迫る
社内で晃一を探す優香だが、どこにも見当たらない。
「しまった。晃一を見失った」慌てて会社を出た優香。
あいつの元に行けるかしら?と飛ぼうと思ったら
何かの力に引っ張られてしまった。
*
そこは、やうと村の多嘉良の神社だった。
美和に憑いて最初に訪れた和室で、テーブルをはさんで向かい合う。
「お呼び立てしてすみません。藤子さん…美和の母親から連絡が
ありまして、それで来ていただきました」
「わたしを呼べるのは美和さんだけかと思っていました」
「美和はたまたまです。でもあなたとは波長が合うらしい。
わたしは狙ってやってます」
「優香さんにお伝えしておく事があります。
犯人をあまり恨まないでください。でないとあなたが魔物になってしまう。
そうなったら誰もあなたを救えない。
できればこの神社で、落ち着いて穏やかにあの世へ逝ってほしいです。
わたしが送らせてもらいます」
「でも…わたしを殺しておきて知らん顔なんて許せないわ。
どうしたらいいか知っていたら教えてください」
「んー、では夢で見られるように、相手の耳元でささやいてみてはどうでしょう。
夢はたまに死者の世界と繋がるので、あなたが言いたいことが伝わるでしょう」
「夢で…。わかりました。ありがとう」
何かを決意して優香は消えた。
「さて、どうしたものやら。イヤな予感がするんだが…」
多嘉良は頭を掻きながら「う~ん」と唸った。
*
「バイト行ってくるねー」そう言って美和は夕方の街へ出かけた。
登山用のストックを持つのは習慣になっていた。
美和の後ろ姿をフードを被った男が見送る。
「バイトかぁ。君にも永遠に黙って欲しいんだけど、どうしようかなぁ。
実行する前に、もう少し計画しないとな」と
フードを少しめくって、城田晃一が笑いながらつぶやいた。
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