが顔を歪め、
「いくら、ソユンのヤツとは言え、このままじゃマズい……!!」
と、キム・テヤンの顔も、いままでにないほど焦燥した表情になる。
「ま、まさか、」
「ソユンが、このまま、おぼれ死ぬ…、か……」
カン・ロウンとキム・テヤンは、最悪の言葉が浮かんだ。
無力な状況に、ただ焦りだけが強まる。
「な、何か……、何か無いか?」
キム・テヤンが、思わず声にした。
それは、カン・ロウンと、ドン・ヨンファも同様であり、
「くっ……! ろ、ロウン、何か、手はないのかい?」
「う~ん……」
と、刻一刻と状況が悪くなる中、何とか状況を打開するための知恵を巡らそうとする。
その時、
「あっ――」
と、ふと、カン・ロウンが何か思いついたように、声を出した。
「あん? どうしたんだ? ロウン?」
キム・テヤンが聞くと、
「お、おい……、一か八か、キツ――、“タヌキさん”に連絡を取ってみないか」
「タヌ、キ……? ああっ――!!」




