第六録:日常 一節「解決」
ゴルドーさんの見送りを済ませて戻ってきたカルステ夫妻。二人は憔悴した様子で椅子に座る。
「…あの、なんかすいません…」
こんな厄介事に巻き込んでしまいつい居た堪れなくなって謝ってしまう。
「い、いえ…少し驚いただけなので…」
「でもなんでお二人にゴルドー様が身分証を?」
セイナさんはこちらへ疑問を投げかけ俺たちが異世界から来た事を説明すると、目を丸くして衝撃を受けていた…どうやらリグレさんは言ってなかったようで説明の後にちょっと説教されていた。
「恥ずかしい話、枢機卿と折り合いが良くなくて城を飛び出す形で出て来たので…」
簡潔に城を出た経緯を二人に話す嘘は言ってないが言えない事が多すぎる、その点は二人に申し訳なくなる。
「そう…だったんですね…」
動揺はしているものの一先ず状況を飲み込んでくれる二人、枢機卿と口にした時二人の反応は変わりはない…何教会かわからないが少なくとも本物の神がいる。
信仰していないはずがないと思うが敬虔な信者という訳ではないのか?あとはゴルドーさんが友好的な様子だったのもよかったんだろう二人は落ち着きを取り戻し、普段の様子に戻る。
「あと、すみませんギルドまで案内してくれたのに…事前に確認すべきでしたね」
「それはお互い様です、私も身分証は持っているばかりと」
まぁ…普通はそう思うしいちいち確認しない、この件に関してはそこまで考えが及ばなかった俺に非がある。
「ママーお腹すいたぁー」
うにゃんな
セイナさんの膝あたりの服を掴み訴えかける、その横にちょこんと座り一声鳴くコイスケ。
「そうね…お昼にしましょうか」
リリーちゃんの一声でセイナさんが立ち上がりキッチンへ向かう、それから俺たちも準備を手伝いながら昼食を作り食卓を囲み食後はゆったりとした時間が流れリビングで談笑をした。
「そうだ…ヨリツグさん、ヤテンラさん、お二人はこの後のご予定は?」
「またギルドへ行こうと思います出来るかわかりませんが依頼の確保だけでも、と」
するとリビングにドアベルの音が響いた。
「私が出よう」
リグレさんが来客をむかえに裏口まで行くその様子は少し緊張な面持ち、ゴルドーさんの事が尾を引いているんだろうな…戻って来たのリグレさんの後ろにはファスさんがいたその顔はどこか疲れた表情をしていた。
「お邪魔します…早速なんですがヨリツグさん、ヤテンラさん、ギルドの件なんですが…」
ギルドでの去り際、ファスはここに来ると言っていたがまさかこんな早く来てくれるなんて。
「我々の任務の依頼を請けませんか?」
「依頼…ですか?」
「はい、内容は乗合馬車の護衛です、通常なら私ども兵士で護衛任務を問題なくまわせるのですが…」
「混雑の具合を考え運行本数をを増やすそうで兵士だけでの対応は厳しい状況、他の業務に差し支えると
そこでギルドへ協力依頼を出そうと話が上がったのでどうかと思いまして」
確かに…あの混雑なら運行本数増やすのも妥当な判断だそれに伴う兵士の負担を依頼で減らすと。
「ただ…馬の負担なども考えて運行を増やすのは3週間後、ルスティア行きはその8日後。」
やはり1ヶ月はかかってしまうか…贅沢も言えないしこんな好条件に文句を言うとバチが当たる。
ま、この世界に慣れる時間が取れると考えよう。
「ありがたいですね」
「だのう〜是非お願いするのじゃ」
「では、兵長に伝えておきます明日、午後14時に兵舎までお越しください」
「わかりました」
「了解じゃ」
そう言うとファスは退室、俺たちも裏口まで見送りをしてリビングに戻る、予定変更だギルドへは明日、身分証を受け取ってから行こうそれ以外だと旅のための道具を買いに行くぐらいだな。
武器は揃えたあとはサバイバル用品くらいだ、衣服はリグレさんの店で揃える。
「予定…特になくなってしまったな」
「まぁ身分証まちじゃな」
今日はもうゆっくり村を散策しながら過ごすのもいい。
「でしたらお二人の採寸をさせて頂きたい」
リグレさんからの提案、俺たちの衣服を仕立てる為の準備や店の事もあるのに率先してやってくれるのは申し訳なさもあるが同時に嬉しい気持ちもある。
「では…よろしくお願いします。」




