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最強の創造スキルを手に入れた俺、異世界で大儲けできると思ったら現代科学より上でした  作者: おりこー3


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第75話:魔王の目的

ここは――


あの時の場所。


湖。


静かな水面が、青白く揺れている。


シオリに手を引かれ、ユウトはそこに立っていた。


「ユウト」


静かな声。


「2日も寝てたんだよ」


「私は昨日、目が覚めたの」


「……」


ユウトは何も答えない。


ただ、隣にいる“シオリ”を見る。


違和感。


はっきりとは分からない。


だが、確かにある。


「……」


その視線に気づいたのか。


シオリは、少しだけ目を細めた。


「言わなくていいわ」


穏やかな声。


「分かってるから」


「……ユウト」


一瞬、間。


「ごめんね」


「何がだ?」


低い声。


「……お前が“詩織”じゃないことか?」


沈黙。


湖面が、わずかに揺れる。


そして――


「……全部よ」


その答えは、静かだった。


「私はセレス」


まっすぐに見つめる。


「あなたに分かりやすく言うなら――」


わずかに間を置く。


「かつて“聖霊”と呼ばれた存在」


「……は?」


理解が追いつかない。


「なんの冗談だよ」


「なんの冗談だよ」


声が重なる。


同時に。


「……は?」


「……は?」


さらに重なる。


ユウトの表情が固まる。


「……っ」


セレスは小さく息を吐いた。


「これが、私の力」


「あなた達は“スキル”って呼んでるのよね」


静かに続ける。


「私のスキルは――全てを知る力」


「“全知全能”」


「……全知全能?」


「そう」


短く頷く。


「そして、シオリちゃんも」


その名前に、ユウトの肩が揺れる。


「……」


「彼女のスキルには、気づいていたわよね」


「あぁ……」


ユウトは視線を落とす。


「超科学なんかじゃないってことは」


「ええ」


セレスが頷く。


「彼女が与えられたスキルは“全能”」


「そして、あの夜――」


湖の光が、わずかに強くなる。


「“全知全能”へと覚醒した」


「それより――」


言いかけた瞬間。


「言わなくていいわ」


セレスが遮る。


「分かってる」


「全部、話すから」


「……」


ユウトは黙る。


「彼女の魂は今」


セレスの視線が湖へ向く。


「あのドラゴンによって封印されている」


「……」


言葉が出ない。


「彼女を救う手は――ひとつ」


「……倒せばいいんだろ」


即答だった。


――違う。


「ドラゴンを倒しても、戻らない」


「……っ」


「必要なのは“救済”」


静かに告げる。


「神のスキル」


「私や、あなたと同じ領域の力」


「……」


「そのスキルの持ち主は――」

「今は、存在しない」


「なっ……!?」


「安心して」


淡々と続ける。


「1年後に転生される」


「……は?」


理解が追いつかない。


「でもね……」


ほんの少しだけ、表情が曇る。


「すごく嫌な奴よ」


「……は?」


一瞬、空気が緩む。


それでもすぐに戻る。


「けど大丈夫」


視線が、まっすぐユウトに向く。


「私が必ず救ってあげる」


ほんの僅かに。


声が揺れる。


「今度こそ……」


「……」


ユウトは何も返せない。


「それまで」


静かに続ける。


「少しの間、この身体を借りるわね」


「……あぁ」


短く答える。


納得ではない。


それでも――受け入れるしかない。



「……」


「あのドラゴン」


視線が湖へ向く。


「あれが“魔王”で合ってるわ」


「……」


「そして――」


一瞬、間。


「彼の目的は」


湖面が揺れる。


「二度と悲劇を起こさせないこと」


「……!?」


ユウトの目が見開かれる。


「その前に」


セレスは続ける。


「“魔王”について、もう少しだけ」


「……」


「彼もスキルを持ってる」


静かに。


はっきりと。


「“天地創造”」


その言葉が、重く落ちる。


「……は?」


「そう」


セレスが頷く。


そして――


ユウトをまっすぐ見た。


「あなたが持っている“創造”」


「それが覚醒した力よ」


湖面が、わずかに揺れる。


「“天地創造”と“全知全能”」


「この二つが揃えば――」


「最強の力になる」


「……」


ユウトは何も言えない。


ただ、その言葉の重さだけが沈んでいく。


「でもね」


セレスが続ける。


「それを巡って、人はまた争う」


「争いの矛先はやがてスキルの持ち主へ向く」


静かな断言。


湖の光が、わずかに脈打つ。



――その瞬間。


ユウトの中で、記憶が重なる。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「私と組まない?」


「私たちのスキルを組み合わせれば」


「最強のコンビになると思わない?」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「……そうよ」


セレスが、小さく笑う。


「フフ」


「“創造”の持ち主が、ユウトで良かった」


その視線は、まっすぐだった。


「ユウトなら」


ほんの僅かに、声が柔らかくなる。


「きっと、運命を変えられる」


「……」


ユウトは答えない。


答えられない。


それでも――


視線だけは、逸らさなかった。


湖が、静かに光る。


まるで。


すべてを見ているかのように。

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