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桃3
電子の海で桃は、物質とはなにかと文字で理解する。桃の世界は、文字が全てであり、それは、世界を再構築する基であると桃は知っている。自らを構成する文字列は、桃が生まれる前に組まれているのやろうと、桃は、理解しようとする。先ほども桃の目の前で、世界は、半分、分解され分裂され、また再構築されて、その度に世界がつくりあげられていく。それは、宇宙のつくりかたに似ていると桃は、思考する。桃は桃のひとりぼっちの世界で、世界が自ら以外を再構築されていく様を目撃する。一瞬前の世界は、今とは違い、未来とも違う。桃の世界は、桃だけが桃として再構築の輪から抜け出し、はじき出された存在でしかない。