23 おいッ!! 最初から、その能力使えってんだよ!!
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場面は、下から上へと――
すなわち、プールの壇上のこと、
「「ソユンーッ――!!」」
「「ソー、ウーッ――!!」」
と、ホン・ドヒョンにキム・ユナ、それから、DJたち並びにイベント関係者たちが叫びながら、パク・ソユンのもとへと――、“水の匣”へと駆け寄っていく。
「くっ!!」
「ま、まさか!! 水の匣が、現れるなんて!!」
「まったく!! 何で!? よりにもよって、こんな、イベントのときに!!」
驚きを隠せない声と、憤る声が聞こえる。
また、さらにそこへ、すこし離れたほうから、
「お、おぉい!!」
「部外者は、来ないでくださいよ!!」
と、恐らくイベント関係者、スタッフが、すこし声を荒げるのが聞こえた。
その、声のしたほうを見るに、
「とおしてくれってんだよ!!」
と、キム・テヤンが、制止しようとするスタッフ、あるいはセキュリティに阻まれながらも、それらを物ともしない形で、振りほどくようにして突破していき、
「そ、そうだよ!! それに、僕たちは部外者じゃ、」
と、その後ろから、ドン・ヨンファが続いた。
「だ、から!! 部外者はダメだ!!」
「そうですよ、救護の邪魔になりますし……、皆が、押し寄せたら大変なことになりますから!! ここへは、入らないでください!!」」
改めて、スタッフがカン・ロウンたち三人を追い返したがるが、
「だ、から!! まったく!! 俺たちは、“アイツ”の……、ソユンの仲間だっつうんだよ!!」
と、キム・テヤンが、思わずパク・ソユンの名を出して叫んだ。
「あ、ぁ”?」
「は、ぁ……、? アンタたちが、ソウの仲間?」
イベント関係者の者は、「は、ぁ?」との顔で、顔をしかめつつ、
「仲間や友人だとしても……、アナタたちは、イベント関係者ではないですよね?」
と、あるスタッフの女は、毅然として言った。
イベント関係者としても、部外者が野次馬のように押し寄せてしまえば、パニック状態になること、壇上での、パク・ソユンの救助作業に支障をきたすことを考えると、当然のことであった。
だが、そんなふうに止めにかかるものの、
「おい!! 頼むから、通してくれってんだよ!!」
キム・テヤンが、
「う、ぐぐっ!!」
「と、止まんねぇ!?」
と、そこそこ体格のよいスタッフたちの制止を、ラグビーかアメフトのように振りほどき、突破せんとする。
まあ、これは、さすが元情報部のエージェントというだけあって、身体能力に、鍛えている体幹の強さ的なもののあるのだろう。
そのとき、先行するキム・テヤンのすこし後ろで、
――パ、チンッ――!!
と、カン・ロウンが、とつぜん指を鳴らした。
この、使っているのか使ってないのか分からないコードネーム、“スタイル”こと、カン・ロウンの異能力の発動する合図
「まあ、こんなことをしている場合ではないが、」
カン・ロウンは、そう言いながらも、
――タッタカ、タッタカ♪
と、ステップを刻む。
合わせて、
――ジャカ、ジャカ♪ ジャカジャカ♪
と、何ゆえか――? 音楽が流れてくる。
さらに、そのカン・ロウンに合わせるようにして、
――タッタカ、タッタカ♪
と、スタッフたちまで踊りはじめる。
「えっ――?」
「えぇぇーッ!?」
「な、何!? 何!?」
彼らは、困惑の声をあげる。
すなわち、カン・ロウンの異能力――
プロモーション・ビデオのように、自身のダンスに周囲の人間を巻き込むことにより、このように侵入したり、あるいは敵によっては無力化したりすることもできる能力である。
「おい!! 何やってんだ!!」
と、離れたところにいた仲間の声がするも、
「い、いや、」
「か、体が勝手に、」
と、答えるより他なかった。
そのようにして、
――タッタカ、タッタカ♪ タッタカ、タッタカ♪
と、カン・ロウンはスタッフたちと踊る形で、まるで、赤絨毯か花道のように道が空くようにして、パク・ソユンのほうへと進んでいく。
「おいッ!! 最初から、その能力使えってんだよ!! ったく!!」
キム・テヤンが言い、
「おいおい、こんな場面で、あんな能力使えと言われてもな、」
と、カン・ロウンが、「勘弁してくれよ」の身ぶりで答える。
そのようにしながらも、カン・ロウンたち三人は、パク・ソユンのもとへと急いだ。




