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6 挫折と希望と

「はぁはぁっ・・はぁはぁ・・」

あたしはその場にしゃがみ込み、今まで味わった事のない恐怖感と絶望に苛まれていた。

失望感と後悔が幾度と無く押し寄せ、無言のまま震えて動くことすら出来なかった。


こんなことなら異世界なんか来るんじゃなかった。

結局あたしになんか何も出来ないんだ・・


そして・・


フェアルシアさんやアトリーナさん・・メルちゃんも・・。


また・・あたしひとりぼっちに・・。

このままあたしもあの魔物に取り込まれちゃうのかな。


そしたらあたし、どうなるんだろ。


「うぅっ・・誰か、助けて・・」





物音ひとつも聞こえてこない大聖堂のような屋敷のホール。

高い天井付近に設けられたステンドグラスから綺麗な光が差し込む。

あたしは長い時間そんな場所にしゃがみ込んでいる。

壁の部分にとても大きな女神の絵画があり、あたしは無意識にその女神をずーっと見つめていた。


どの位時間が経っただろう。


あたしに覆いかぶさっていた恐怖感や絶望も少しづつ薄れ、身体の震えも治まっていた。

氷の様に冷たく、無常にも解けていくようなユニオンを見つめ自身に問いかける。


あたしは何をしに、何のためにここにきたの?

今何をするべきなの?


あたしはゆっくりと目を閉じ、胸に手をあて心に誓う。


立ち止まっても何も変わらない。

後悔なんてしても自分の決めた道だし、誰のせいでもない。

現実の世界でも、ましてやこの不思議な異世界だってあたしが変わらなきゃ何も変わらない。

あたしはここに自分を変えるために来たんだ。

そして困っている人が居るなら助けなきゃって。

その気持ちが不安定じゃダメなんだ。


あたしはそっと立ち上がり、大きく深呼吸をした。


「みんなを助けなきゃ。それが今のあたしに出来る事なんだ」


少しずつ高揚する気持ちが薄れないように、あたしは行動を起こすことにした。

外に残されたみんなが気がかりだけど、今のあたしが行ってもわざわざ危険に身を投じるだけだし。

フェアルシアさんが言ってた地下室を探さなきゃ。

きっとそこに何かあるはずなんだ。

でも・・さっきメルちゃんをみんなで探してた時、地下室らしきものなんて見かけなかったけど・・。

う~ん・・、とりあえずあたしがこのお屋敷で行ったことのある場所は、

最初に案内された大きなリビングと、洋服を着替えるために使ったフェアルシアさんの部屋。

それにさっきの中庭くらいね。

それ以外の部屋も調べながらもう一度歩いてみるしかないわね。

このお屋敷は空から見ると多分漢字の口みたいな形をしていて、その中央に中庭がある。

あたしは左回りに屋敷を散策することにした。


半円アーチで造られた廊下が続き、小さい小窓からぼやっとだけ光が差し込んでいる。

こんなお屋敷に住んでみるのも憧れちゃうなぁ。なんかお姫様になったみたいっ。

これが旅行とかで来ているならまだしも、今はそんな呑気なこといってる場合じゃないよね。

歩きながら一つ一つ部屋を確認してみるも地下に行けそうな階段らしきものは全く見当たらなかった。

なんでだろう。もしかして隠し部屋みたいになってたりとか・・。そんなんあたしじゃ見つけられないよぅ。

こういう時に魔法とかも使えたら見つけちゃったりも出来るんだろうけど。

でも今のあたしが使えるのってメルちゃんがやってくれた瞬間移動のやつ?

ただ見て聞いただけだし使えるかどうかもわかんないし。そもそも地下に行ったことないから使えないじゃん。

モヤモヤしながらふと立ち止まった場所は正面のホールからは正反対の丁度半周したところだった。

この部屋も調べておかないと。

ガチャリとドアの開ける音が鳴り、少し警戒しながら中に入る。


バタンッ


廊下も静かだけど部屋に入ると自分の鼓動が聞こえそうなくらい物静かだ。

室内は広いわけではなく今までと違いジメジメとまではいかないけど、少ししっとりした室内だった。

左右に木箱が積まれていて正面にはランタンが設置されていた。

そしてそのランタンが照らしている場所は半開きになっているドアだった。

あたしは少し警戒しながらドアに近づきそっと開けてみた。

「こ・・これって・・」

そこには部屋とか収納ではなく人がすっぽり入れるくらいの四角い穴が床に開けられていた。

「まさか・・これが地下室の入り口ってゆーオチなの・・」

その穴には降りるための梯子のようなものもなく、底も見えないただの落とし穴のようだった。

携帯のライトで照らしてみたが吸い込まれるような暗闇でまったく様子が分からない。

あたしは少し考えながら部屋の中を見渡した。

台の上に置いてあったペーパーナイフの様なものを手に取りそっと穴の中に落としてみた。


キーンッ・・カラカラ・・カラッ・・


すぐに音が返ってきたことを確認し、あたしはこの穴に入ることを決意する。





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