1.人外っぽい少女の不穏な転生
私は今、あの世にいるらしい。
世界がぼんやりと再構築されていくような光景が、視覚に映る。黒、赤、青、緑、そして白…全てがあるような…全てがないような…そんな情報過多な光景が見える。
死ぬ直前に残る最後の五感は聴覚らしい。
実際私の聴覚は生きてるようで、『あ』と声を出すとちゃんと聴こえた。
「うわっ今、喋り始める?」
誰かの声。他人の…すぐ忘れてしまうような声
「え」
だんだん声をちゃんと発せるようになってきたかもしれない。
「普通そんな状態で言葉なんか発さないのよ」
誰かの声はそう言う。もしかして私を天国に連れてってくれる神様?
「そんなの期待するタチじゃないでしょ?」
心を読まれてるらしい。
「じャあ…神様じゃないノ?」
「神だけど」
神だった。なんか他人の声で言われると何も入ってこない。
「じゃあこれで良い?」
私の声で話してきた。こくりと頷いて見せる。
「うわっ動いた」
また?
「あんたが変なの」
人の死後の普通なんて知らないんだけど。
「一旦そんなことはおいておいて、あんたの今後について説明するから」
神様って大変そう。
「大変だよ。アンタみたいなのの相手されて」
段々視覚が明確に、そしてカサカサな舌の感覚と、酸っぱい味覚が戻ってきた。それと、圧倒的な無臭を感じられる嗅覚も。
目の前にいるのは裸の私らしい。ぺたぺたと触ってみる。
「うわっ触ってこないでよ!」
首に触れたらそう言われて、振り払われた。これが神様らしい。
「ごめンなさい」
「…?変な人間…」
気味悪がるように神様は腕を組んで身震いをした。
「説明トか」
「あっそうだった。あんた転生先の希望ある?あんたの経歴的に基本どんなのにもなれるけど」
そんな就職みたいな…
「肉体を得て、その世界でのその生物としての役目を全うするわけだから、実質就職」
なら…人間じゃないけど人間みたいな感じで、社会的しがらみ無く人間と接して生きれるような…
「初手でそういうのはきついけど方法はある」
「どんな?」
あ、完全に声帯が戻ったらしい。
「血蛆って生き物として戦場に生まれて、人肉を喰らって人間っぽい突然変異をすれば良い」
「人間と変わらない見た目?」
「勿論。あんたの口から出てない希望も脳内を見てるからちゃーんと汲んでるわよ」
「じゃあ、それ」
「はいはい。じゃあ転生させるから」
「バイバイ」
最後に神様に抱きつく。
「ひゃっ…なんなのよもう!」
転生途中、最後に残った聴覚でそんな嘆きが聴こえた。




