第十四録:これで対等 一節「時間稼ぎ」
「…上手くいったわよ、ウル」
「ありがとう!ネローズ、ブランカ!」
「いっくよー!!」
僕の合図でブランカは前線に走り出す作戦は順調
あとはレミリアの魔法準備が整うを待つばかり。
──変わらず俺たちと堕天使の攻防が続く
攻撃が通じてない訳ではないがことごとく致命傷は避けている。
弱点が頭しかない、これがかなり厄介だ
いくら体を切る、刺す、殴る、打つをしても
ダメージにならない、心臓ですら再生させる。
「くらえー!!」
堕天使の背後から現れた
ブランカは全力でハンマーを振り下ろす。
「グギャ!?グギ!!」
予想外の奇襲、しかし流石は堕天使
これを不可視の壁を防いだ。
(!?ア、アノオトコハドコヘ!ナゼ目ノ前カラ消エタ!?)
「グッ!?」
追撃の夜天羅の鞭を中央の頭部が魔法で阻止
攻撃を仕掛けるならいまだ
「コイスケ!」
にゃん!
コイスケに合図を出し俺は堕天使の
影から飛び出して真ん中の首を切り落とす。
「劣等種ガァァァァァアァァア!!!」
二つ目の首を落とされ怒りの頂点に達した堕天使。
なりふり構わず魔法を発動させ自身の周囲を
弾き飛ばそうとする。
「おわ!?なんじゃ!?」
「わー!?」
俺は瞬時に夜天羅を抱き上げ
すぐにブランカを小脇に抱えコイスケの力で影に潜む。
轟音、周囲を吹き飛ばしたのだろう
距離を置き影から俺たちは影から出た。
「おお!?」
「わぷっ暗かったー!」
そうこれがコイスケの能力。
妖ではない猫になぜこんな力があるのか?
それは人も動物も稀に何らかの力を
宿して生まるからだ、俺もその一人だ。
「これがコイスケの能力なんじゃな!」
「そう、夜天羅について来れた理由でもある」
「すごーい!」
コイスケは夜天羅の影に潜み付いてきたんだろう
思えば家にいた時も急に現れる事はあった
それがまさか影に潜む能力とは思いもしなかったが。
「で…作戦は?」
「ばっちり!」
「なら俺たちはあいつを抑え込むだけ」
「やる事は変わらんのう」
俺たちは堕天使と睨み合いをする
息を荒くし恨めしげにこちらを凝視。
「!?ナ、ナゼ魔法ガ効カン!?」
堕天使の目に映るのは後衛のネローズ
本を構え得意げな笑みが怒りを刺激する。
そこでやっと自身の変化に気がついた
「アノ…アノ人間メガァァ!!私ヲ、天使デアル私ヲ裏切ッタナァ!?」
「あら?やっと気づいたの?ま、もう遅いけど」
「アマリリス遺本、二章”アンセム”」
ネローズのおかげで全員、あの天使の魔法を無効化できた
俺は元々効かないので魔術はいらないと伝達済みだ。
ネローズのディスペル魔術はウル曰く
発動条件が厳しいが効果は絶大だ。
これで堕天使を優位から引きずり下ろした。
ディスペル魔術は堕天使にも掛けられている
…皮肉な事だ聖歌を受けた天使が力を失うなんて
「…」
無言の堕天使、怒りが振り切れ逆に
冷静になった様子強い殺意がビリビリと伝わる。
ベチャ…ビチャ、グチャリ…不愉快な肉と骨が変形をする音。
堕天使はその身体の形態を変える。
いらない部分を削ぎ落とし腕を生やす
下半身は蛇のように伸ばした。
最初とは違い明らかなサイズダウン
「近接に作り変えたか…」
「そのようじゃな」
「望むところだよ!!」
互いに準備が整う、動き出したのは堕天使、速い!
すぐさま刀を構え堕天使が振るう
右腕の刃を受け止める、なるほど強い。
だがその傲慢さが命取りになる
…心底、人を下に見ているこんな状況に
追い込まれても純粋な近接戦闘なら勝てると思っている。
夜天羅の鞭が左腕を拘束、ブランカがハンマーで
攻撃を繰り出すも蛇の様な下半身を使い弾く
俺は即座に追撃で首を狙うも空振り。
「逃げんなよ」
言葉を交わす気はないらしい
再びの接近、刃を振い連撃を仕掛けてくる
夜天羅もブランカも攻撃をしているがダメージを無視している。
首を2度も切り落とした俺への警戒から俺に
攻撃を集中している、恐らく各個撃破をするためだ
再生能力を前提にしたゴリ押し。
「!!」
影から夜天羅の鞭が現れ背後から
堕天使の首を拘束、たまらず仰け反る。
その隙をつき頭目掛けて兜割りを繰り出す。
両腕で受け止める堕天使
火花散る鍔迫り合いが繰り広げられる。
「うお!?」
魔術による衝撃波で後方に吹き飛ばされてしまう
急いで刀を地面突き立てブレーキをかける
俺は確かに魔術や魔法は効かないしかしそれが起こした現象は別だ。
例えば水を操る魔術を俺に当てたとする
当たれば操る魔力は分解され水は重力に従い地面に落ちる。
あくまで魔力にのみ作用する。
ウルが槍を壊された場所まで移動させられた
堕天使は吹き飛ばしながら追いかけてきたんだろう
俺を仕留めるため右腕の刃を振るう
それを刀で受け流し今度は俺から仕掛ける。
激しい攻防、二人は…よし退避した様だな
あとはどうやってコイツをこの場に留めるか




