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未来を掴むため 4




次の朝、12階層に(くだ)ってすぐ、私は背筋が凍る思いをした。


12階層に足を付けた瞬間、身体(カラダ)の中を私以外の魔力が走ったのだ。


——スキャンされてる!


咄嗟に抵抗しようとしたが、あえて止める。目を閉じて、肩の力を抜く。



()()()()()は、私の『何か』を知りたがっている。


このまま進もうとしても、入り口に帰されるなら。


私の全てを、この盤上に乗せる。


記憶でも考えでも、好きなだけ探るがいい。


そう思って、全ての抵抗を止める。



すると、くすくす笑う少年の声がした。



『腹が据わってるね、マーガレット。

うん、もう終わった。


僕たちだけ情報を貰うのも難だから、君が聞きたいことに答えようか』



ゆっくりと目を開けると、そこは懐かしい場所。

——前世でお気に入りだった。

美しい夜景を見下ろす、うちの会社が入った雑居ビルの屋上に、私はいた。



『ちょっとしたプレゼントさ。

気に入って貰えた?』


振り向くと、綺麗な金色と、銀色の(ドラゴン)

優しい眼差しと、好奇心に煌めく眼差し。


「ええ、ありがとう。

久しぶりに見たわ。やっぱり綺麗」


私は、(ドラゴン)たちに微笑みかける。

(ドラゴン)たちも、微笑み返してくれたような気がした。


そして、さっきより少し低い、少年の声。


『まず、君の疑問に答えよう。

君が察していたように、このダンジョンには目的がある。


君たちの呼ぶ”破魅(はみ)の宝玉”、僕たちは”ギフトブレイカー”と呼んでいる宝珠を渡すべき人間を見定めることだよ』


——ああ、成る程。だからか。


「私が破魅(はみ)の宝玉を本気で求めていたから、幻覚は必要なかったのね」


低い方の少年の声が、続けて話す。


『察しが良いね。正解だよ。

数多の困難を乗り越えてでも、この宝珠を求めるような人間しか、()()には必要ないからね。


君は、人を使って取りに来れる立場の人間だ。

でも、自分で来た。

まず、そこでも本気度が窺える』


ふぅ、と私は息を吐いた。

第一段階は、合格らしい。


『次は、「何故、宝珠を求めるか」。


その理由も、先刻探らせてもらった。


複雑な関係の義妹(いもうと)を、本気で救いたいと思ってる。


何故か、聞いても?」


(ドラゴン)たちが、私を見つめているような気配がする。

分かっているだろうに、あえて言葉にさせる。

——これは、テストだ。


「あの子に、孤独でいて欲しくないから。

()()、嫌なの。


優しくて、人懐っこい、人が大好きな子を、独りでいさせたくないの。

幸せでいて欲しいの。

綺麗事の理屈なんてのは無くて、ただ、それだけ」


正直に答える。

正解かどうかは分からない。

でも、正直でありたいと思った。


私が彼らを正面から見つめていると、(ドラゴン)たちが、ゆっくり目を閉じた。


しゃららん、しゃん、しゃらんと鈴のような音がする。

話し合っているのかな。



暫くすると、少し高い、少年の声。


『僕たちの役目は、宝珠を持つべき人間に渡すこと。


——君に渡してもいいよ。

心の底から欲し、私利私欲で使うことを考えていない君には、その資格がある』


フワッと、目の前にソフトボール大の、虹色に光る珠が出現する。


……なんて美しいの。


私が見惚れていると、低い声の方の(ドラゴン)は更に言葉を継いだ。


『この宝珠は、このままで1回だけ使える。


つまり、一人だけ助けられる。


——でも、君の望みは違うよね?』



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