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第いってんごの人生  作者: 楽haku
第1転
6/9

想定内のイベントに

オリエンテーション合宿編スタート

 なるほど。

 避けては通れぬ、とはこのこと。性別を偽って入学した主人公が「ええー?どうしよう!」と赤面するのはあるあるだと思っている。だが、思うのだ。その覚悟もなかったのかよ、と。私、勇美は……腹をくくっている。なんせ、「男」なのだから。

 オリエンテーション合宿。

 学校生活を送る上での心構えを学ぶと共に、みんなで親睦を深めようという名目の、一泊二日の合宿である。グループは、既に決まっている。好きに決めていい、という担任の号令で、勇美は龍二に手を引かれ、沖野も龍二に手を引かれ、雪乃も晴夏も……と、半ば強制的に集められたグループができあがった。

 「全員決まったようだな。ちなみに就寝は男女別だ。女子、俺んとこに来ちゃダメだからな」

 この新塚のノリにも若干慣れた一同は素直に返事をした。

 学校生活に特に不安を抱くことなく過ごしてきた勇美だが、ここでようやく自分の心が女であることを意識した。今までは、人見知りな性格故に男女問わず人と関わることは苦手であった。だから、外見がどうであろうが日常は変わらないと思っていた。……変わったのだ。勇美は男として生活しているのだ。男を隣に、寝るのか……。そして、入浴……。もう一度言うが、覚悟をする余裕はなかったが腹はくくっている。勇美は、体は完全に男なのだ。バレようがない。しかし……、男に免疫がないのに、クラスの男子の裸を見ることになる。龍二に一度上半身を見られたし、自分の裸も一度見た。それ以降、もちろん見られていないし、自身でも入浴時は直視を避けている。

 ショックで倒れなきゃいいなぁ。

 今から対策を練らなければ。だが、思いつくはずもなく。オリエンテーション合宿は幕を開けてしまうのであった。


 休みたい。しかし、根が真面目であるゆえそれはできない。合宿所までバスに揺られる。隣に座るのは、沖野だ。席順は名簿順によるものだ。彼はすやすやと寝ているが、後ろの席の龍二が騒がしい。よく寝ていられるなぁと勇美は感心する。

 「さっくんさっくん!ババ抜きやろー!」

 龍二が椅子と椅子の隙間から沖野の肩をペチペチ叩く。勇美は口元を引きつらせることしかできない。

 「……るせ」

 ギュウウウウウウウウウ。

 剣呑な顔つきの寝起き沖野は無邪気にはしゃぐ手の甲を思い切りつねった。龍二は涙目でしばらくうずくまっていた。沖野を起こすことは、絶対にやめよう。勇美はこの合宿で初めての教訓を得た。

 そんなこんなで、バスは合宿所へ到着した。生徒はぞろぞろと降り、まず宿泊する部屋へ分かれる。これも名簿順によるものだ。同じ部屋に沖野と龍二がいて安心する。その後、体育館に集合し、合宿の流れを説明された。レクリエーション、飯盒炊爨はんごうすいさん、自然活動、などなど。今からは、飯盒炊爨だ。メニューは定番のカレーライスである。

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