裁き
安藤小百合は恐ろしい女だった。5年前に同級生であり前夫を殺害、この際も心臓発作による病死となり保険金が入っている。その後、健二の母親に近づき斉藤健二の父親をトリカブトを使い殺害そして保険金を2人で分けあった。その5年後に斎藤健二を殺害し、また保険金を手に入れた。すべてお金のためだ。そして、小百合が捕まってしまったため、お金を手に入れるすべを失った、健二の母親は会社に訴訟を起こしてお金を手に入れようとしている。
これが真相か…
もし、あのとき小百合は捕まっていなければ今の夫も殺されていたのかもしれない。しかし小百合にかかっている容疑はあの子の殺害だけ。なんともやるせない気持ちだ。しかも父親と健二さんの死は病死で方がついている。
おそらく伯父の知り合いの警察に頼んでもどうにもならないだろう。くそう。どうすればいいんだ。
翌日、私はどうすることもできず再び公園に訪れた。やはり健二はそこにいた。
「お兄さん。お母さんは訴訟をやめる気はないと思います」
私は健二にいい放つ。
「そうだろうね。じゃなきゃお金が入らないからね。でも長引けば長引くほどあの人のお金はなくなるよ」
「え?」
今なんて言った?
「君はもう気づいているんだろう。あいつらは悪魔だよ。あの保険屋の女と共謀して僕の父を殺してそして僕を殺したんだ。僕はあいつが苦しむ姿を見たいんだよ。お金におぼれた人間が、お金がなくなって壊れていく姿を」
健二はニヤリと笑う
私は何もいえなかった。
「でもよく真相にたどり着いたね。君は名探偵だ。ありがとう。だれも真実を知らないまま逝くのは嫌だったからさ」
「なんで初めてあったとき私にうそをついたんですか」
「うそ?ああ、だってあのときに僕が母親を殺すと伝えていたら君は止めていただろう、そうなると僕の計画に支障がでるからだよ」
健二は歩き始めた。
どうするつもりなのだろうか。
私は後を追った。
健二の部屋の前についた。ガチャリ。今回は母親を警戒することなく堂々とドアを開けた。
突然のことに母親は驚く。
「なに?だれかいるの」
母親はおびえている。
「やあ、母さん。あなたが必死になってお金を手に入れようとしているのをみてとても愉快だったよ。悲劇のヒロインを演じた気分はどうだった?」
もちろん母親には聞こえない。
「なに、なにが起きているの」
あわてて外に出ようとするが扉が開かない。健二がおさえているからだ。
「さあ、母さん。僕が最高の料理を用意したよ」
健二は母親の口に無理やりトリカブトの花を詰め込んだ。
母親は必死に吐き出そうとするが健二がそれを抑える。
そしてむりやり飲み込む形になってしまった。健二も物理的であれば人にふれる方法を知っていたのだ。
「健二さんだめです。こんなことをしたら」
「こんなことをしたらなんだっていうんだい。この女は悪魔なんだよ。悪魔を殺すために僕はこの世界に残ったんだ」
「死者が生きている人を殺すなんてそんなこと間違っています」
「じゃあ君はこの悪魔に罪はないと言いたいのか?」
「そうじゃない、この人には罪を償う資格があるだろ。私たち…死んでいる人間が制裁をくわえるなんて許されない」
「君は、僕とは違うんだよ」
そうこうしているうちに母親は痙攣を起こし始めた。トリカブトの症状というよりはむりやりトリカブトを喉に詰め込まれたことによる窒息にみえる。
私はあわてて取り出そうとかけよるが、健二に突き飛ばされる。力では敵わない。このまま見殺しにすることしかできないのか。わたしはあたりを見回したがどうすることもできない。
その間に健二は次の行動にでていた。包丁を持って母親に馬乗りになっていた。
「あ。だめ、だめだよ」
健二は親をめったざしにしていた。そして高笑いをしていた。
惨劇。これ以外にこの現状を表す言葉はないだろう。私は呆然と立ち尽くした。
「ねえ、君。僕はもう成仏することはできないだろう、もし地獄があるなら地獄おくりだろうな」
満足げな顔で笑う。
健二の顔は悪魔だ。私は今にも逃げ出したかったが恐怖で動けない。
「あんたは今、母親と小百合と同じ顔をしているよ、悪魔だよ」
私の精一杯の言葉だった。
「そうだ、僕は悪魔だ。さあ、神よ。僕を裁いてくれ」
そして、気づいたときには健二の姿は無かった。
現場には悲惨な状態の母親が横たわっていた。
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