お風呂-2
食事も終わったので寝る前にお風呂に入ることにした。借りた民家はおそらく一般家庭であるが水道が通り、風呂トイレが完備されている。ミカの家では魔法で水を通していたがここも同じなのだろうか。
「お風呂を沸かしてくるでござるよ。」
「手伝うよ。」
「昼のうちに掃除は終わってるから一人で大丈夫でござるよ。」
「そっか。水道が通ってるけどこれも魔法で動かしてるの?」
「一昔前はそんな時代もあったみたいでござるが今は上下水道が整備されてるでござるよ。」
「へー。」
「女神に送り込まれたと言っていたでござるが、マキ殿はこちらの世界のことをよく知らないのでござるか?」
「こっちに来てまだ3日目だからね。こちらの世界ってことはアカネは二つの世界があるのは知ってたの?」
「和の国には拙者のように前世の記憶を持ったものも多いし、もう一つの世界の存在は広く信じられているでござるよ。他の国ではどうかわからないでござるが。」
日本からの転生者が多いらしいが何か条件があるのだろうか。和の国に行けばわかるかもしれないしそのうち行くことにしよう。
「マキ殿はもともとパンダだったのでござるか?」
「たぶん人間だったと思うけどちょっとした行き違いでこんなことに。」
「拙者も前世は人間で今は亜人でござるから、まあ似たようなものでござるな。」
そういってアカネはお風呂の準備に向かった。
大規模農場や牧場もだが魔法の世界は科学の世界とそれほど文明レベルに差がないように思える。一方で機械や電子機器の類は見当たらないが。転生者が技術を持ち込むという話だし科学の世界の技術が魔法の世界に持ち込まれたのだろう。あるいはその逆かも知れないが、いずれにせよお互い影響し合っているようだ。
<カポーン>
3人でお風呂に入ることにした。木造平屋のわりには風呂が豪華すぎる気がするが、3人でも余裕で入れるくらい大きい。そしてなぜか和風だ。
忍び装束で隠れていてわからなかったが、アカネが服を脱ぐと全身毛皮に覆われていた。見えていた耳と尻尾だけかと思っていたが想像以上に獣度が高い。服必要なのかな?と思ったが黙っておいた。体格はやはりミカと同じくらいでその胸は平坦であった。
アカネはすごい速さで自分の体を洗い先にお風呂に入った。
「さすが忍者素早い。」
「マキはまた私が洗ってあげるよ。」
「なら拙者も手伝うでござる。」
「よろしくー。」
風呂掃除用のブラシで二人がかりで洗ってくれたのですぐに洗い終わった。洗ってもらうのは楽だが毎回だと申し訳ないので一人でも洗える手段を考えよう。
「ミカ殿も洗ってあげるでござるよ。」
「自分で洗うよ。」
「遠慮なさらずにー。ほらほら座ってー。」
遠慮というか普通に嫌そうだったがアカネの押しが強くて根負けしたようだ。
「ミカ殿は肌がすごいきれいでござるな―。」
「不老不死だからね。いつでもベストコンディションさ。」
「へー、いいでござるな―不老不死。拙者もなれるでござるか?」
「無理。」
「えー?マキ殿も不老不死なのでござろう?」
「うんまあ成り行きで。鍛えても強くなれないけど不老不死になりたいの?」
「修行できなくなるのは困るしやっぱりいいでござる。」
なりたくてなれるわけでもないと思うが、それほど本気ではなかったようだ。
3人とも体を洗ったので改めてお風呂につかる。
「ミカの家もお風呂は和風だったけど、こっちの世界だとみんな和風なの?」
「大衆浴場は国ごとに特色があるでござるよ。一般家庭に風呂を作る風習は和の国の風呂職人が世界中に広めたから和風が多いみたいでござるな。」
「そういえば毎日お風呂に入るのって日本人くらいだって聞いたことある気がする。」
「私も毎日入ってたよ。せっかく作ったからね。」
「あのお風呂も手作りだったのか。」
ゆっくりと温まってから風呂から上がった。
「忍法つむじ風でござる。」
アカネが忍法で3人の周りに竜巻状の風を起こして体を乾かした。便利だな忍法。
「私も同じことできるよ!」
ミカがなぜか張り合っている。見た目相応の態度を取るとちょっとかわいい。
特にやることもないのですぐ寝ることにしたが、アカネは修行の一環で屋根裏で寝るとのことだった。なのでまたミカと一緒に寝ることにした。
「おやすみなさいでござる。」
「「おやすみー。」」
明日は王都に向かうことになるので期待に胸を膨らませながら眠りについた。




