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序章・ドラゴン娘として転生された

??「…どこ?ここ…」


木漏れ日が少し差し込む程度の薄暗い森の中に一つ佇まむ影があった、呆然としたように漏らしたそんな声が虚空へと消えてゆく。

何かの動物の声が遠くから心地良いボリュームで聞こえ、そっと頬を撫でるかのような風が吹き、その影はハッとしたように辺りを見渡すとすぐ傍に小さな湖が見つけ、近寄ってゆく。


??「うぅ…なんか、頭と背中がやけに重たい…腰にも違和感あるし…って…へっ…?」


水面に映るのは風に靡く、長い白銀の髪。

まるで宝石かのように煌めく黄金の瞳をした驚く程の美少女だった…だが、人間にはまず無くて普通の物に目を奪われ、それどころじゃない少女はゆっくりと頭へと両手を持ってゆくと指先に触れる、コツッとした何か硬い物…。

水面に映る見覚えの無い自身には威厳を表したような大きな角、少女が驚くのと同時にバサッと広がる翼、後ろから見え隠れする髪と同じく白銀に輝く鱗の尻尾がその少女から生えていた…。


??「な、なな…なんだこれぇぇぇぇ!!!!」


そこでやっと水面に映るのが自分だと認識した少女は頭から生えている角や尻尾に触れ、どうゆう事なのか困惑するが触れると触れた感覚がある事に本当に生えているのだと認知させられる。

混乱する頭で必死にここに来るまでの記憶を思い出す為に顎に指を当て、唸り声を漏らす。


??「うーん…何か、何か…熱かった気が…いや、痛かった…?えーとえーと…確か…」


ノイズが掛かったような記憶がチューニングされてゆくかのように少しずつ鮮明になってゆき、カチッと何かが上手くハマるように思い出した瞬間、少女は青ざめたような表情と共にビクッと体を強張らせる…。

脳裏に過ぎるのは辺り一面に広がる真っ赤な血溜まり、お腹に感じる焼けるような激痛、耳を突くような悲鳴と怒声、お腹を押さえる両手は血だらけで紺色の制服がお腹の辺りから血で色が変わってゆき、段々と苦しくなってゆく呼吸。

血を流してうずくまる黒髪の少女の隣にはまだ幼い小学生くらいの女の子が少女の肩を揺すり、泣きぐしゃりながら少女の事をお姉ちゃん!と呼び叫んでいた、霞んでゆく目で最後に見たのは少女を静かに見る猫の姿だった。

ハッと意識が戻る少女だが辺り一面の真っ白な場所の椅子に腰掛けた状態で目を覚ます、気を失う前の事を思い出してバッとお腹を押さえるが痛い訳でも血が出ている訳でも無く、不思議そうに首を傾げる少女に不意に声を掛けられる。


??「目が覚めた?橘 ヒナちゃん」


ヒナ「わあっ!?だ、誰ですかっ!?」


??「そうね〜…三大創造神の一角、フレアで分かる?」


ヒナ「……」(分かった、この人…やばい人だ!!)


ヒナと呼ばれた黒髪の少女は数秒無表情のまま固まっていたが青ざめた表情になると目の前で肘掛けに肘を預け、頬杖をつくフレアと名乗ったふんわりとした金色のロングヘアーの女性にイタい人と認識する。

引き攣った表情を浮かべるヒナに対し、フレアは緑色の瞳を鋭くさせると、何か失礼な事考えてるでしょ?、と問い掛けるとヒナはブンブンと首を左右に振ってはぐらかす。


フレア「…はぁ…まあ、唐突にこんな場所に連れてこられても信じる訳は無いか」


ヒナ「えと…あの、ここは…?」


フレア「ここは神託を言い渡す場所、簡単に言えば死後の世界ね」


ヒナ「えっ…?ま、またまたぁ〜…そんな冗談…」


フレア「……」


ヒナ「…嘘、ですよね…?」


フレア「…事実よ、あなたは誘拐されそうになった女の子を助けようと誘拐犯から女の子を引き離そうとして、数度お腹にナイフを刺されて死んだの」


ヒナ「死んだ…?死んだのか…私…」


フレア「ええ、死ぬ直前の記憶があるでしょ?目が覚めた時にお腹を触ってたのが証拠よ」


突然の宣言に理解が追い付かずに俯くヒナの瞳には困惑と動揺が渦巻いていた、そんな時に死んだと告げられた後に出た第一声は、あの子…無事ですか…?、と助けた女の子の事だった。

問い掛けた答えの為に顔を上げるヒナがじっとフレアの目を見る姿にフレアは少し意外そうな表情を浮かべるがその後に優しく微笑むとヒナの問いに答える。


フレア「無事よ、あなたのおかげで女の子は助かって、誘拐犯は近くの人によって捕まえられたわ」


ヒナ「よかった…助かったんだ…」


フレア「少し意外ね、あなたくらいの歳の子なら死んだと伝えたら泣き出したり、逆ギレするような子も居るんだけど」


ヒナ「私もあの子が助かってなかったら動揺して泣いてたかも知れませんけど、助かったなら価値はあったと思うので」


フレア「ふぅん…なるほどね…」


死んだとゆうのに、女の子を助けられたと聞いたヒナは小さく微笑む。

その柔らかい笑みに頬杖をついていたフレアは口元を緩める、パチンと指を鳴らすとヒナの腰掛けている椅子を中心に魔法陣のような物が円になって広がり、驚いたヒナは立ち上がる。


ヒナ「な、なんですかこれっ!?」


フレア「ただ体の再構築をするだけよ」


ヒナ「いやそれは『ただ』の次元じゃない気がするんですけど!!」


フレア「容姿は私の好みにするわね」


ヒナ「えっ!?無視なの!?」


フレア「見た目はこれでよし、後は簡単に死なないようにして…まあ、適当でいいわね、見た目こだわったし」


ヒナ「いや、見た目よりそっちの方がこだわって欲しいんですけど!?聞いてますっ!?聞こえてますっ!?」


フレア「うん、可愛い、女運だけはカンストさせておくわね?それでは、良いセカンドライフを〜」


ヒナ「いや!私、女なんですけどっ!?なんで女運の方!?いい加減無視はやめて欲し―――」


フレア「百合百合〜」


ヒナ「バイバイ〜みたいな感覚で言わないでもらえます!?」


何か満足したように満面の笑みで手を振るフレアに何が起こるか理解出来てないヒナが涙目で光り出す魔法陣のような物から逃げようとするが魔法陣の境目に見えない壁があって、魔法陣の上からは逃げられずにフレアに助けを懇願するが何故か嬉しそうに、可愛い…!、と言うだけで助けてくれず、ゾワッとした表情を浮かべるヒナだがフレアは納得したかのようにうんうんと首を振るとさらに光が増し、ヒナの悲鳴と共に虚空へと消えてゆく。


フレア「ふふっ、最後の方、オドオドしてて可愛かったわ…心優しき少女に幸あれ…」


そして今現在、湖に佇うまでに至る…。

ヒナがもう一度自分自身の姿を水面で確認するが所々に以前の面影が少しある程度の角の生えた顔の整った美少女の姿が映り、大きなため息を漏らす。

サラサラと白銀の横髪が落ちて湖に浸かる、何もかも違う自分の姿に違和感が湧くヒナだが湖に浸かる髪を手櫛で解くように耳に掛け、その感覚が嫌とゆう程事実だと伝えてくる。


ヒナ「はぁ〜…なんかめちゃくちゃ可愛くされてるし、あの人…創造神とか言ってたけど、ただ可愛い女の子が好きな変態なんじゃ…いや、こんな事出来てるから本当なのかもしれないけど…」


少し前の記憶を思い出しつつ、フレアの事を変態だと言いながらため息を漏らすヒナはもう一度水面に映る姿を見る。

少し呆れたような表情を浮かべるその人物を自分自身と認識するにはあまりにも綺麗な容姿に思わず関心してしまう。


ヒナ「はあぁ…それにしても本当に綺麗な顔…髪もサラサラだし、スタイルも良い…本当に自分なのか困惑するレベル…まあ、なんか生えてるけど…角とか翼とか尻尾とか…」


立ち上がり、服装を確認するヒナ。真っ白なブレザーの中に白いシャツ、膝より少し上くらいの黒色のスカート、そして膝下まである白いロングコートを羽織っていた。

ほぼ真っ白コーデに若干苦笑いを浮かべるヒナは少し疲れて木の傍まで寄って行き、木を背もたれにして休もうと木に普通の感覚で手をついた瞬間、メキッバキッ!!と鳴ったと思った時にはヒナが持たれようと手をついた場所から木が折れて倒れてゆく。

轟音と振動が鳴り響き、目の前で起こった理解が追い付かない出来事にヒナは自分の手とさっきまで立っていた木を何度か交互に眺める。


ヒナ「え…?え…?え…?何事ぉっ!?私普通に手ついただけだよね…?」


困惑するヒナは試しに残った根っこ部分を両手で掴み、引き抜こうとしてみる。普通の人間には到底出来るはずの無い事だと言い聞かせヒナがほんの少しだけ力を込めると根っこは辺りの土を盛り上げてながら簡単にスポッとすんなりと引き抜かれる。

そっと引き抜いた根っこを地面に置いたヒナはその場でしゃがみ込むと頭を抱えて項垂れる…。


ヒナ(な、なんか力感覚が変なんですけどぉ!!!!普通、木の根っこがスポッとは抜けないよっ!?)


とても人間の出来る範囲とは思えない事出来てしまう今の体に困っていたヒナが手元にあった石を掴むといとも簡単に砕け散る…。


ヒナ「えぇ…これじゃまともに生活なんて出来ないよ…」


思わずため息が漏れてしまうヒナ、以前の感覚で何かに触れてしまうと壊しかねない現在の体にさせたフレアに対し、何故もう少し融通の効く体にしてくれなかったのだろうと不満に思うヒナだったが今更そんな事を考えても仕方ないと今度は別の石を軽く掴む程度に触れると今度は掴めた。


「気を付ければ一応大丈夫、かな…?はぁ…こんな角やら翼が生えてる時点で人間じゃないだろうし、そんな私が人間だった頃の感覚で触れれば、まあ…そうなるよね…」


そう言って石を地面に置いたヒナは微かに木々の間から見える空を眺めながら、たまに木漏れ日から差す日の光に目を細めてつつゆっくりと目を閉じてゆく。

現在の体では無いとは言え、誘拐犯に何度も刺されたお腹の痛みはヒナの精神に疲労を与えていた、引き抜いた根っこにもたれ、睡魔に導かれるように眠るとスヤスヤと寝息を立てて穏やかに眠る。

それから、ヒナが目を覚ましたのは何かが慌てたようにヒナの近くへと走ってくる足音によってだった、その足音が近付いてきたと思った矢先に何かの爆発音だった。

慌てて立ち上がるヒナが突然の爆発音に怯えていた時、ヒナの目の前に何かの影が投げ出されたかのように飛び出してきた…。


??「う、ふぅ…ッ!!」


ヒナ「…へっ?」


苦しげにうずくまる飛び出してきた影があの時の女の子と同じく幼い女の子だと認識するのが遅れる、それも仕方ないだろう…目の前のその小さな女の子の体はボロボロで先程の爆発のせいなのだろうか、左足の脹脛辺りに怪我をしていてその女の子の左足は血だらけだった。

辺りに流れてゆく赤い血を見て思わず自分が刺された時の事を思い出し、たじろいでいたヒナとその女の子が目が合う。


??「りゅ…龍人族、様…?」


ヒナ「え…?」


??「た、助けて…うぐっ…!助けて…ッ」


ヒナと目が合ったその女の子は土埃や泥で汚れた異様に長い金色の髪をしていて、赤と青のオッドアイに涙を目一杯溜めるとヒナに縋るように怪我をしてる左足に構いもせず、正座の体制になる、その体制で悲痛な声を漏らす女の子…圧迫された左足からプシャとさらに溢れ出る血が血溜まりを広げる光景を見たヒナが女の子に駆け寄ろうとした時、女の子が投げ出されてきた場所から異形の姿をした何かが現れ、ヒナは恐怖で体が硬直してしまう。

悪魔、化け物、妖怪…そんな言葉ばかりがヒナの頭によぎる、真っ黒な人型の形をしているのにその大きさはあまりにも大きく四、五メートルはあるだろうかと思うくらいだ。

ヒナが後ずさると視線の端に女の子が自分に向かって懇願するように…助けを求めるように…足を怪我した女の子が頭を下げる姿が映る…その姿は痛さからなのか、それともあの異形の存在の恐怖心からなのかビクッビクッと震えていた。

異形の化け物は足すくむヒナになど目もくれずに頭を下げる女の子へと一直線に視線を向けると化け物の周りに紫に光る球体が現れる。


??「ッ…お願い…!!龍人族様…助けて…っ」


顔を上げた女の子の表情を見た瞬間、恐怖で硬直していたヒナの体は動いていた…ポロポロと涙を流す女の子の表情に妙な正義感が沸いたのだ…。

紫の球体が女の子に放たれるとキュッと目を閉じ、悲鳴を上げる女の子はヒナに抱き寄せられる、辺りを翼で覆い少女を庇うヒナに女の子は目を見開く。

放たれた紫の球体がヒナの翼に当たると爆発し、女の子は怯えたようにヒナに抱き着くがヒナも恐怖で体を少し強張らせる。


ヒナ(っ…怖い…!!また死ぬかもしれない…また…)


??「龍人族様!!大丈夫っ!?」


ヒナ(…痛くない…?)


強張らせていた体から痛みが無く不思議に思ったヒナが翼を開いて辺りを確認するとヒナと女の子の居る場所以外吹き飛んだのか抉れた土が広がっていた。

異形の化け物が突然現れたヒナが女の子を庇ったのに腹が立ったのか雄叫びを上げると数十個の球体が現れる。


??「ひっ…!」


ヒナ(またあれ…!ううん、落ち着け…今の私なら辺りがあんな風になるような攻撃だったとしても多分大丈夫…だから、今大事なのはどう凌ぐかでは無く、どうやってこの子を守るかだ…)


意を決したヒナがしがみ付いてくる女の子の頭を優しく撫でるとゆっくり自分の体から女の子の手を離させると女の子を庇う為に一歩前に歩む。


ヒナ「はあ…ふう…危ないから下がってて…」


??「りゅ、龍人族様…?」


ヒナ「大丈夫だから、下がってて、ね?」


そう言って微笑むヒナの言葉通りに女の子が怪我をした左足を庇いつつへたり込んだまま後ずさる女の子へと紫の球体が放たれ、縮こまる女の子に届く前にヒナによって弾き飛ばされる。


??「…えっ…?」


ヒナ(よし…イケる…なら、後は全部、弾き飛ばす…!!)


ヒナが弾いたのを見たまた雄叫びを上げると次々とヒナに向かって攻撃を放つ、凄まじい数の攻撃をヒナは凄まじい速さで弾いて捌いてゆく。


ヒナ(イケる…イケる…イケる!結構速いけど、この身体なら反応出来る…それに、あの変態の創造神様はあの時言ってた、簡単には死なないようにって、この異様な力の強さもきっとあの人のおかげだ…でも、あの子を庇ってちゃジリ貧だ…何かあの攻撃みたいに飛び道具があれば…)


ヒナが弾いた紫の球体が辺りで爆発する中、ヒナは的確に弾き飛ばしながら反撃出来る術を思案していた。

そんなヒナの背中を呆然と見ていた女の子はハッとしたように先程ヒナに言われた通りに後ずさっていく…その最中、女の子は目の前で化け物から命懸けで守ってくれるヒナの後ろ姿を見ていた。

ゲームやテレビで見たような手裏剣やナイフみたいな投げて攻撃するような物を頭に浮かべるが都合良くそんな物は無く、何か反撃出来る物が無いか辺りを見るヒナが足元にあったただの石ころに視線を向けてしまった時、紫の球体がヒナの額に当たる。

球体がヒナの額に当たるのと同時に爆発と共に煙が上がり、続けて連続でヒナに放たれる。


??「龍人族様!!」


女の子の悲鳴にも似た叫び声は虚空に消え、最悪の予想が脳裏に巡り、女の子の瞳に大粒の涙が頬に流れる瞬間にその頬には強い風が撫でる。

煙が払われ、そこにはヒナが先程よりも大きくなった角と翼を広げた容姿で立っていた、異形の化け物に向けるヒナの瞳には―――涙が浮かんでいた。


ヒナ「ぜ、絶対許さないから…っ」


??「りゅ、龍人族様…?」


ヒナ「何回もバンバンバンバン打ち込んできて!!流石に痛かったでしょうがぁぁぁぁ!!!!」


そう言って拾い上げて投げられた石ころはヒナの異次元の力で豪速で放たれ、化け物の顔に当たるとバラバラに粉砕し、残った体にも近くの石ころを拾い上げて轟音と共に放たれ、粉砕してゆく。

その放たれる石ころの威力は異常だが涙目で物を投げるヒナの姿は正しく子供が泣いて物を投げる光景のようだった…。


ヒナ「はあ…はあ…!ムカつく…!アイツはあんだけ私に打ち込んできたのに、なにアイツ吹き飛んだんだけど!!」


??(…な、何が起こったんだろう…?)


今だに涙目で頬を膨らませるヒナは涙を拭うとため息を漏らしてから女の子に視線を向けるがビクンと反応され、先程まで化け物が居た方向を見ると倒れた木々が目に映る、そこで今の自分が人間だった頃と同じ力感覚で何かをすると破壊しか生まない事を思い出して頭を抱えてしゃがみ込むとヒナの角と翼が元の大きさへと戻ってゆく。

そんなヒナにビクッと何事かと驚く女の子は項垂れるヒナを見て不思議そうに首を傾げる。


ヒナ(ああああ!!やってしまったぁぁぁぁ!!絶対、あの子怯えてるよね…ど、どうしよう…!!)


??「あ、あの…龍人族様?」


ヒナ「ひゃ、ひゃい!って…龍人族様って私の事…?」


??「うん…龍人族様、だよね…?」


ヒナ「えっ…あぁ〜…多分…」(分かんないけど…)


??「た、助けてくれてありがと…痛っ…!!」


ヒナ「あぁっ!!怪我してるんだから正座とかしなくていいから!!」


??「でも…龍人族様はえらい人だから…龍人族様の前ではちゃんとしないと駄目だって…」


ヒナ「いいからそんなの、お願いだから左足が楽な状態で居て」


??「うん…」(…この龍人族様…優しい…)


駆け寄って来るヒナが女の子を楽な体制にさせると今だに左足から溢れ出る血をどう止めるか思案している頃、女の子はヒナが考え事をする横顔を見入ったように凝視する。


ヒナ(どうしよう…どうする…何か消毒液とか包帯とか無いと…いや、それより血が止めれるような物が…ん?)


ヒナが必要な物を頭に浮かべていると横で何かが落ちる音がして振り向くとそこにはヒナが見知った物が転がっており、その少し上には陽炎のように空間が歪んでいた。


??「い、今どうやって…?」


ヒナ「…どうやってだろう…?」(こっちが聞きたいくらいだけど…ううん、今はとりあえずありがたく使わせてもらおう)


一先ず、物が急に現れた理由を考えるのは後にしたヒナは魔法のように現れた消毒液を手に取ると一度自分の手の甲に垂らし、くんくんと鼻を近付けて匂いを嗅ぐと医療品の独特の匂いがした。

ちゃんと消毒液なのを確認したヒナがガーゼに消毒液を付けると女の子に、少し痛むよ?、と声を掛けて五センチくらいの傷口に当たると痛そうな声が女の子から漏れる。

血や土で汚れたボロボロな服の裾をキュッ握り締める女の子に声を掛けながら少し慣れない手付きで消毒を済ませるが傷口からは血が止まらない。


ヒナ「血が止まらない…」


??「…っ、止血液…」


ヒナ「止血液?なにそれ?」


??「血をすぐに止めてくれるお薬…でも割れちゃった…」


そう言って女の子が取り出してきたのは薄い水色をした液体がほんの少し入った割れてしまった瓶だった。ヒナがその物を見て、それがあれば…、と思った瞬間にまた横に何かが落ち、そこには綺麗な水色に輝く液体が入った瓶だった。


ヒナ(うん、もう驚かない)


??「龍人族様…すごい…」


ヒナ「あぁ、うん、気にしないで…それより、これも止血液で合ってる?」(いくら変な神様だったからってなんでもかんでも与え過ぎだよ…あの神様…)


??「うん…でも、そんなに貴重な止血液勿体無いよ…」


ヒナ「あなたみたいな女の子が痛くて泣いてるのを泣かなくて済むならどんな高価な物でも安い物でしょ、ほら、掛けるよ?」


??「あっ…」


女の子が少し勿体なさそうな漏らすがヒナは構わずにそう言って少しずつ傷口に掛けてゆくと次第に傷口が塞がるのを見てヒナが早いなと思っていると女の子も驚いた様子だった、その様子にヒナは今使ってるのが異様なのだと悟り苦笑を浮かべる。

傷口が塞がった女の子にヒナが、立てる?、と尋ねると女の子は立ち上がろうと足に力を込めるが痛そうな声を漏らしてへたり込んでしまう。


??「い、痛い…立てない…っ」


ヒナ「ありゃ…折れちゃってるのかな…あの怪我だったしね…」


自分の足が折れたかもと聞いて女の子が何か思い詰めたような表情を浮かべるがヒナはそんな女の子を横目で観察しながら、骨折なら固定しないといけないと考えながら辺りを見渡すがあの異形の化け物が暴れたせいでほとんど何も無い。

辺りを見渡すヒナの目に映るのは、ボロボロの枝みたいな少し頼り無い物ばかりだった。他に何か無いか探していたらふと自分から生えている尻尾に目が行く、自分から生えるその綺麗な尻尾に付いている白銀の鱗を眺めながら、この鱗硬いのかな?、と疑問に思い、数回指で突つくとコツコツと硬そうな音が鳴る。

何か思い詰めた表情をしていた女の子もその音に自分の尻尾の鱗を突つくヒナに視線を移すと少し感心したような声を漏らしたヒナが徐に自分の白銀の鱗を剥がしたヒナにギョッとする。


ヒナ(う…鱗が捲れる感覚、なんだか変な感じ…)


??「な、何やってるのっ!!龍人族様!?」


ヒナ「えっ?いや、固定するのにこれ使えるかなって…」


??「そ、そんな事の為にその綺麗な白い鱗捲っちゃったのっ!?」


ヒナ「うん、ほら硬いし、大丈夫だよ」


あたふたとする女の子とは違い、ヒナはもう一枚鱗を捲ると慣れない感覚にゾワッと鳥肌が立つ。

ヒナが捲った二枚の鱗を持って、固定するから足伸ばして、と伝えると何故か女の子があたふたするのをヒナは首を傾げる。


??「あ、あの…」


ヒナ「ほら、早く」


??「う、うん…」


ヒナ「よし、じゃあ始めるからね、痛かったらすぐに言ってね?」(なんか慌てた感じだけどどうしたんだろう…ん〜…?)


ヒナの白銀の鱗を足を固定させる為に使わせるのを気まずそうにする女の子を不思議に思いながらもヒナは女の子の折れている左足を自分の尻尾の鱗で固定する。

慎重に包帯で括って固定したヒナは疲れたように息を吐き、女の子を見ると申し訳無さそうな表情を浮かべていたがヒナの視線に気がつくとペコッと頭を下げる。


ヒナ「…?私、ヒナ、橘 ヒナ、よろしく、えっと…」


??「イアです…ヒナ様…」


ヒナ「ヒナ様って…普通にヒナでいいよ」


イア「う、ううん!ヒナ様は恩人だもん!」


ヒナ「いや、あの状況で見捨てれないでしょ…?」


イア「…でも、イア…目変だよ…?だから、イア…」


ヒナ「うん?その変ってゆうのがどうゆう意味かは私には分からないけど、その目綺麗だよ、それに無事でよかった…」


イア「…!!…っ」


ヒナ「えっ!?ちょ、なんで泣くの!?気持ち悪かったかな!?気持ち悪かったよね!イアみたいな小さな子にあんな事言うのは流石にね!!」


ポロポロと大粒の涙を流すイアにヒナは自虐的な事言うがイアはそれを首を振って否定する、何気なく言った事でイアが泣き出した事に困惑するヒナはイアを優しく抱き寄せる事くらいしか出来なかった。

ヒナに抱き寄せられたイアはさらに大きな涙を浮かべ、ヒナに抱き付いて泣いた、そんなイアをヒナは頭を撫でながら抱き寄せるのだった…。


ヒナ「落ち着いた?」


イア「う、うん…ごめんなさい…イア、汚いのに…」


ヒナ「汚いのに、って…まあ、変なのから逃げてたもんね、その長い髪も土埃で汚れちゃってるし…そこの湖で水浴びしよっか?」


イア「でも、イア…立てないから…わっ!!」


ヒナ「じゃあ、私が入れてあげるよ」


イア「えぇっ!?ま、待って!ヒナ様…!」


ヒナ「待たない、私もあの変なののせいで汚れたし、一緒に水浴びしよ」


イア「一緒には…恥ずかしい…」


ヒナにお姫様抱っこで湖に運ばれるイアはヒナに一緒に水浴びをすると言われ、恥ずかしそうに俯くがヒナは少し困ったような笑みを浮かべつつも左足を気遣いつつイアを水辺の近くに下ろす。


ヒナ「そんなに恥ずかしがらなくても女の子同士だから、大丈夫だよ」


イア「ヒナ様に見られるのは…恥ずかしい…」


ヒナ「なんで名指し…はぁ…じゃあ、私後ろ向いてたらいい?」


イア「う、うん…ぜ、絶対振り向いちゃやだよ…?」


ヒナ「はいはい…」


イアに凄い警戒されているヒナは困ったような笑みを浮かべて、イアに背を向けたまま汚れた服を脱いでゆくと後ろからぎこちない手付きで肌と服が擦れるような音聞こえてくる。

先に脱ぎ終えたヒナが視線を向けられているのを感じつつ、湖に入るとある程度深い場所でしゃがみ込んで頭まで潜る、そんなヒナの姿を見ていたイアはヒナの一糸纏わぬ姿に魅入られていた。

白銀色の髪と白銀の翼と尻尾が湖の中で日の光で煌めく光景を見ていたイアをよそにヒナは湖に潜りながら、そう言えばシャンプーとか無いなと思うと消毒液が現れた時と同じく、陽炎のような歪んだ空間からシャンプーなどが落ちてくるのを見て、水面へと上がってきたヒナはイアに振り返る。


ヒナ「ぷはっ、そうだ、イア、体とか洗うのにこの石鹸とシャンプー…」


イア「…っ!!やだぁぁぁぁ!!ヒナ様の嘘付きっ!!絶対振り向いちゃやだって言ったのに!!」(やだ…!裸見られた…っ、イアの汚い裸…ヒナ様に…っ、ヒナ様には嫌われたくないよ…っ)


ヒナ「ご、ごめん…でも、何もそこまで嫌がらなくても…」


イア「イアは…汚いから…!」


ヒナ「…どこが?イアに何があったのかは知らないけど、全然汚くないよ」


イア「…さ、触れる…?」


ヒナ「…?ほら、これでいい?」


イアの手をなんの躊躇いも無く取るヒナに俯いていたイアは顔を上げ、目を見開いてヒナを凝視する、そこには不思議そうな表情を浮かべたヒナが立っており、触れたでしょ?それに、汚れなんて洗えば落ちるよ、と言ってイアの頭に両手で掬った水を掛ける。


イア「ヒナ様は…」


ヒナ「うん?」


イア「ヒナ様は、イアの目…怖くない…?」


ヒナ(う〜ん…また目の話か…)「怖くないよ」


イア「気持ち悪くない…?」


ヒナ「気持ち悪くないよ、どうして?」


イア「目が変だから…化け物だって…」


ヒナ「なるほどね…そうゆう感じか…」


この世界の偏見を目の当たりにしたヒナは呆れたようにため息を漏らすとイアの目線までしゃがむと今にも泣き出してしまいそうに体を隠すように縮こまるイアに微笑む。


ヒナ「イアの目のそれ、オッドアイだよ、珍しいだけで全然化け物じゃないよ、どうやってオッドアイになるのかとかは私も知らないけど…私はその赤い瞳と青い瞳、綺麗だと思うよ?」


イア「ほんと…?」


ヒナ「本当に、きっと大きくなったらイアは綺麗な人になるよ、私が男の人だったらお嫁さんに欲しいくらい、なんちゃって」


イア「…!!ヒナ様…っ」


ヒナ「あぁ…また泣く…」


ヒナが困ったようにまた泣き出しそうになるイアを抱き寄せるとイアも答えるように抱き付くとポロポロと涙を流す。

それから泣き出したイアを宥めながら髪と体を洗い終え、ヒナが取り出した白いワンピースを纏ったイアはヒナにバスタオルで髪を乾かしてもらいつつ満面の笑みを浮かべ、汚れてしまった着ていた服装と同じ物を取り出し、着替えると元々着てあった服は陽炎の中に放り込むと消える事に感心していたヒナに興奮気味に話すイア。


イア「ヒナ様ヒナ様!しゃんぶぅ…?凄かった!泡泡でモコモコで!せけん…?もいい匂い!」


ヒナ「もう何回も聞いたって…後、シャンプーと石鹸ね」


イア「しゃんぷぅとせけん!」


ヒナ「…まあ、いいか…」(泣いてたとは思えないくらい元気になってくれたし…)


ヒナに髪を乾かしてもらって気持ち良さそうな表情のイアの髪にヒナが目を向ける。

砂埃や血が付いていた時には予想もしないくらい綺麗な金色の髪が現れ、シャンプーで洗い流した時、ヒナはその変わりように感心すらした。

最後に泣き出した後からはイアはまるで妹のようにヒナとの間に壁が無くなったかのように懐いていた。


ヒナ「はい、これで乾いたかな?」


イア「む〜…」


ヒナ「拭いてあげたのになんで不満気なの…?」


イア「ヒナ様にもう少しだけ髪触ってて欲しい…」


ヒナ「…はぁ…」


不満そうなイアの言葉にため息を漏らすヒナだがイアの頭に手を乗せると優しく撫で、これでいい?、と尋ねると嬉しそうな表情を浮かべるとイアは頷いたのをヒナ柔らかい笑みを浮かべていた。


ヒナ「さて、じゃあ、そろそろ移動しようか」


イア「…あの、ヒナ様…イア…」


ヒナ「ほい、背中乗って」


イア「…い、いいの…?」


ヒナ「…?もちろん、まさか、こんな所に女の子を一人置いていくと思ったの?」


イア「う、ううんっ!ヒナ様は…優しいもん…」


ヒナ「…そっか、ほら、おいで…おんぶしてあげるから」


イア「うん…」


ほんのりと頬が赤くなっていたヒナの肩にイアが手を添えると軽々しく抱え上げるヒナの体温を目一杯感じるように頬を背中にピトッと当てる。

ヒナが背中に小さな温もりを感じながら歩き出すがイアはヒナの背中で安心したように目を閉じていた、徐々に恥ずかしくなってきたヒナはイアに先程の化け物はなんだったのか聞く事にして話し掛ける。


ヒナ「イア、起きてる?」


イア「…うん…ヒナ様、なぁに…?」


ヒナ(ちょっとウトウトしてたのかな…でも、なんかこんな風に甘えられるの初めてだったから恥ずかしかったし…)「言いたくなかったり、怖かったら話さなくていいんだけどね、イアが追われてたあの化け物はなんだったの?」


イア「えと…守り神様…」


ヒナ「守り神様?それにしちゃ、イアに向かって容赦無く攻撃してたけど…」


イア「…生け贄、だから…」


ヒナ「生け贄、ねぇ…守り神とゆうより悪魔だね…」


ヒナの肩に添えられたイアの手に力が込められるのを感じながらヒナはそんな事を呟き、もう少しイアに尋ねる事にする。


ヒナ「私、この辺りの情報に疎くてさ、その守り神ってのになんで生け贄が必要なの?」


イア「…血とか…人が…食べ物だって…」


ヒナ「はぁ…なるほどね、アイツを制御して守り神として崇めてた感じなのかな」


イア「それは分かんない…イア、奴隷だったから…ごめんなさい、ヒナ様…」


ヒナ(奴隷とまで来たか…どれだけこんな幼い女の子に辛い思いさせるのやら…)「いいよ、気にしなくて…イアは…戻りたい…?」


イア「ッ!?や、やだっ!!見捨てないでっ、一人にしないでっ、ヒナ様ぁっ!!」


ヒナ「わ、分かったから絶対に一人にしないから…ね?」


想像を遥かに超える反応をし、震えながら必死にヒナにしがみ付くイアにヒナは相当酷い目に遭わされてたのだろうと思い、宥める。

震えるイアに、これは聞かない方が良かったな…、と反省しつつ何か別の話題を探すヒナにか細い声が聞こえてくる。


イア「ヒナ様…戻りたく、ない…」


ヒナ「うん、もう分かったから、じゃあ、この近くに町とかあるかな?」


イア「ヒナ様、ごめんなさい…分かんない…」


ヒナ「そっか、途中で誰かに会えるといいね」


ヒナの役に立たなくて悔しい思いをするイアはその反面で役に立ててないのに一度も悪く言わないヒナに感謝しか浮かばなかった。

それから安心したような表情でヒナの背中で眠り、すやすやと寝息を立てるイアを背負ったままヒナは森の中をひたすら前へと歩き続けて数時間程経ったが以前辺りには森が広がっていた、広い森なんだなぁ…、と楽観的な事を考えながら歩いていると寝ていたイアがもぞもぞと動く。


イア「んっ…ん…?」


ヒナ「起きた?疲れてたんだね、ぐっすりだったよ」


イア「ヒナ様…よかった、夢じゃなかった…」


ヒナ「ふふっ、まだ寝ぼけてるの?ずっと一緒だよ」


イア「…うん…ヒナ様…」


ギュッと抱き付いてくるイアに微笑ましく思っていたヒナは足を止めずに今だに歩いているとヒナが傍に居るのを実感出来たのか、イアがヒナにどれほど自分が眠っていたのか尋ねる。


イア「ヒナ様、イア、どれくらい寝てた?」


ヒナ「分かんないけど数時間くらいはぐっすり眠ってたよ」


イア「数時間…ヒナ様、ずっとイアおんぶして歩いてたの?」


ヒナ「うん、イアの足の事もあるし、病院…は見つからないとしても何処かでイアを休めてあげれる場所探さないといけなかったからね」


イア「…ありがとぅ…」


ヒナ「いえいえ」


今まで化け物の子供として酷い扱いしか受けてこなかったイアはこんなにも自分の事を思ってくれるヒナの優しさに耳まで真っ赤にさせ、恥じらうかのようにヒナの背中に顔をうずくめて紅潮している顔を隠す。

少し森を歩き続けてると森の中にポツンと一軒だけ家が立っているのを見つけ、ヒナはこんな場所に家がある事に不思議に思うが数時間も歩いていた事とイアを休ませてあげる為にもその家に歩いてゆく。


イア「あ、あのお家に行くの…?」


ヒナ「うん、やっと見つけたからね、大丈夫、イアに酷い事はさせないよ」


イア「…うん…ヒナ様信じる…」


ヒナ以外の人に会うのが怖いのかヒナの肩に添えられたイアの手が少し力が強まるのを感じつつ、ヒナは見つけた一軒家に歩いて行き、ヒナが扉の前に立つとイアはギュッとヒナの背中に隠れるようにうずくまる。

イアのそんな様子に何かあればすぐに離れようと決め、扉をノックすると中から声が聞こえてくると足音が扉へと近寄ってくると扉が開かれた先には優しそうな顔のお婆さんだった。


??「あれま、これはまた珍しいお客さんだこと」


ヒナ「あ、あの…厚かましい事は重々承知なのですが、よければ今日泊めてもらえないでしょうか…?」


??「うちにかい…?」


??「婆さんや、どうしたんだ?」


家から出てきたお婆さんがヒナの突然の申し出に不思議そうな表情を浮かべていると奥の部屋からお婆さんと同じく優しそうな雰囲気のお爺さんがやって来るとお婆さんがヒナの言っていた事を説明するとお爺さんも不思議そうな表情を浮かべるのをヒナは理解出来ずに首を傾げる。


??「わしはイデルじゃ、こっちの婆さんはアマリ、それで龍人族様がこんなところでわしらのような家を訪ねてきてどうしたんじゃ…?」


ヒナ「少し色々な事があって森で迷ってしまって、怪我をしているこの子を背負って数時間くらい歩いてた時にこの家を見つけてお邪魔でなければ一晩だけ泊めてもらえないかと思って…」


そんな説明をしてヒナは背中に隠れているイアを少し体を捻って二人に見せると驚いたような反応を見せるとヒナとイアを家へと上がるように催促する。


イデル「そんな小さな子を背負って何時間も歩いておったのか、龍人族様には窮屈な所じゃがゆっくりしておくれ」


ヒナ「窮屈だなんてそんな…入れて頂きありがとうございます、ほら、イアもお礼言って」


イア「…あ、ありがとう…ございます…」


アマリ「あらまあ、こんな礼儀正しい龍人族様なんて聞いた事無いわねぇ、そこのソファー使ってちょうだいね」


ヒナ「はい、ありがとうございます、イア下ろすよ?左足気をつけてね?」


イアの左足を気に掛けながらイアをソファーへと下ろして、ヒナが立ち上がろうとするとギュッとヒナの腰に手を回して離れないようにする。

そんな状態になったヒナは苦笑を浮かべ、そのままの状態でイデルとアマリに自己紹介とお礼を述べてペコリと頭を下げる。


ヒナ「イデルさん、アマリさん、私はヒナと言います、この子はイアです、この度はありがとうございます」


イデル「ここまで見栄を張らん龍人族様などおったんじゃのう…それにこんな小さな子を背負って…ん?その子の目…」


イア「ッ!?」


オッドアイの話題が出るとイアは強く目を閉じてギュッとヒナに抱き付く強さが強まり、ヒナが慌てて説明を始める。


ヒナ「ち、違うんですっ、確かにこの子の目は両方とも色が違いますけど、別に悪い事なんてしませんっ、悪い子じゃ…」


アマリ「まあまあ、龍人族様、落ち着いて、あんな礼儀正しい龍人族様と一緒に居る子なんだから悪い事なんてすると思ってないよ」


イデル「そうじゃそうじゃ、何か訳ありなんじゃろ?今更、家を出て行けなど言わん」


ヒナ「そ、そうですか…後、様は必要ありませんよ?泊めていただく身ですので」


ヒナがそう言うとイデルとアマリの二人は驚いたように顔を見合わせるとヒナの態度に、本当に不思議な龍人族様じゃのう、と笑われ、苦笑いを浮かべるヒナだった。


イデル「龍人族様とは思えんのう、いや、様は嫌なんじゃったな、なら、ヒナさんと呼んでも構わないかのう?」


ヒナ「はい、様付けされるよりは全然マシなので…」


アマリ「イアちゃんはお腹空いてないかい?何か食べるかい?」


イア「り、イア、別にお腹空い―――」


アマリの気遣いを遠慮しようとした時、きゅるるるぅ〜…、と可愛らしい音が聞こえたかと思うとイアは目を見開き、耳まで真っ赤にさせて恥ずかしがるとヒナの腰に顔をうずくめる。

そんな反応を見せるイアにイデルとアマリは微笑ましそうな表情を浮かべていて、ヒナはこの二人なら信頼しても大丈夫そうだと思い、少しだけ肩の荷が降りたのを感じた時、ぐうぅぅ〜…、とお腹が鳴り、ヒナも真っ赤になる。


アマリ「あれま、二人共そんなにお腹が空くくらい歩いてただねぇ…すぐに用意するから待っといてな」


ヒナ「す、すいません…お気遣いありがとうございます…」


恥ずかしさにやられそうになるも必死に耐えたヒナがアマリに頭を下げると優しく笑うと奥にあるキッチンへとアマリが向かっていくのを見届けてヒナはイアの隣に腰掛ける、そんなヒナの膝にイアは顔をうずくめるのをヒナは少し照れくさそうにする、そんな二人を見ながら正面にあるソファーにイデルが腰掛け、じっとヒナを見定めるように見てくるのをヒナは首を傾げるだけで何故見られているのか分からない様子だった。

そんな反応をするヒナにイデルは少々心配を覚えたが何があったのか尋ねる事にする。


イデル「この辺は龍人族どころか、人が来るのも珍しいんじゃが、ヒナさんは何をしておったんじゃ?」


ヒナ「えっと…」(いざ何をしていたか、と聞かれるとどう答えたものか…あの変態創造神の名前出して、転生してきました〜なんて言う訳にもいかないし…)


イア「ひ、ヒナ様はイアを助けてくれたの…」


イデル「助けてくれた?」


イア「…イア、守り神の生け贄にされて…」


ヒナが返答に困ってるのを感じてか否か、ヒナの膝から起き上がったイアがヒナの服の袖を握りながらイデルに話す、人と話すのを怯えていたイアが話すのをヒナは少し驚いていたが服の袖を握り締めている手が震えているのを気付いて代わりに話そうとした時にグイッとヒナの服の袖を引いて、引き止める。


ヒナ「……」


イア(が、頑張れ…!ヒナ様がイアと会うまでの事は分かんない…でも…ヒナ様はイアの事、助けてくれて、見捨てないでくれて、一緒に居てくれるって笑ってくれた…だから…!)「りゅ、龍人族様のヒナ様に助けを求めたの…守り神に殺されたくないって…だから、ヒナ様は悪い人じゃない…です…」


イデル「なるほどな…本当にヒナさんみたいな子があの守り神を倒したのか?いや、龍人族の力を疑ってる訳じゃないがのう…」


イア「ひ、ヒナ様は強いの…!あんな酷い守り神よりも守り神様みたいにとっても強かったの…!!」


イデル「…そうか、分かった、イアちゃんの言う事を信じる事にするかの」


イデルが小柄なヒナがあの異形の化け物を倒した事に少し疑問を持ったがイアが反論をしてきたのを見、イアの話を信じてくれたのをイアは俯いてしまったが口元を嬉しそうに緩めこくりと頷く。

そんなイアの頭をヒナは優しく撫でる、隣で怖いのを頑張って耐えて自分を庇ってくれたイアを見てヒナはイデルに視線を向け、話し始める。


ヒナ「私、記憶が曖昧なくらい無いんです、だから自分が龍人族なのかも分からないんです、分かるのは名前とこの子の事くらいです」


イア(…ヒナ様の記憶が…無い…?)


イデル「何も覚えておらんのか?」


ヒナ「はい、この子と出会った湖に居た事が一番古い記憶です」(…嘘をつくのは心苦しいけど、この体としてはあの場所が始まりの場所であり…イアとの出会った場所だから…)


イア「じゃあ…ヒナ様がイアと居てくれるのは…イアの目が変なの…知らないから…?」


ヒナ「違うよ、それだけは絶対違う、私がイアと居るのは私がイアと居たいからだよ?今度そんな事言うと例え嘘でも本気で怒るからね、イア」


イア「ご、ごめんなさい…不安だったの…」


ヒナ「うん、分かってるよ、でも、不安になんかならないでいいくらいに私はイアの事大好きだよ」


イア「っ!?」


ヒナの言葉に不意を突かれたイアが驚いてヒナを見上げるがヒナは優しい笑みを向けていてまた耳まで真っ赤になると先程より深く俯いてしまうイア。


イデル「仲良しじゃのう」


ヒナ「はい、もう『家族』なので」


イア「…!!…っ…」


全身に電気が巡ったようにヒナの一言を聞いたイアは感情が溢れ出そうになる、化け物と呼ばれ、忌み子として育ってきたイアは親が誰なのか、兄弟が居るのかも分からず生きてきた。

そんなイアはヒナの一言を聞き、大粒の涙となって嬉しさが溢れ出る…イアがポロポロと涙を流しているのに気が付き、そっとヒナが抱き寄せると抵抗する事無く、ヒナの服を大粒の涙で濡らしていく。


ヒナ「…ずっと一緒に居ようね」


イア「うん…!」


イデル「…色々あったみたいじゃな」


ヒナ「みたいですね、酷い事もされたみたいですし、挙句にはあんな化け物の生け贄にされてましたから…」


イデル「…ヒナさんは名前しか覚えておらんのに、イアちゃんの事助けておって偉いのう」


ヒナ「いえ、私がイアを助けたいと思ったんです、だから偉いとかじゃないんです」


イデル「その考えは誰にでも出来る訳じゃないぞ」


ヒナ「えへへ…」


イア「ありがとぅ…!大好きだよ…」


ヒナ「うん、こっちこそありがとう、私もイアの事、大好きだよ」


こくこくとイアが胸で頷いたのを感じたヒナは今日だけで何度見たであろうかイアの泣く姿だが見慣れる事は無く、早く泣き止むように抱き寄せるのだった。

それから少し経ち、アマリが料理を持ってヒナ達が居るリビングへと戻ってきた頃にはすっかり泣き止んでいたイアがヒナにくすぐられてこしょばそうに笑うイアの姿を見てアマリは微笑む。


アマリ「あらあら、ヒナちゃん、そんな悪戯するのね」


ヒナ「さっきからずっと固い表情ばかりしてるので少し笑わせる為に」


イア「だ、だからってヒナ様…っ、ふふっ…あははっ!!もぉやぁらあぁ!!」


アマリ「ほら、イアちゃんくすぐったそうだからやめてあげなさい、ヒナちゃん」


ヒナ「そうですね、少しは表情柔らかくなったみたいですし」


イア「はぁ…はぁ…ヒナ様、意外とイケズ…」


ヒナ「私の事優しいと思ってたの?」


イア「むぅ…!優しいけどイケズ…」


イタズラ笑顔のヒナに少し腑に落ちそうに無いイアだがぽつりと呟いたその囁きは誰にも聞こえる事無く、虚空に消えてゆく。

アマリが作ってくれた夕食を食べ、ヒナとイアは一つずつ部屋を貸してもらい、就寝する事になるがイアが嫌がり、ヒナと一緒じゃないと不安だと言い出し、同じ部屋で寝る事になったヒナは一つのベッドにイアと一緒に寝転んでいた。

ベッドの柔らかさと掛け布団の暖かさを感じながら目の前で目を閉じているイアの顔を眺めていた、イアが寝付くのを見守っていると何度か様子を伺うかのようにイアが目をぴくぴくとうっすら開いてヒナが眠ったか確認する。


ヒナ「…眠れない?」


イア「……」


ヒナ「…?何かして欲しい事あったら遠慮しなくていいよ」


イア「…くっついてもいい…?」


ヒナ「うん、おいで」


ヒナにくっ付きたくて様子伺っていたイアはヒナにくっ付くと安堵したようなため息を漏らすとそのまますんなりと夢の中へと落ちてゆく。

イアの穏やかな寝息が聞こえ始めてきた頃、ヒナもゆっくりと夢の中へと意識が薄れてゆき、すやすやと眠る二人が居る部屋には穏やかな寝息が二つ聞こえるだけの静かな夜が更けていった。


イア「…ん…んぅ…」


ヒナ「…起きた?」


イア「…うん…」


ヒナ「まだ眠たそうだね、今日はどうなるか分かんないからゆっくり寝てていいからね?」


イア「…う…ん…すぅ…すぅ…」


窓から日の光が差し込む時間帯にイアが起きるが先に起きていたヒナが隣で寝転んでいるのを見てまだ少し眠たかったのかイアは再度夢の中へと落ちてゆく、イアの小さな体が呼吸する度に上下するのを見守ってヒナはイアを起こさないようにゆっくりと上半身を起こし、自分から生えている翼や尻尾に視線を向け、手を頭に当てて角が生えてる事を確認する。


ヒナ「まあ、夢オチ…なんて事は無いか、イアの事があるし、一概に悪い事ばかりじゃないから全然良いんだけど」


自分の隣を安心したように眠るイアを見守りながらそんな事を小声で呟き、少し喉が渇いたと思いつつヒナがペットボトルに入った天然水をイメージすると目の前に現れ、そのペットボトルをキャッチする。


ヒナ(うん、本当になんとなくだけど原理は分かったかも、ある程度の物なら作る…?出現…?出来るみたい…でも、あの化け物が使ってた魔法みたいなのと飛び道具みたいな武器は出来なかったな…もしくはもっと鮮明なイメージが必要とか…?飛び道具に使う武器とか剣とか直接見た事なんて無いし、見たとしてもテレビの中とかの想像でしか無いし…あの魔法みたいなのに限っては今だに信じられないし…)


そんな思考をしながら慣れた手付きでペットボトルの蓋を開け、ごくごくと喉を潤わせ、三分の一程飲んだ後、蓋を閉めると残りはイアの為に残し、眠っているイアの手の近くに横にして置くと次の思考に移る。

ヒナは次に犬や猫と言った生き物をイメージしてみる、犬や猫なら見た事があるからだ、だが、ヒナが犬をイメージしても猫をイメージしても現れる事は無かった、水が入ったペットボトルやバスタオル、石鹸の時はすんなりと出来たのに犬や猫はまるっきり駄目だった。


ヒナ(ふむ…生き物みたいなのは流石にか、まあ、出来ても困っただろうからその点は助かったかも…イアが着ているワンピースも私が小さい頃に着ていたワンピースだし、やっぱり直接見た物が鍵なのかな…?それがどうゆう物か理解出来てないと駄目ならイアの持ってた止血液とかゆうあの液体は今も理解出来てないし…ある程度の制限を掛けられてるような感じ…?まあ、それでも充分な脅威になりかねないけど…これ…)


異様な身体能力とある程度物ならばイメージすれば作れる人の身には余りにも強大な力、その二つをヒナは使う時には決して間違わないようにしようと決意するのだった。

イアが起きてくるまで何が作れるのか試しては作れた物は水浴びをして汚れた服を着替えた時と同様に陽炎の中に放り込む。

便利なアイテムバックだなぁ…、と考えながらヒナが作った物を陽炎の中に入れていると物音で起きてしまったのかイアがむくりと起き上がってくる。


イア「んぅ…」


ヒナ「ごめん、少しうるさかった?」


イア「ううん…ヒナ様の声、好きぃ…」


ヒナ「そ、そう…ぶつぶつと独り言言ってたもんね…私…」


イア「…何してたのぉ…?」


ヒナ「ちょっと何か思い出せたらいいなと思って」


イア「…これ、なぁに…?」


ヒナ「お水だよ、少し私が飲んじゃったけど、喉乾いてるなら飲んでいいよ」


イア「…凄い軽い…」


ヒナ「それはペットボトルって言うんだよ」


イア「ヒナ様、記憶無いのに物知り…」


ヒナ「えっ、あ、いや…」


イア「…ううん、いいの、イア、ヒナ様が何か言えない事があっても大好き、だから…『家族』って言ってくれたもん」


ヒナ「…ありがとう…いつか言っても大丈夫になったらイアにちゃんと話すね…」


イア「うん」


イアの指摘に少しだけ焦ったヒナだが、そんなヒナを見てイアはペットボトルを大事そうに両手で包むと昨日のヒナの言葉を復唱する、感謝と約束の言葉をヒナから聞いたイアは嬉しそうに笑う。

ペットボトルを蓋を開け、天然水を口に含んだイアは飲み口を口から離すと目を丸くさせる。


ヒナ「どうかした?」


イア「お水ってこんなに美味しかった?」


ヒナ「…?あぁ、そっか…昨日、出してもらったのは何か味を付け足して誤魔化してるなと思ったけどこの世界の水質はあまり良くないのかも…?」


イア「…ヒナ様?」


ヒナ「あ〜、うん、それは天然水だから美味しいのかな」


イア「天然…?何もしてないのにこんなに美味しいの…?」


ヒナ「えっと…なんて説明したらいいかな…」


イア「き、聞いちゃいけない事ならイアいい…知らなくてもいい…」


ヒナ「別に聞いちゃいけない訳じゃないよ、う〜ん…そうだなぁ…このお水が取れた場所はとっても綺麗な場所で普通のお水だけど栄養が沢山ある…みたいな感じ…ごめんね、説明下手で…」


イア「ううん、大丈夫だよ…綺麗な場所かぁ…いつか、ヒナ様と行きたいな…」


ヒナ(…私と行きたい、か…こんな風に思ってくれてるイアを大切にしなきゃね…例え、この天然水が取れた場所じゃないにしても必ず…―――)「必ず一緒に連れて行くよ、イアが感動するような場所に…」


声が出ていたとは思ってなかったイアは一照れ笑いを浮かべるが、うんっ、約束!と嬉しそうに頷いた。

それから、ヒナとイアはアマリが用意してくれた料理を食べて昼前にイデル達の家を後にする事にし、今日出て行く二人の事を考えてアマリが作ってくれたお弁当をもらったヒナがお礼を言うと昨日と同じくヒナにおんぶしてもらっているイアも恥ずかしそうにお礼を伝える。


ヒナ「何から何までありがとうございます」


イア「あ、ありがとう…アマリさん…」


アマリ「いえいえ、年寄りにはこれくらいしか出来んでのう、ヒナちゃんとイアちゃんの役に立てたなら充分」


イデル「これからどこに行くんじゃ?」


ヒナ「それなんですけど、ここから近い町とかってどこですかね?」


イデル「アトランティスとゆう町がある、王都みたいに大きな町じゃよ、そこに行くのがいいじゃろ、ヒナさんみたいな若い子は」


イデルから紹介してもらったアトランティスとゆう町の名前にイアが反応してないか横目で様子を伺うヒナに対し、不思議そうな表情を浮かべて首を傾げるイア。

紹介してもらった町がイアの居た場所では無い事を確認してイデルにアトランティスまでの道のりを教えてもらう。

イデル達の家から少し獣道のような場所を進むと山道のように少し整備された場所にまで出ると後は少し時間は掛かるがアトランティスまでは道のりを進むのだと教えてもらい、ヒナは最後に深く頭を下げる、イアもおぶられたままだがヒナと一緒に頭を下げる。

頭を上げると背を向け、アトランティスへとイアをおんぶして向かうヒナ、そんな二人をイデル達は微笑ましそうに二人の背中が見えなくなるまで見守っていた。


イデル「…良い龍人族様の子じゃったのう」


アマリ「ですねぇ…もっと前にヒナちゃんのような子が居たら龍人族が人間に酷い事をする事は無かったかも知れませんねぇ」


イデル「じゃのう…勝手じゃがヒナさんには期待してしまうのう…」


アマリ「ヒナちゃんなら応えてくれますよ、あんなにも優しいんですから」


イデルとアマリのそんな会話はヒナに届くはずも無く、虚空に消えてゆくがイデルとアマリの表情は笑顔だった。

二人から期待されているなんて事思いもしないヒナはおぶっているイアと楽しげに会話をしながら新たなヒナの故郷となるアトランティスへと歩みを進めるのだった。

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[一言] 如何いう世界観を描きたかったが今一掴めなかった。  ゆるい世界を描きたかったらゆるい設定と重たい設定を整理せず一気に投入しすぎたし、しっかりした土台の世界のつもりとしでも抜けすぎる。  一…
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