第ニ話 神々との契約
ニ話です!
ん……ここどこだ……?
どこまでも続く真っ白な空間にひとり。
そうだ、私は死んだんだ。
天国?地獄?なんもないんだね、ここ。
輪廻転生とか、異世界転生とかあるならいっそポイズン・アップルの世界に行ってみたいなぁ、よく悪役令嬢になってましたとかあるよね、あの世界の悪役令嬢なら役得だなぁ、私。
生まれてからレオ様とどんな時も一緒……ぐふ。
いかんいかん、また気持ち悪がられるぜ。
「きっしょ」
「え?」
誰もいなかったよね!?どこから!?
「心霊現象!?こわっ!」
「心霊現象とちゃう!目の前におるわ!」
「いないし!」
その時、ほわほわぁーっと目の前に男の人が2人現れた。
それと同時に、どこまでもただ真っ白だっただけの空間が、晴れ渡った空、白い雲、白を基調とした綺麗な街並み、地面から生える鮮やかな草花に変わっていく。
こんなに綺麗な場所だったんだ。
私ここ、すごい好きだな……。
現れた2人だけど、
1人は、明るい紫色の髪に、同じ色で切れ長のつり目。
肌は黒くて、鍛え上げられた筋肉が目立つ。
少し口角が上がってて、偉そうにしてる。
多分さっきの声の人だな、そうするとこの人は関西弁かな。
騎士っぽい服装だけど、紫色のピッチリしたタンクトップに肩とか、靴とかだけ金の鎧つけてる感じで、腕とか太ももは肌が出てるから防御力低そう……。
系統は、やっぱり俺様系かな?それでいてイジリ甲斐もありそう……嘘とかつけなさそうだなぁ。
もう1人は、肩くらいまである、銀と淡い水色を混ぜたような不思議な髪色の髪で、目は綺麗な赤色のたれ目。
整った顔立ちで、ずっとみてられるわ……。
私もあれくらい綺麗な顔で生まれてみたいな。
服は多分、古代ギリシャとかで着られてた服だ。金の糸で刺繍されてて、豪華にみえる。
色白だし、筋肉も最低限しかなさそうな分、中性的で優しそうだけど……。
「驚いたやろ!まあ、まさか俺らが出てくるとは思わんよな、この寛大な心で、許してあげるわ。拝んでくれてもいいねんで。」
紫の人がニヤニヤしながらそう言った。
「いや、あんまり驚いてない。拝む気もわかないかな。私は、水城 萌葉。あなたたちは誰?」
「は?わからんの?姿まで出したのに?俺らこんなに神々しいのに?え?「まあまあ。ウラノス、そこまでにしときなよ。ごめんね、コイツもったいないイケメンなんだよ。」
「もったいなくないし!」
もったいないイケメン……!
だめだ、笑っちゃう。
ウラノスって人、涙目になってる。
小さい子みたいで可愛い。
「ふふっ……結局だれ。ウラノス……?と?」
「僕はアイテール。僕ら2人とも君たちの世界では天空神と呼ばれているよ。」
「テンクウシン……天空神!?……えーっと、それってスゴいやつ……だよね?」
「そう!スゴいやつ!!なんでまだわからんねん!」
なんでと言われましても。
空の神様とか?
私、神ってゼウスとかしかすぐ出てこないよ。
きっと、みんなもそんなもんだよねって勝手に思ってます。
あと、神様っぽくないなぁって思ったのは内緒でお願いします!
「ちなみに天空神は、宇宙を創造した神だよ。まあ、創造してからは、ほとんど何もしてない暇な神だけどね。」
宇宙!?規模がすごいな!
「暇なんは、アイテールだけやろ!俺はちゃんと会議にも参加してるし、見守ったりしてるやん。お前会議こやんからお前の分も仕事してんねんで!」
「はいはい。いつもありがとねぇ~。」
ウラノスは、アイテールに頭ポンポンされている。わぁ、めっちゃ嬉しそう。
イケメン同士の絡み……正直萌えます。
あーあ、許しちゃったよ。単純だなぁ。
それにしたって、アイテール!適当すぎない!?
ウラノスの方がしっかりしてるの……意外。
とりあえず神様だし褒めとく?
うん。それがいいか。
「へ、へぇ~。二人ともスゴい神様なんだね!ウラノス、アイテールの分まで仕事してて偉い!」
「ふん!別に偉ない。それぐらい普通やわ。俺、別にアイテール嫌いちゃうからな。」
ウラノスはそっぽを向いてしまったけれど、どこか嬉しそうだ。
どうやらアイテールも、ウラノスの言葉を聞けて、上機嫌らしい。
前言撤回。ウラノスは俺様じゃなくてツンデレだったみたい。
そんな時、ふと思い出した。
そうだ、肝心なこと聞いてない。
「ここどこ?」
「「あ。」」
…………………………………忘れてたんだね。
「えっとね、ほんとは死んだらとりあえず天国に行くんだけどね、この間ウラノスがキミの事をたまたま見つけて、気に入っちゃって、もうすぐキミは死んでしまう運命だし、向こうの神に譲って貰ったんだ。」
「そんで、お前は死んでも行く場所が決められてない魂やったから、一旦、俺らの創り出した空間に来たって事やな。」
神様……ざっついな……。
「……気に入ったからって……。適当過ぎない?まあ、もうどうしようもないけど……。それで……私はこれからどうなるの?」
「あはは、ごめんねー。 んー、特に決めてないよ。もう一度地球に、ヒトとして生まれてもいいけど、キミがいた時代にはもう戻れない。キミが望むなら今から天国に行くこともできるよ。全てキミの自由さ。」
うわ、こっちに丸投げじゃん。
お気楽過ぎて、なんか笑えてきちゃうね……。
うん、割り切ろう。やっぱり神と人間は違う。
……もしかして……
「ゲームの世界に行くこともできる……?」
「ゲーム?……あぁ、人間が楽しそうにしてるやつか。そういやお前もやってたな。アイテール、お前今から創れるか?」
「うん。できるよ。でもなぁ~……」
「でも?……なに? 私、好きな人とゲームの世界で幸せになりたいの!」
「新しい世界創るの、エネルギーをすごく使うし、さっき言った通り、僕ら暇してるんだよね。ウラノスの言ってた会議も10年に1度くらいだし、様子を見守ったりするのも、あまり面白くないし。だからさ……「アイテール!何考えてるんや!」
「だからさ、………僕がその世界を創り出す代わりに、連れていってくれない?今からキミが行くゲームの世界に。」
卑怯だ。そんな捨てられた子犬みたいな目で見つめないでよ。
「僕たちは神とはいえ、誰かの守護神としてしかキミ達の世界に入れないんだ。キミの邪魔はしない。加護精霊の姿でキミのそばにいるよ。キミが困ったときは力を貸す。1度くらいキミ達がしてるような生活をしてみたい。だめかな?」
「……いいよ。」
………負けたぁ!!!
あまりのあざと可愛さに負けてしまった……
攻撃力がものすごい……。
「ありがとう!!やっぱ無しは無いからね!」
見ると少し向こうで、ウラノスが丸まってる。
近づくとボソボソと声が聞こえた。
「最悪やぁ。アイテールが暴走した……。他の神に怒られても、俺は知らんで……あとお前!「萌葉です。」
「……モエハ、俺から忠告や!アイテールはめんどくさいで~。振り回されること間違いなしやわ。お前も大変やな、これから頑張りや。」
ウラノスは、寂しそうな顔でそう言って笑った。
どうやら彼は、私とアイテールだけ行くと思ってるらしい。そんなはずないだろうに。
「なにいってんの?」
「え?」
「ウラノスも行くことになってるよ?それにずっとそのつもりだったんだけど。」
「俺も?一緒に?」
ウラノスの顔が、ぱぁぁっと明るくなった。
なんだか無いはずの尻尾が、ちぎれそうなくらいブンブン揺れてるように見える。
「だって寂しいでしょ?それに私、ウラノスがいたほうが心強いな」
「……そうか。まあ、そうやったら行ってあげてもいいで。ここおってもいずれ他の神に見つかって、アイテールの代わりに怒られるだけやからな。」
「じゃあ決まりね!」
今思えばこんなラッキーが続くわけがないのだ。
まだまだ続きます!