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ヴァンパイアとパンダ  作者: 怪獣大熊猫
ドワーフの国ニザヴェリル
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レストラン・アウドムラ

 ギルドの受付嬢フラウに紹介してもらったレストランへとやってきた。レストランは例によって石造りの頑丈な外観をしており、看板にはレストラン・アウドムラと書かれている。入り口にはメニューが置いてあり写真付きで料理が載っている。値段的にはお手頃な感じだ。また立て看板に本日のおすすめメニューが書かれており、おすすめメニューはサービス価格になっている。

「いろいろあるけど知らない名前の料理ばかりだね。何にしようか?」

「おすすめがいいんじゃないでござるか?」

「おすすめと言うからにはこの国の代表的な料理なのだろう。吾輩はそれで構わんぞ。」

「私はなんでもいいぞ。」

「それじゃあみんなおすすめを頼もうか。」

「一人前は食べられないけれど他国の料理の味を調べておきたいから、私にも分けて貰えるかなー?」

「私は本来食べる必要もないし私の分を分けてあげるよ。」

「ありがとーマキちゃん。」


「ニザヴェリルのレストランでは、最初に飲み物の注文を聞かれるから決めておいた方がいいぞ。」

「ミカは昔来たことがあるからこの国の作法を知っているのか。」

「昔の話だから今も同じか分からないけどな。」

「うーん、ドワーフは酒飲みが多いだけあってお酒の種類が豊富だね。」

「酒以外ならフルーツジュースがいいぞ。いろんな果物が選べるから飽きないしな。」

「飲み物はそれぞれ好きな果物を選ぶって事で、とにかく店に入るでござるよ。」

「よし乗り込め―。」


 店内は広々としており6人掛けの丸テーブルが5卓と、カウンターが5席ある。カウンターではくつろいだ様子の男性のドワーフ5人が仲良く飲んでいる。様子からして常連客だろう。テーブル席はすべて空いているが少し夜も更けてきたので、こんな時間に食事に来る客はあまりいないのだろう。


 店内に入るとフロアに居た若いドワーフの女性が私たちに気付いて近づいてきた。

「こんばんはー。」

「こんばんは!空いてるテーブルにご案内しますね!」

「お願いします。」

 ものすごく元気な店員だな。受付のフラウと同じく背が低くてかわいらしいが、夜遅くまで働いているし大人なのだろう。街中で見たドワーフ達も小さい人ばかりだったな。

「飲み物のご注文はお決まりですか?」

「はい。料理の注文も一緒にお願いできますか?」

「はい!承ります!」

「おすすめメニュー4人前と、私はリンゴジュースをお願いします。」

「私はブドウジュースだ。」

「拙者はミカンと言いたいところでござるが流石に無いようだから、オレンジジュースをお願いするでござるよ。」

「吾輩もブドウジュースをお願いする。」

「承知しました!それではごゆっくり!」


 注文してすぐに飲み物とおしぼりが運ばれてきた。

「飲み物をお持ちしました!」

「ありがとうございます。」

 運ばれてきたジュースはシュワシュワと泡を立てている。この店では種類によらずフルーツジュースはみんな炭酸ジュースのようだ。おしぼりで手を拭いてからジュースに手を付ける。

「いただきます。」

 リンゴジュースは少し酸っぱいけど自然な甘さで素朴な美味しさだ。炭酸が効いているので口の中がすっきりするな。肉料理に合いそうな味だ。


「さっきの吸血鬼騒ぎのことなんだけど、フィオはミカ以外に吸血鬼が居ることは知っていたの?アカネは最初会ったときはミカの事も知らなかったみたいだけど。」

「吾輩は知識としてはあの類の吸血鬼が居ることは知っていたぞ、図書館にデータが有ったからな。500年ほど前には一人の吸血鬼が起こした大事件があったらしいのだが、さっきの吸血鬼にそれほどの事件を起こせるとは思えないな。吸血鬼の強さにも個体差が有るのだろう。」

「和の国では吸血鬼が実際に居たなんて話は聞いたことがなかったでござるよ。」

「冒険者達はミカを怖がったりしないみたいだけど、同じ吸血鬼とは思われていないの?」

「どんな種族にも凶暴な者や穏やかな者がいるだろう?この世界では多種族の共存共生が普通だからな、同じ種族だからと言って個人の性格を見ずにいきなり恐れたりはしないぞ。」

「言われてみればその通りだね。」

 たとえるなら犬に特別な感情がない人にとって、懐く犬は好きだけど噛みつく犬は嫌いみたいなものかな。


―――数十分後、注文した料理が運ばれてきた。

「お待たせしました!本日のおすすめメニュー4人前です!ごゆっくりお召し上がりください!」


 運ばれてきた料理はセットメニューで肉料理2種類にソーセージ盛り合わせ、サラダ、そして主食のパスタとなっている。メインディッシュは牛肉を煮込んだカレー料理で、蒸かしたじゃが芋と紫キャベツの酢の物が添えられている。もう一つの肉料理は薄切りの牛肉で、野菜を巻いてデミグラス風のソースがかけられたものだ。ソーセージは太くて大きく、普通のものとチョリソーとハーブ入りの3本で、細かく切れ込みが入れられて、こんがり焼かれている。またソーセージには粒入りマスタードとレタスが添えられている。サラダはシンプルに具はキュウリだけのポテトサラダだ。パスタは小さい巻貝のような形で、チーズをあえてから小さくちぎったパセリが散りばめられている。相当な量だがサービス価格で一人2000クローネだ。1円=1クローネくらいと考えると1食分としては少々高いが、量の割には安いと言えるだろう。ちなみにジュースは300クローネでおかわり自由だ。


(一同)「いただきます。」

「冷めないうちに味見した方がいいだろうし、ミミルが先に食べていいよ。」

「ありがとー。それじゃ少しずつもらうねー。」

 ミミルは一通りの料理を一口ずつ食べて分析している。

「ちょっと塩分が多いけど概ねバランスがいい食事だねー。特にキャベツの酢漬けは栄養豊富だよー。」

「成分の話だけで味に関してはノーコメントなんだね。」

「味覚は個人差があるからねー。図書館のデータには私が見た映像も付属できるから雰囲気はつかめると思うよー。もう十分だからマキちゃんあとはどうぞー。」

「じゃあ改めていただきます。」

「ミッドガルドの家庭料理と比べると肉料理が多いな。ドワーフは職人が多いから筋肉をつけるために、このようなバランスになっているのだろうな。見た目通り味も豪快だが美味いな。」

「フィオ殿の料理も美味しかったけれで、これはまた別の美味しさでござるな。和の国のカレーと似た料理もあるでござる。」

「カレーはインド料理なんじゃないかな?」

「この世界ではラクサーシャという国の伝統料理だな。あそこは和の国同様変わった国だけど面白いぞ。」

「吾輩はカレーという料理は初めて食べたがスパイスが効いていて美味いな。今度作ってみるか。」

 その後も談笑しつつのんびりと食事を楽しみ、全員残さずきれいに食べた。店員がちょうどテーブルの近くまで来ていたので会計を頼むことにする。

(一同)「ごちそうさまでした。」

「お会計お願いします。」

「はいレジへどうぞ!」


 レジへと移動して店員が会計処理をしている。

「お会計は9200クローネですね!」

「ギルドカードで支払いお願いします。」

「はい!お預かりします!」

 ギルドカードをレジに差し込むとすぐに会計は終わった。

「ご利用ありがとうございました!また来てくださいね!」

「はい、また来ます。ごちそうさまでした。」

 食事を済ませた一行はレストランを後にして宿泊施設へと帰ることにした。お風呂には先に入ってしまったし後は部屋に戻って寝るだけだな。


 宿泊施設の203号室へと戻り寝室を確認すると、ベッドは4つあったので1人ずつ分かれて眠ることになった。少し魔力操作の訓練をしてから眠ることにしよう。

 吸血鬼騒ぎで中断してしまったが、明日はギルドで受注するクエストの確認の続きをやろう。そしてお昼までに時間が有れば何かクエストを受ける事にしよう。午後からはドワーフの鍛冶屋イーヴァルドへ手紙を届けて、そのままアカネの武器の新調についても交渉することになるだろう。急ぐ旅でもないのでそこまでスケジュールを詰める必要はないけれど、ダラダラしていてもしょうがないし臨機応変に行動しよう。

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