表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

やうと村にて

狐 カラス天狗 河童 鬼 古来より「妖」や「妖怪」といわれた者たち。

かつて、彼らは人間と共に暮らし、人間との間に子孫を遺した。

中でも「比十ヒト」と呼ばれ、死者と話し、傷を癒した者たちは人間に近い外見のため

より多くの子孫を遺した。いわゆる霊能者の祖である。これは比十族の末裔の少女の物語。

●登場人物紹介

穂積美和…16歳。アヤカシ・比十(ひと)族の末裔。死者が視え、死者と話す。

     比十は霊能者の祖。

穂積藤子(とうこ)…40歳。美和の母。傷を癒し、まじないをする。

多嘉良永介たからえいすけ…40歳。藤子の幼馴染。アヤカシが住むやうと村の神社の宮司。

   霊能者。

戸隠(とがくし)…アヤカシ・狐族。外見は人間の20代前半くらい。長身。

   銀色の長い髪と金色の瞳。夜はスリット状の茶色の瞳孔になる。

   村の責任者。愛鷹とは友人。

愛鷹(あしたか)…アヤカシ・カラス天狗族。隻眼。右目に黒い眼帯。黒髪を総髪にしている。

   炭焼きをしていて、炭は高級品で評判がいい。戸隠と同い年。同じ身長。

早瀬と梓…アヤカシ・河童族のコンビ。外見は10歳くらい。

   一応将来を約束している。

穂高…狸族のぽっちゃりさん。外見30歳。多嘉良と仲がいい。

   手先が器用でなんでも作る。

その他、村にはアヤカシの末裔の人間が暮らしている。


***********************************

「どうして?息ができない。助けて!」

スキューバーダイビング中、海中でもがく彼女が最期に見たのは、

水面に上っていく銀色のエアーだった。



連休があると母の故郷のここ、やうと村へ来るのが穂積美和の習慣だった。

夏休みに入って、美和はいつもの通りに母の幼馴染─多嘉良永介(たからえいすけ)がいる神社に滞在していた。


白川郷のようなこの村は山の中にあって、

古代から人間と共に暮らしていたアヤカシ─狐、狸、河童、カラス天狗、鬼など、

いわゆる【妖怪】といわれた者たちと、その子孫が住んでいた。


渡来人:なあ、あの山はなんて山だ?

古代日本人:ありゃあ、愛鷹(あしたか)ってアヤカシが住む愛鷹の山さ。

渡来人:へー。愛鷹山っていうのかー。


「…ってなわけで日本の山や川に名前が付いたんだ」

多嘉良が人形とジオラマを使って、小芝居を美和に見せている。

「このジオラマ綺麗。すごいね。多嘉良さんが作ったの?」

「まさか。狸族の穂高さんが作ってくれたんだよ。狸族の器用さは天才的だからな」


アヤカシには部族があって、それぞれ能力を持っていた。

狸族は手先が器用な職人。狐族は嗅覚と聴覚に優れ、妖術を使う。

河童は水に長け、カラス天狗は風を操り空を飛び

鬼はとてつもない力を持っていた。


その中の比十族というアヤカシは、死者と話し迷えるものを導く。

中には傷を癒す者もいる。霊能者の祖である。


美和の母も、母の幼馴染の多嘉良も比十の血を引いている。


しかし、まだ未熟な美和は能力をコントロールできないために

休みを利用して多嘉良が宮司を務める神社に泊まって、

霊能力の使い方を習っているのだった。


「まずは【視えるチャンネルと、そうでないチャンネル】を切り替える練習だ。

滝行しながら切り替えるコツをつかんでごらん」と多嘉良に言われて

美和は神社近くの滝にやってきた。

滝といっても落差は10メートルもないので、初心者の美和はぴったりだった。


目を閉じて滝に全身を打たれる美和だった。

ザアアアア…と、水の落ちる音だけが耳の奥に響く。

スイッチを切り替える…。


目を閉じて集中すると、目の前にチカチカする光りの玉が見えて、

それが一瞬消えて暗闇になった。

そして額の奥の脳に近い場所でカチリと音がしたような気がした。

静かに目を開けるとそこに…。


そこに川から這い上がろうとする、乱れた髪の女性が手を伸ばしていた。

白い部分がない暗黒の瞳。骸骨のような顔で美和に掴みかかろうとしている。


「は…ぐあ…」美和は言葉にならない声を発して固まった。


「助け…て…」絞り出すように女は言葉を発した。


読んでいただき、ありがとうございます。

引き続き、楽しんでいただけますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ