40. 予想外なプレゼント 5
短すぎる気はしますが、いい加減更新したいので一旦投稿します。
その後も言いたいことだけ言って、エルベートさんは女の子の様子も見ずに帰って行った。まあ、エリナさんがまだ憑いてたし、意識がないのに会ってもしょうがないって思ってるのかも。エルベートさん合理的だし。
半ば苦笑を漏らしながら、作業小屋を出る。エルベートさんの話が思ったよりも長かったみたいで、もう周囲が薄暗い。この辺りは木々が深くて光がほとんど射さないからもともと薄暗いんだけど、この感じだともう夕方かな。
・・・エリナさん、まだソルテスと遊んでるのかな? 朝から遊びに来てるんだけど・・・。ソルテスを一人にして還るような霊じゃないから大丈夫だと思うけど、そろそろ女の子も起きちゃいそうだし、様子見に行かないと。
家の中に戻りソルテスの部屋に行くと、ソルテスのベッドの脇に椅子を回し、ベッドの中を覗きこむ女の子 ―― エリナさんの姿があった。
『エリナさん』
軽く声をかけ、あまり音を立てないようにベッドに近づくと、遊びつかれたのかぐっすりと眠っているソルテスが視界に入る。ちらりとエリナさんを見ると、くすっと笑うエリナさんと目が合った。
「お手玉投げしてたら、突然倒れちゃうんだもの。凄く心配したのよ」
『よっぽど楽しかったんでしょうね』
小声で楽しそうに呟くエリナさんに苦笑を返す。僕は遊んでる最中に寝ちゃうほどは気合入れて遊ばないからなぁ。ひょっとすると物足りなかったのかな?
たまには思いっきり遊んであげようかと思いながら、いつものように手をぱたぱたしたりしないで静かに寝息を立てるソルテスを眺める。・・・1年前と比べると、結構大きくなったかな? 手足もしっかりしたし、前よりベッドがちょっと小さく見える。
ソルテスの姿に口元が綻ぶのを感じつつ、エリナさんに視線を向ける。エリナさんは、幸せそうなのに何故か見ていて切なくなるような笑みを浮かべてソルテスを見ていた。
『・・・どうかしましたか?』
「ううん、ちょっと・・・・・・息子のことを思い出しちゃってね」
苦笑を漏らすエリナさんに、胸の辺りが少し痛く感じた。
そっか・・・産褥死だったから、名前も呼べなかったんだもんね。エリナさんの息子さんもソルテスよりは早く生まれたけど、半年くらいしか変わらない筈だし・・・本当は、一緒に遊びたかったんだろうな。
かける言葉が思いつかなくて僕が黙っているうちに、エリナさんが思い切り伸びをする。その顔にはいつもと同じ笑みが浮かんでいた。
「さて、そろそろ帰らないと。お迎えが来ちゃうわ」
エリナさん曰く、神霊が期日を過ぎても戻ってこない場合は天使の捜索が入るらしい。なんでも、申請した日数より長く地上にいると霊体に負荷がかかるからだそうだ。・・・昇天した霊には手厚いんだな。
『満足しましたか?』
「ええ! もう十分よ。これで後1年は大丈夫!」
何が大丈夫なのか分からないけど、楽しかったようで良かった。満面の笑みで拳を握るエリナさんを見ているとそう思う。と、エリナさんは部屋の脇にある椅子に腰かけ、目を閉じた。くたりと力の抜けた女の子の横に、満面に笑みを浮かべた霊体のエリナさんが姿を現す。
『本当に楽しかったわ。この子にもお礼を言っておいて』
『言っても困ると思いますけど・・・』
僕を一目見てあれだけ魘されていたんだから、神霊が交霊たなんて知ったらまた気絶する気がする。・・・起きた時の反応が心配だなぁ。
『じゃあシルト君、またね!』
機嫌よく踵を返したエリナさんの姿がフッと掻き消える。少しずつ遠ざかっていく気配に心の中で返事をすると、僕はソルテスの夕食の準備のために部屋を後にした。女の子のご飯も、用意しないとね。
たぶん、次でこの話は終わります。




