3話 水の確保
クズ親父と腐れババアに復讐すると決めたものの、まずは、この無人島で生き延びなければ話にならない。
そのために早急に必要なものが、水だ。
人はしばらくの間物を食べなくても生きることはできる。
しかし、水分の摂取は必要不可欠だ。
水を飲まなければ、数日も保たないと言われている。
「湧き水か、池……あるいは、大量に水分のある果物とか、そういうものを探さないといけないな」
遺跡を後にした俺は、再び森の中を歩いていた。
ちなみに、ウルフは素材毎に解体しておいた。
肉と皮。
それと、牙と骨だ。
肉は食料として。
皮は衣服として。
牙と骨は、なにかしらの道具を作ることができるかもしれない。
素材は皮で包み、鞄のようにして持ち運んでいた。
体力が取られてしまうが、とても貴重なものなので、置いていくという選択肢はない。
「ふう……目的地が定まらない中、闇雲に探すというのは、肉体的にも精神的にも疲れるな」
視界も足場も悪い森の中、どこにあるかわからない水源を探す。
ついでに、魔物の警戒もしないといけない。
疲労が溜まり、自然と足が遅くなってしまう。
「おっ」
木の枝に果物がなっているのを見つけた。
小石を拾い、『疾風』を使い投げて、木の枝ごと落とす。
果物を鑑定したところ、毒のないものとわかり、すぐに食べた。
「意外と甘いな。しかもみずみずしくて……うん、うまい」
糖分だけではなくて、水分も補給することができた。
追加の非常食として、持ち運べる分を回収する。
「さて。休憩してある程度回復したし、水源の捜索再開といくか!」
再び森の中を歩く。
時折、ウルフと遭遇してしまう。
ただ、『疾風』を使い石を投げることで、全て撃退。
「まいったな」
5匹目のウルフを倒したところで、持ち運ぶ荷物が限界に。
今後のことを考えると、できる限り素材は採取しておきたい。
しかし、持ち運ぶ量にも限界があり……
「拠点も必要だな」
次々と必要なものが明らかになる。
なかなかに大変だ。
「おっ」
さらに一時間ほど歩いたところで、小さな水たまりを発見する。
「やった、水だ!」
両手で水をすくい、喜んで口に……
「……いや、待て」
これは井戸でもないし川でもない。
そんなところの水は、下手したら毒が含まれているだろう。
迂闊に飲むと危険だ。
「鑑定」
スキルを使用して、毒の有無を調べてみると……
「……マジか」
毒判定で引っかかり、水たまりの水は汚染されていることが判明した。
毒の種類は、麻痺毒。
飲んでも死ぬことはないが、こんなところで麻痺に侵されれば、どんな目に遭うかわからない。
「くそっ……ようやく水を飲めると思ったのに。また一から探さないといけないのかよ」
意識してしまう、猛烈に喉が乾いてしまう。
水が飲みたい、水が飲みたい、水が飲みたい……
少量なら毒も大した効果はないんじゃあ?
「って……待てよ?」
『盗賊の極意』のことを思い出した。
鑑定で調べた結果、なんでも盗むことができる、とあった。
なんでも、というのならば……
水に含まれる毒も盗めるのでは?
突飛な発想ではあるが、試してみる価値はある。
『盗賊の極意』を発動させた。
その結果……
「マジか」
水から毒を盗むことに成功したらしく、ステータスを確認すると、『毒生成・レベル1』というスキルが追加されていた。
「本当になんでも盗むことができるんだな」
感心しつつ、水を口に含む。
乾いた唇になじませるようにしてから、ゆっくりと飲んだ。
「……うまい」
喉が乾いていたためか、やたらおいしい。
俺は夢中になって水を飲んで、喉の乾きを癒した。
「ふう」
少し落ち着くことができたが、残念ながら、これは湧き水ではないだろう。
雨などが降るなどして、たまたま残ったものだと思う。
「川などの、きちんとした水源を探さないといけないな」
探索を再開する。
水を飲んだことで、元気いっぱいだ。
草木を押し分けて、藪の中を進み……
しばらくしたところで、サラサラと水の流れる音が聞こえてきた。
水が流れているということは、小川だろうか?
期待に胸を膨らませながら移動すると、小さな小川を発見した。
「よしっ、これで……って、なんだこの色は?」
小川の色は紫色だった。
鑑定するまでもなく、毒があることがわかる。
「毒の川? そんなものがあるなんて……上流になにか問題があるのか?」
川沿いに歩いて、今度は上流を目指す。
幸い、大した距離はなかった。
30分ほど歩いたところで、源泉に到着する。
小さな湖。
岩の隙間から水があふれだしている。
そんな源泉を占拠する魔物がいた。
体長は俺の二倍くらい。
クモの姿をした魔物だ。
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名前:ポイズンスパイダー
種族:魔物
職業:――
レベル:5
HP :33/33
MP :0/0
攻撃力:19
防御力:22
魔力 :8
速度 :14
運 :11
<スキル>
『毒生成・レベル1』
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鑑定で確認したところ、レベル5の魔物ということが判明した。
ヤツが、ここの水源が汚染されている元凶らしい。
たぶん……
水場を独り占めすると同時に、毒を流しているのだろう。
そうして、なにも知らずに水を飲んだ獲物を麻痺させて、じっくりといただく。
そんな考えなのだろう。
魔物にしては、なかなかに賢い。
まずは、『盗賊の極意』でポイズンスパイダーのスキルを盗んでおいた。
『毒生成』はこれで二つ目になるのだけど、どうなるのだろうか?
ステータスを確認してみると、
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名前:ノクト・フォン・アーデルハイド
種族:人間
職業:――
レベル:2
HP :19/19
MP :0/0
攻撃力:9
防御力:7
魔力 :4
速度 :10
運 :11
<スキル>
『疾風・レベル1』『毒生成・レベル2』
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「なるほど。二つのスキルが合成されて、レベルがアップした、という感じか」
毒を扱えるようになれば、強力な武器になる。
『毒生成』なんてスキルを入手することができたのは、非常に運が良いと言えるだろう。
「悪いな。お前に恨みがあるわけじゃないが、俺が生き延びるためには邪魔なんだ。排除させてもらうぞ」
その後、『疾風』を使用しての石の投擲。
相手はレベル5だけど……
ウルフを複数倒したことで、俺もレベル2にアップして、ステータスが上昇している。
一撃とはいかないが、三度の投擲でポイズンスパイダーを倒すことができた。
「水の確保は成功だな。おまけにスキルもゲットしたし、幸先がいいな」
この調子ならば、拠点もうまく見つけられるかもしれない。
そんな希望を抱いた時、
「なんだっ!?」
少し離れた場所で、光が弾けるのが見えた。
本日、19時にもう一度更新します。




