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ラウール①

ラウールという国の深淵は深い。


ラウールという国は元々、ハイエルフの大賢者ラウールが5000年前に建国した国だ。エルフの国であり、エルフ以外は少数派だった。エルフは排他的種族であり、その中でも特に人間に対する嫌悪感は酷いものであった。


「人間は魔法もろくに使えない」


そう考えており、ラウールもその例外ではなかった、メイに出会う、つい最近までは。



「ここがエルフの国ラウールかぁ……!」


当時放浪者だった若きメイは各地で独自の魔法を研究していた。

エルフは魔法が得意だという情報を得て早速向かったのがこの国だ。


「ふむふむ、確かに膨大な魔力を感じるな。来た甲斐があったよ」


しばらく歩くと大きな門が見えてきた。ラウールの入口だ。


「何者だ」


「門番さん? 俺メイっていうんだけど、入れてくれない?」


「人間を通すわけにはいかん!捕らえろ!!」


すると15人ほどのエルフが現れメイは瞬く間に押さえつけられ、連行された。




「へぇ〜入国審査なかなか手荒なんだなぁ」


手錠をつけられ檻に入れられたメイは勘違いをしていた。


「おい人間! どっから来た」


「んーと、竜の谷だね」


「へっ!そんな嘘が通用すると思ってんのか!!?」


「いやいや本当だって!!」


竜の谷、何百種類もの竜が棲息しているといわれる竜の地獄。足を踏み入れたら最後、生きて帰ったものは当時のメイ以外は存在しないと言われている。この世界で最も危険な場所の一つだ。


「まぁいい。人間、お前の処分は来週だ。それまでに楽しいことでもしておくんだな!ははははは」


「じゃあ俺魔法学びに来たんだけど、なんか見せてよ!!!」


「そうか人間はバカだから皮肉が通用しないのか……なら見せてやるよ、≪炎龍≫」


途端檻ごと炎に包まれた。荒々しく唸る炎の龍に飲み込まれた人間メイは影すらも残さず死んだ、その場にいた誰もがそう思った。

火が消え煙がひいたあと


「すっげぇぇぇえ!!!」


そこには無傷の人間のみが残っていた。


「な、なんで無傷なんだよこいつ!!!」


「ん?そりゃさすがに今のじゃ傷つかないよ?」


いくら手加減したとはいえ、エルフの魔法をくらって無傷だった、しかも相手はただの人間ときた。そのエルフの心を折るには充分だった。


「何をしてるんですか?」


そこに絶世の美青年が現れた。名はラウール、このエルフの国の初代王にして永遠の王。


「ラウール様!この人間ふぜいが私の魔法を退けたのです!!」


「そんなことはないはずですが……もしかしたら忌み子かもしれませんね……」


「忌み子?なんですかそれ?」


「全ての魔法を無力化する、呪われた子供です」


「そんなやつがいるのかぁ……まだまだ魔法を研究しなくちゃな!」


「おい人間!白々しいぞ!!お前がその忌み子なんだろうが!!」


「え?俺そんなことできねぇぞ?」


「くそぉ!舐めやがって!殺してやる!!」


「まぁ、待ちなさい。この人間の処分は私が直々に行います。ただのエルフには危険すぎる相手です。解剖してその力の全貌を暴いてやりましょう」


「さすがラウールさんだ……」


「なんかわからんがすっげぇぇな!!」


相変わらず状況が読めなかったメイは再び手錠をはめさせられ、監獄に入れられた。

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