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【水の匣】  作者: 石田善二郎
第五章 強襲、水の匣

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25/37

25 ワンチャン、こいつなら、死なないんじゃないか?




          (3)




 パク・ソユンが水の匣に閉じ込められてから、すでに10分ほど経っていた。

「もう、10分くらいか……」

 カン・ロウンが険しい顔で言い、

「……」

 と、キム・テヤンと、

「う、ぐ……」

 と、ドン・ヨンファも、同様だった。

 彼らだけでなくDJたちやスタッフも、皆同様に、重い表情をするか、焦燥をつのらせるばかりであった。

「人間が、水中で長い時間息を止めれたとしても、せいぜい、10分すこしくらいまでだ……。それも、ギネスの記録のような、一部の人間の、上位のケースだ……」

 カン・ロウンが言った。

 それを聞いて、

「……」

 と、キム・テヤンは、まだ険しい顔をしていたが、

「ただ、よぅ? ロウン?」

「う、む……?」

「まあ、常人離れした耐久性の“こいつ”だ……。もしかすると、20分くらいは、耐えれるかもしれねぇけどよ……」

 と、言った。

 まあ、このパク・ソユンという、確かに異常な耐久力をもった人間――

“それ”を知っているメンバーであるからこそ言えること、また、そうでもして、何とか希望を持ちたかったというのもあるのだろう。

 ただ、それを聞いていた、SPY探偵団以外のメンツは、そんなことなどしらないゆえ、

「「「は、ぁ……?」」」

 と、ポカン……として、「何、言ってんだ?」の顔をするしかなかった。

 それはさておき、

「まったく……、思わぬ、“水の壁”が立ちはだかるぜ」

 キム・テヤンが、「クソったれ」と言いたげな表情で、水の匣の表面――、“水の壁”を睨んだ。

 ドン・ヨンファは、

「そ、ソユン、」

 と、焦る顔で、水の中のパク・ソユンを見た。

 ぐったりとして、意識を失いかけているのか、もしくは眠りに落ちているのようにも見える。

 まさに、眠れる姫のようだ――、とでも言うべきか。

 ただ、そのように眺めているだけでは、ただ時間が過ぎていくばかりであり、

「て、テヤン……、もう一回、頼む」

「おうよ、」

 と、ふたりはふたたび、水の壁に対して“攻撃”するよう構える。

「フッ、フッ――!!」

 キム・テヤンが、突きと蹴りの連撃をくり出し、

「行けっ!!」

 と、ドン・ヨンファがふたたび、薔薇を水面の奥深くまで突き刺そうとする。

 だが、


 ――パ、シィィッ――!!


 と、やはり、ふたりの連携攻撃は弾かれてしまう。

「くっ――!!」

 ドン・ヨンファが、思わず歯を食いしばる。

 もう一度試してみたものの、水の匣、壁はビクともしなかった。

 たったの、せいぜい1、2メートルの距離――

 だが、自分たちの異能力を以ってしても、何とかできそうで、何もできなかった。

「クッソ、がッ――!!」

 キム・テヤンが、吐き捨て、

「い、いったい……? 何なんだ……? この、“水”は」

 と、カン・ロウンも、唖然とするしかなかった。

 そうしているところへ、

「おおいっ!? まだ、ダメなのか!? アンタら!!」

 と、ホン・ドヒョンと、

「もう、ソウが閉じ込められてから20分経つのよ!! 何とかしてよ!!」

 と、キム・ユナも、三人を急かしてきた。

「ああ”!? ったく!! そいつは、俺たちも分かってらぁ!!」

 キム・テヤンも苛立ち、声を荒げる。

 ただ、そんな、焦燥感がつのるのと同時に、三人は――、すくなくとも、キム・テヤンとドン・ヨンファは思っていた。


((



          (3)




 パク・ソユンが水の匣に閉じ込められてから、すでに10分ほど経っていた。

「もう、10分くらいか……」

 カン・ロウンが険しい顔で言い、

「……」

 と、キム・テヤンと、

「う、ぐ……」

 と、ドン・ヨンファも、同様だった。

 彼らだけでなくDJたちやスタッフも、皆同様に、重い表情をするか、焦燥をつのらせるばかりであった。

「人間が、水中で長い時間息を止めれたとしても、せいぜい、10分すこしくらいまでだ……。それも、ギネスの記録のような、一部の人間の、上位のケースだ……」

 カン・ロウンが言った。

 それを聞いて、

「……」

 と、キム・テヤンは、まだ険しい顔をしていたが、

「ただ、よぅ? ロウン?」

「う、む……?」

「まあ、常人離れした耐久性の“こいつ”だ……。もしかすると、20分くらいは、耐えれるかもしれねぇけどよ……」

 と、言った。

 まあ、このパク・ソユンという、確かに異常な耐久力をもった人間――

“それ”を知っているメンバーであるからこそ言えること、また、そうでもして、何とか希望を持ちたかったというのもあるのだろう。

 ただ、それを聞いていた、SPY探偵団以外のメンツは、そんなことなどしらないゆえ、

「「「は、ぁ……?」」」

 と、ポカン……として、「何、言ってんだ?」の顔をするしかなかった。

 それはさておき、

「まったく……、思わぬ、“水の壁”が立ちはだかるぜ」

 キム・テヤンが、「クソったれ」と言いたげな表情で、水の匣の表面――、“水の壁”を睨んだ。

 ドン・ヨンファは、

「そ、ソユン、」

 と、焦る顔で、水の中のパク・ソユンを見た。

 ぐったりとして、意識を失いかけているのか、もしくは眠りに落ちているのようにも見える。

 まさに、眠れる姫のようだ――、とでも言うべきか。

 ただ、そのように眺めているだけでは、ただ時間が過ぎていくばかりであり、

「て、テヤン……、もう一回、頼む」

「おうよ、」

 と、ふたりはふたたび、水の壁に対して“攻撃”するよう構える。

「フッ、フッ――!!」

 キム・テヤンが、突きと蹴りの連撃をくり出し、

「行けっ!!」

 と、ドン・ヨンファがふたたび、薔薇を水面の奥深くまで突き刺そうとする。

 だが、


 ――パ、シィィッ――!!


 と、やはり、ふたりの連携攻撃は弾かれてしまう。

「くっ――!!」

 ドン・ヨンファが、思わず歯を食いしばる。

 もう一度試してみたものの、水の匣、壁はビクともしなかった。

 たったの、せいぜい1、2メートルの距離――

 だが、自分たちの異能力を以ってしても、何とかできそうで、何もできなかった。

「クッソ、がッ――!!」

 キム・テヤンが、吐き捨て、

「い、いったい……? 何なんだ……? この、“水”は」

 と、カン・ロウンも、唖然とするしかなかった。

 そうしているところへ、

「おおいっ!? まだ、ダメなのか!? アンタら!!」

 と、ホン・ドヒョンと、

「もう、ソウが閉じ込められてから20分経つのよ!! 何とかしてよ!!」

 と、キム・ユナも、三人を急かしてきた。

「ああ”!? ったく!! そいつは、俺たちも分かってらぁ!!」

 キム・テヤンも苛立ち、声を荒げる。

 ただ、そんな、焦燥感がつのるのと同時に、三人は――、すくなくとも、キム・テヤンとドン・ヨンファは思っていた。


((ワンチャン、こいつなら、死なないんじゃないか? 30分以上、経っても――))


 など、と――

 まあ、絶対に、口には出すことはできないが。

 ただ、もし仮に“そう”であっても、一刻もはやく、パク・ソユンを水の匣から救出しなければならないことに変わりはなく、そのために奔走しているわけではある。

 キム・テヤンが、

「なあ? この、“水の匣の水”ってのは……、確か、上の、水のディスプレイってのから降ってきた水だよな?」

 と、ホン・ドヒョンに確認するように聞いた。

「あ、ああ、」

 ホン・ドヒョンが、うなづく。

「そしたら、その水のディスプレイってのは、会場内のどっかで制御しているだろ? その、制御している連中はどうなんだ? もしかすると、何か、ハッキングみたいなこと、されてねぇのか?」

 と、キム・テヤンは、水のディスプレイから水のキューブがパク・ソユンを襲った際のことを思い出しながら聞いた。

 これまでの水のケースはさておき、水のディスプレイを構成するガジェットを、外部からハッキングのように乗っ取って操ることが可能であれば、先のような強襲も可能であると考えたからだ。

 ホン・ドヒョンが、スタッフたち何人かに確認し、

「いや、コンピュータのほうは……、とくに、異常はないようだ」

 と、報告してきた。

「そう、か……。すると、この制御を振り切って、水が、何者かの力によって、」

 と、キム・テヤンは考えを巡らそうとするも、いまはそれどころでなく、

「まあ、いい……。とりあえず、ヨンファの能力を使わせ続けるしかねぇか」

 と言って、そのドン・ヨンファのほうをみた。

 ダメもとで、ドン・ヨンファはさきほどの薔薇だったり、別の“魔法植物”を召還せ、何度も水の壁を破ろうとしていた。

 ただ、それらの“攻撃”はまったく効いてない様子で、

「おおいっ!! 何とかしろってんだよ!! ヨンファ!! 使えねぇ奴だな!!」

「はぁ!? いま、やってるじゃないかッ!!」

 キム・テヤンに声を荒げられ、思わずドン・ヨンファもキレ返す。

 しかし、キレてみたところで、事態は何ともならない。

 ――パシッ、パシィッ……!!

 と、水の匣は、ただドン・ヨンファの召還する植物たちを跳ね返し、その進入を拒み、

 ――ぽちゃん……

 と、虚しくも、“水面”に波紋が立つばかりであった。

 そこへ、さらに、


「おい!!」

「どけどけ!!」

「邪魔だ!! お前ら!!」


 と、慌ただしく怒鳴る声とともに、プロのご到着――、すなわち、レスキューがやって来た。

「どけこら!!」

 レスキューのひとりが、ドン・ヨンファを無理やりどかし、

「わっ!?」

 と、ドン・ヨンファはこけながらも、横へと弾かれる。

「おい!! 何しやがんだ!!」

 キム・テヤンが声をあげるも、

「どけ!! 素人は下がってろ!!」

「下がれ!! 救助の邪魔だ!!」

 と、別のレスキューの男たちは、キム・テヤンも下がらせる。

 彼らは露骨にカン・ロウンたちをうっとうしがりながらも、皆がやったのと同じように、水の匣に入ろうとした。

 しかし、案の定、


 ――パシィィッ――!!


「う、おッ――!?」

「な、何だこの水は――!?」

「は、入れないぞ!!」

 と、その反応と結果も、ホン・ドヒョンやカン・ロウンたちと同じものであった。

「何か、水槽みたいな、ケースでもあるのか――?」

「い、いやッ!! 確かに、水だけでできてます!!」

 などと、ここもやはり、水の匣が純粋に水だけで出来ていることを確認する。

 レスキューたちは、道具を使う。

 ナイフを取り出したり、救助用の電動ノコだったり、エンジンカッターすら出すも、


 ――ギィィィン……!!


 と、それらの道具ですらエンジン音が響くだけであり、まったくの無力であった。

「だ、ダメだァッ!!」

「ほ、本当に、た、ただの水なのかッ――!?」

 と、レスキューたちが叫ぶ。

 そうして、素人玄人ふくめて、何もできないままで時間がすぎていく。

 ついに、その30分ほど経つ。

「おい!! もう30分たったぞ!!」

「な、何とかしてよ!! プロなんでしょ!!」

 ホン・ドヒョンとキム・ユナが、憤って叫ぶ。

「くっ……!!」

 ドン・ヨンファが顔を歪め、

「いくら、ソユンのヤツとは言え、このままじゃマズい……!!」

 と、キム・テヤンの顔も、いままでにないほど焦燥した表情になる。

「ま、まさか、」

「ソユンが、このまま、おぼれ死ぬ…、か……」

 カン・ロウンとキム・テヤンは、最悪の言葉が浮かんだ。

 無力な状況に、ただ焦りだけが強まる。

「な、何か……、何か無いか?」

 キム・テヤンが、思わず声にした。

 それは、カン・ロウンと、ドン・ヨンファも同様であり、

「くっ……! ろ、ロウン、何か、手はないのかい?」

「う~ん……」

 と、刻一刻と状況が悪くなる中、何とか状況を打開するための知恵を巡らそうとする。

 その時、


「あっ――」


 と、ふと、カン・ロウンが何か思いついたように、声を出した。

「あん? どうしたんだ? ロウン?」

 キム・テヤンが聞くと、

「お、おい……、一か八か、キツ――、“タヌキさん”に連絡を取ってみないか」

「タヌ、キ……? ああっ――!!」、こいつなら、死なないんじゃないか? 30分以上、経っても――))


 など、と――

 まあ、絶対に、口には出すことはできないが。

 ただ、もし仮に“そう”であっても、一刻もはやく、パク・ソユンを水の匣から救出しなければならないことに変わりはなく、そのために奔走しているわけではある。

 キム・テヤンが、

「なあ? この、“水の匣の水”ってのは……、確か、上の、水のディスプレイってのから降ってきた水だよな?」

 と、ホン・ドヒョンに確認するように聞いた。

「あ、ああ、」

 ホン・ドヒョンが、うなづく。

「そしたら、その水のディスプレイってのは、会場内のどっかで制御しているだろ? その、制御している連中はどうなんだ? もしかすると、何か、ハッキングみたいなこと、されてねぇのか?」

 と、キム・テヤンは、水のディスプレイから水のキューブがパク・ソユンを襲った際のことを思い出しながら聞いた。

 これまでの水のケースはさておき、水のディスプレイを構成するガジェットを、外部からハッキングのように乗っ取って操ることが可能であれば、先のような強襲も可能であると考えたからだ。

 ホン・ドヒョンが、スタッフたち何人かに確認し、

「いや、コンピュータのほうは……、とくに、異常はないようだ」

 と、報告してきた。

「そう、か……。すると、この制御を振り切って、水が、何者かの力によって、」

 と、キム・テヤンは考えを巡らそうとするも、いまはそれどころでなく、

「まあ、いい……。とりあえず、ヨンファの能力を使わせ続けるしかねぇか」

 と言って、そのドン・ヨンファのほうをみた。

 ダメもとで、ドン・ヨンファはさきほどの薔薇だったり、別の“魔法植物”を召還せ、何度も水の壁を破ろうとしていた。

 ただ、それらの“攻撃”はまったく効いてない様子で、

「おおいっ!! 何とかしろってんだよ!! ヨンファ!! 使えねぇ奴だな!!」

「はぁ!? いま、やってるじゃないかッ!!」

 キム・テヤンに声を荒げられ、思わずドン・ヨンファもキレ返す。

 しかし、キレてみたところで、事態は何ともならない。

 ――パシッ、パシィッ……!!

 と、水の匣は、ただドン・ヨンファの召還する植物たちを跳ね返し、その進入を拒み、

 ――ぽちゃん……

 と、虚しくも、“水面”に波紋が立つばかりであった。

 そこへ、さらに、


「おい!!」

「どけどけ!!」

「邪魔だ!! お前ら!!」


 と、慌ただしく怒鳴る声とともに、プロのご到着――、すなわち、レスキューがやって来た。

「どけこら!!」

 レスキューのひとりが、ドン・ヨンファを無理やりどかし、

「わっ!?」

 と、ドン・ヨンファはこけながらも、横へと弾かれる。

「おい!! 何しやがんだ!!」

 キム・テヤンが声をあげるも、

「どけ!! 素人は下がってろ!!」

「下がれ!! 救助の邪魔だ!!」

 と、別のレスキューの男たちは、キム・テヤンも下がらせる。

 彼らは露骨にカン・ロウンたちをうっとうしがりながらも、皆がやったのと同じように、水の匣に入ろうとした。

 しかし、案の定、


 ――パシィィッ――!!


「う、おッ――!?」

「な、何だこの水は――!?」

「は、入れないぞ!!」

 と、その反応と結果も、ホン・ドヒョンやカン・ロウンたちと同じものであった。

「何か、水槽みたいな、ケースでもあるのか――?」

「い、いやッ!! 確かに、水だけでできてます!!」

 などと、ここもやはり、水の匣が純粋に水だけで出来ていることを確認する。

 レスキューたちは、道具を使う。

 ナイフを取り出したり、救助用の電動ノコだったり、エンジンカッターすら出すも、


 ――ギィィィン……!!


 と、それらの道具ですらエンジン音が響くだけであり、まったくの無力であった。

「だ、ダメだァッ!!」

「ほ、本当に、た、ただの水なのかッ――!?」

 と、レスキューたちが叫ぶ。

 そうして、素人玄人ふくめて、何もできないままで時間がすぎていく。

 ついに、その30分ほど経つ。

「おい!! もう30分たったぞ!!」

「な、何とかしてよ!! プロなんでしょ!!」

 ホン・ドヒョンとキム・ユナが、憤って叫ぶ。

「くっ……!!」

 ドン・ヨンファが顔を歪め、

「いくら、ソユンのヤツとは言え、このままじゃマズい……!!」

 と、キム・テヤンの顔も、いままでにないほど焦燥した表情になる。

「ま、まさか、」

「ソユンが、このまま、おぼれ死ぬ…、か……」

 カン・ロウンとキム・テヤンは、最悪の言葉が浮かんだ。

 無力な状況に、ただ焦りだけが強まる。

「な、何か……、何か無いか?」

 キム・テヤンが、思わず声にした。

 それは、カン・ロウンと、ドン・ヨンファも同様であり、

「くっ……! ろ、ロウン、何か、手はないのかい?」

「う~ん……」

 と、刻一刻と状況が悪くなる中、何とか状況を打開するための知恵を巡らそうとする。

 その時、


「あっ――」


 と、ふと、カン・ロウンが何か思いついたように、声を出した。

「あん? どうしたんだ? ロウン?」

 キム・テヤンが聞くと、

「お、おい……、一か八か、キツ――、“タヌキさん”に連絡を取ってみないか」

「タヌ、キ……? ああっ――!!」

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