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1 僕と真偽とちーたん

初めまして、ちーたんです。


この作品『僕とちーたん』を読んでいただきありがとうございます。


警察官の「僕」と、記憶を失った重要指名手配犯「ちーたん」の物語です。


サスペンスやミステリーをベースにしつつ、登場人物たちの成長や関係性も描いていけたらと思っています。


文章や展開で至らない部分もあるかもしれませんが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。



それでは、本編をお楽しみください。

雨が降っていた。


 街灯に照らされたアスファルトは黒く濡れ、まるで夜そのものを映しているようだった。


 僕はパトロールの帰り道、コンビニで買った缶コーヒーを片手に歩いていた。


 警察官になって二年。


 正直に言えば、この仕事は向いていない。


 人と話すのは苦手だし、職場の飲み会なんて一度も参加したことがない。


 同期たちが事件を解決して表彰される中、僕は今日も交番勤務だった。


「はぁ……」


 思わずため息が漏れる。


 その時だった。


 路地裏の奥から、小さな物音が聞こえた。


 猫だろうか。


 そう思って近づく。


 だが、そこにいたのは猫ではなかった。


 一人の男だった。


 高校生ぐらいだろうか。身長も高く、ガタイは大人と変わらなかった。


 白いパーカーを着た男が、壁にもたれかかるように座り込んでいる。


 伸びた長い髪は雨に濡れ、顔色も悪い。


「大丈夫ですか?」


 声をかける。


 青年はゆっくりと顔を上げた。


 その瞬間、僕の心臓が止まりそうになった。


 見覚えがあった。


 忘れるはずがない。


 警察署の掲示板。


 テレビのニュース。


 全国に公開された指名手配ポスター。


 そこに載っていた顔と、目の前の青年は完全に一致していた。


 重要指名手配犯。


 ――ちーたん。


 僕は反射的に警棒へ手を伸ばした。


 しかし。


「……ごめんなさい」


 男は怯えたように言った。


「僕、自分が誰なのか分からないんです」


 その言葉に、僕の動きは止まった。


 いや、止まってはいけない。


 相手は重要指名手配犯だ。


 全国の警察が追っている犯罪者。


 どんな事情があろうと、まずは確保しなければならない。


 頭では分かっていた。


 それなのに。


 目の前の青年は、とても演技をしているようには見えなかった。


 震えている。


 雨に打たれながら、小さく肩を揺らしている。


 僕は警棒から手を離した。


「名前は」


「……分かりません」


「家族は」


「分かりません」


「どこから来た」


「分からないです」


 全部同じ答えだった。


 さすがにおかしい。


 記憶喪失のふりをしている可能性もある。


 だが、その目には嘘をついている人間特有の迷いが見えなかった。


 僕は制服のポケットから手帳を取り出した。


 指名手配書の顔写真。


 やはり一致している。


 特徴も同じだ。


 年齢は推定十五歳。


 身長百七十五センチ前後。


 複数の傷害事件や殺人事件への関与が疑われてい る。


 危険度A。


 見つけ次第通報。


 単独での接触は避けること。


 そう書かれていた。


 だが。


 今目の前にいる青年からは危険な雰囲気を感じな い。


 むしろ。


 捨てられた子犬のようだった。


「……寒いか」


 青年は小さくうなずいた。


 雨はさらに強くなっている。


 このまま放置すれば体調を崩すだろう。


 僕は自分の上着を脱いだ。


「着ろ」


「え」


「風邪をひく」


「でも……」


「いいから」


 少年は恐る恐る受け取った。


 ぶかぶかだった。


 当然だ。


 僕の制服なのだから。


「ありがとうございます」


 その言葉を聞いて、ますます分からなくなる。


 本当にあの指名手配犯なのか。


 ニュースで見た内容は凄惨だった。


 被害者は何人もいる。


 目撃証言によれば、犯人は異常な身体能力を持ち、まるで別人のように性格が変わることもあったとい う。


 別人のように。


 その言葉が妙に引っかかった。


「なあ」


「はい」


「最近の記憶はあるのか」


 少年は少し考えた。


 そして。


「夢ならあります」


「夢?」


「誰かが暴れてる夢です」


 僕は眉をひそめた。


「誰かって」


「分かりません」


 少年は俯いた。


「でも、その人が人を殴ってるんです」


 雨音だけが響く。


「ナイフも持ってて」


 少年の声が震えた。


「血だらけで」


 僕は黙った。


「その人が笑ってるんです」


 少年は自分の胸を押さえた。


「なのに、その顔だけ見えなくて」


 そこで言葉が途切く。


 次の瞬間だった。


 少年が急に頭を抱えた。


「っ……!」


「おい!」


「痛い……!」


 体が大きく揺れる。


 呼吸が荒くなる。


 苦しそうに地面へ膝をついた。


 そして。


 ゆっくりと顔を上げた。


 その瞬間。


 僕は背筋が凍った。


 目が違う。


 さっきまでの怯えた目ではない。


 まるで獣だった。


「……あ?」


 低い声。


 先ほどとは別人のような口調。


 青年は立ち上がる。


 さっきまで苦しんでいたとは思えないほど自然に。


 そして僕を見た。


「警察か」


 ニヤリと笑う。


「面倒なのに見つかったな」


 心臓が激しく脈打った。


 本能が警告している。


 危険だと。


 目の前にいるのは、もう先ほどの青年ではない。


 全く別の何かだった。



ここまで読んでいただきありがとうございました。


第一話はいかがだったでしょうか。


突然現れた重要指名手配犯の青年、ちーたん。

そして主人公の前で起きた不可解な人格の変化。


ここから二人の運命が大きく動き出していきます。


僕自身中学生のため至らない部分もありますが、これからよろしくお願いします


感想や評価をいただけると、今後の励みになります。


次回も読んでいただけると嬉しいです。


それではまた次話でお会いしましょう。

(こういうかっこいいフレーズ言ってみたかったんよな)

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