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断片1

 そこにはたくさんの天狗がいた。

 天狗はやさしくて、でもひどいことばかりするのでおそろしかった。

 私たちは痛いことや苦しいことやかなしいことに泣くことしか出来ない。

 毎日、痛くて泣いて、苦しくて泣いて、さびしくて泣いた。

 泣いても無駄だとわかってからも、やっぱり毎日泣いた。


 泣いているといつの間にか眠くなってきて、目が覚めると誰かがいなくなっていることがある。

 いなくなった子はだいたい何かおかしくなって帰って来たけれど、時々いつまでたっても帰って来ない子もいた。

 少し仲良くなった子が帰って来なかった時、天狗のひとりにたずねてみた。

 天狗は少し困ったような顔で「その子は頭を割って脳みそに電気を流したら、手足をびくびくさせて死んでしまったんです」と教えてくれた。


「見ます?」と渡された写真には、おでこから上が無くて中身に針みたいなものが色々刺さっているその子が、左右ばらばらの方向を見た目で、白い泡みたいなのと舌をだらりと出して写っていた。


 私は吐いて、吐きながら泣いた。

 天狗も「可哀相ですよね」と言って一緒に泣いていた。


 あなたが殺したくせに。そう言いたかったけれど、吐いたものと涙でぐしゃぐしゃになって言えなかった。

短いですが、ここでワンクッション入れておく、ということで。

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