第八十二録:白色の不穏 五節「メアリー」
「やってくれるなぁ」
声は何でもないような抑揚…しかしそこには確かな怒りが込められていた。
早歩きで地下を歩くカトレア、態度からも怒りが露わになっている。
「まさかだったよ!ハッキングされるなんて!ゴーレムの遠隔操作…予想外だったよね!!」
声を荒げて怒りを発散させる。
ドロシーにしてやられた事がカトレアの逆鱗に触れた。
「損傷は!!」
「はい、地上は全損。地下の被害は施設に軽微の損傷のみで機体にはダメージはありません。」
「チッ!悪魔どもは全滅か!!役立たずがッ!!何のために肉体を与えてやったんだ!」
カトレアは私兵である悪魔たち、その最高戦力はアスタロトとアスモデウスだが…それ以上に厄介なのが超再生を付与された悪魔。
しかし…その悪魔は跡形もなく消し去られた、肉の一片さえ残っていれば再生できるが…跡形なく消された。
カトレアに残された物、それは───
「"メアリーシリーズ"と"クラレント"準備は!」
「万全です。」
自動扉が開きカトレアが向かっていた場所に到着した…そこは格納庫だった。
中には5体の人型機体が並べられておりそれはレーヴァテインやグングニル・クレイドルに酷似した灰色の機体…だがその中の一体だけ赤い機体がいた。
「ハハハハ!壮観だね!怒りが消し飛ぶよ!」
カトレアは笑い自身の勝利を確信していた、これらは切り札にして自身の研究の成果。
自分の完璧な研究が負けるはずがない…そう思っている。
「メアリーシリーズ…僕の傑作達!!」
灰色の機体の足元には少女が立っていた…が生気がないが生きている。
「………証明してやるよ柏木!!兵器に感情なんて不要だと言う事を!!」
「では…メアリー00号から03号、搭乗します。」
そう言って秘書はパイロットスーツを着用し自身の機体へと向かい準備に入る。
「僕も準備をしようか…あの失敗作を今度こそ殺してあげなくちゃね。」
悪意の詰まった笑みを浮かべ何がおかしいのか高笑いを始めたカトレア。
ドス黒い悪意と殺意が笑いとともに反響する中でクラレントに光が灯り準備が完了した。




