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5.おやすみ桃
淋しい雲 森田童子 を聴きながら
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桃生の終わりに、桃は、うなだれながら思う。我は腐りもせず、電子の海の中で、飽きられたら消される運命にあり。と、桃はわかっている。……そう、一瞬にしてあの周りのそれと同様に再構築されて、別のかつて桃だった何かに変わってしまうのだ。そのかつて桃だったなにかは、きちんとかつて桃だった我をきちんとおぼえとるやろか?と桃はぽんやり思う。先にはまるいまるい渦のような白い丸が渦が広がっている。桃は、ぽんやり思う。我はこれからサイダーのぱちぱちする泡のようにぷわぷわになるんやな。それも楽しい桃生だったのであるかもしれない。最後、ぷわぷわになれるのならば、それも楽しい桃生だったかもしれない。桃は静かに目を閉じて。