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22・教会に行こう



「これって本当に魔力を使ってないの?

信じられないわね、でも魔力を使った結界だとしても見た事ないけどね……」


緊急課題の自宅警備の件で侵入者を追い返すのに使ったセンサーライトを

イザベルが 確認しておきたいと言ったので

作動状態を見せていた。


なんか身体の動きで灯りが つくのを面白がってる子供みたいだ。

スッゴイ良い笑顔のトコ 悪いけど イザベルにも

『脳ミソ溶けちゃうぞー』ブラフの

イタズラ言ってやりたい気持ちをグッと推し堪えた。


さっきのベッドでの件もあったし 大人しくしときましょう。


でも なにが悲しくって異世界来てまで『自宅警備』なんだろう。

転移前でも した事なかったのにっ!


「うーん、魔力っていうか…電力?

ウチの地元の国じゃあ魔力ってほとんど使える人がいないんだよ

かわりに『電力』ってのが それに相応する感じなのかなぁ?」


だいぶぼかした説明だったけど間違ってはいないと思う。


「だったら その電力を使った魔道具…じゃないのよね、

えーと…電道具?を手配して家中に設置すれば 安心じゃないの?」


イザベルの指摘も もっともだが 感知、察知は出来るとしても

自動撃退する様なものはない。あったとしても完全に違法だろう。


「色々とこちらとは法律が 違ってて

相手を殺傷する道具は そう簡単に手配できないんだよ。」


「そう、……その電道具の攻撃用のものだったら

かなりのものなんでしょうけど……

仕方ないわね、察知は 電道具で撃退は魔法中心で行くしか無いかしら」


イザベルは 少しがっかりした様子だったけど

本気の攻撃用道具なんてシャレになりませんから

自宅警備にそんなモン使うのなんて麻薬王くらいですからね……

あ、麻薬王と魔王ってちょっと響きが似てるかも…


「イザベルさあ、そう簡単に言ってくれるけど、僕は 魔法なんて使えないからね」


この異世界では 魔力って 電気並みの汎用性を持つのかも知れないけど

僕は こちらに来てから当然使える訳がないと考えていたので

習った事さえ無かった。


「え?なに言ってるの? そりゃ得意、不得意とか

力量の差は あるでしょうけど

全く使えないなんてあるわけないじゃない!」


いや、そんなスマホとかじゃないんだから……


「そうは言っても さっきも言った様に僕の地元には 魔力なんて無かったんだから

使えないものはしょうがないよ」


「えー、そんなら 属性鑑定だけでもしてもらおうよ、

当然 してもらった事もないんでしょ?

その魔力属性ってひと同士の相性とかも関係あるんだから!」


なんか血液型みたいなこと言い出してる?


イザベルが中々引き下がらない、属性ってアレだよね、

よく異世界魔法モノででてくる 火、水、風、土、とかの 4つ とか5つ、10とか……


「あー、ちょっと興味はあるけどどうせ 見てもらっても何にも無しだよ、

『無属性』ってわけでも無くて ナッシングだってば。」


そりゃ異世界来て 魔法使って『俺Tueee』は憧れだけど

僕には 『小さな幸せ』の方がいかな?

たとえ 治癒魔法とかで治してもらえるとしても

剣で切られたり 魔物に喰い千切られるなんて絶対無理だから!


「それにシャルロットだって

今まで滅多に外に出してもらえなかったって言うんだったら

属性鑑定だってしてもらってないんでしょう?

あ……ひょっとして教会も行ったことが?」


「はい、教会には 行った事はありません。」


「トール、アンタは 良いとしてもシャルロットは教会に連れて行くわよ!

牧師様にも 知ってもらわなきゃ…トールのいとこのシャルロットだって!」


イザベルの真剣な顔が 僕の眼前に迫って来た。


確かに シャルロットを『僕のいとこ』として世間に認知させるには

地元の教会とかには顔を出しとかないとマズイだろう。


かく言う僕自身 この街に来てから教会には1度も行っていなかった。


「わかったよ、でも教会ってハーフエルフに対してどうなの?

教会の教義とかでは その辺どうなってんのかな?」


ハーフエルフへの世間の偏見が

宗教的にも裏打ちされているモノだとしたら…


たとえどんなメリットが有ったとしたって

そんな教会になんて絶対行かない方がいい。


「その辺は 問題無いってば、『神様の御前では 等しく平等』ですから!

偏見どころか シャルロットの味方って言っても良いくらいだし⁈

私の友人のアグネスもいるから心配しなくて大丈夫だって 」


イザベルが そこまで言ってくれるなら……

教会…行くか。


「わかった、それで教会っていつ行ってもいいもんなの?

予約とか…あと 属性鑑定って お金……寄付とか必要なんでしょ?」


僕は 日本でもこちらでも どうも宗教って苦手意識があって

そのあたりの知識は 全く持ちあわせていなかった。


「教会は いつでもどこでも誰にでも開かれてるそうよ、

それに 属性鑑定に対して寄付を受け取ったら

教会を名乗れなくなるもの、

寄付は寄付、鑑定は鑑定 『経済行為』であってはならないの 」


この国『ガーゼット王国』に於いては教会とは その行為の対価として

寄付を受け取ってはならないと規定されているらしい……


なんでも それに違反すると〇〇教会との名称の使用を禁じられ

〇〇商会と掲示義務が発生して教会としての優遇措置も剥奪、

一般商店と同じ扱いとされるそうだ。


ただし そうなれば 治癒でも鑑定でも

料金提示さえされていれば対価は 自由に設定できる。


この国で『教会』と名乗るなら

教義はともかく基本無償行為でなければならないそうだ。


「ウチも 教会に寄付させてもらってるけど 寄付する時期とかは

なんの行事もない時を選んで寄付日を選んでるらしいわよ、

父が よく『メンドくさい』ってボヤいてるもの 」


まあ 抜け道なんていくらでもあるんだろうけど

基本 『奉仕』活動としてタダってことだよね。


「それじゃあ 午前中に行っちゃおうか?

『自宅警備』の対策にしても

シャルロットが なんか凄い魔法属性とか持ってるんだったら

それも対策に組み込めるかも知れないしね? 」


「うーん、エルフは 魔法特性には 秀でた種族だから

シャルロットにもその可能性はあるけど

でも そうなるには 勉強や練習が 必要だから …

すぐって訳にはいかないわよ 」


イザベルに安易な希望には 釘を刺されたけど

ハーフエルフのシャルロットにそんな可能性があるんなら

是非 教会行ってみようじゃありませんか!






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