21・ひとつのベッド
イザベルの悲鳴を聞いて慌ててやって来たシャルロットの顔を見て
ようやくイザベルも落ち着いた様だった。
「な、なんで…トールが ここに?…」
ベッドの上で胸に布団をあてて怯えるイザベル、
その腰のあたりに縋り付く僕……
イザベルの悲鳴を聞いて駆けつけたシャルロットから見たら
『いたいけな美少女の寝込みを襲ったトール』しか考えられないだろう。
「い、いや これは 違っ!違うんだ…オチ落ち着いtr…」
先ず 自分が落ち着け と 僕は思った。
「説明、説明するから!ね?聞いてください⁈」
さすがに問答無用で袋叩きにされないくらいには 信用されていた様で
弁明のチャンスを与えられた。
この際 昨日からの経緯を全部正直にふたりに話すことにした。
この家にはベッドは 僕の部屋にあるコレひとつしか無かったこと、
シャルロットにベッドを譲る為
ここが客間だと嘘をついて僕は一階のソファーで寝たこと、
深夜侵入者を ブラフで追い払ったこと、
シャルロットはここを客間だと信じていたのでイザベルを案内したこと、
そして僕が それを忘れて『僕の部屋』で寝ようとして
イザベルの寝姿を見つけたこと、
イザベルのホッペをプニプニしたこと、
そのまま寝てしまったらしいこと……
『プニプニ』の件は 黙っていようかとも思ったけど
イザベルには『寝ている間に何かされたのでは?』
って不安があって当然だろうから
それも最初に正直に打ち明ける事にした。
後で聞かれて口ごもったり、焦ったりしたら
なんかもっとヤラシイ事をしたみたいに思われちゃうからね。
「……そう、トールのことだから、全部本当なんでしょうね…
私も 大声で叫んだりしてごめんなさい、
目が覚めていきなりトールが いたから
驚いちゃって……
でも… 寝てる私を見てほっぺ『プニプニ』なの?…なんかちょっと…」
イザベルは やっぱり『プニプニ』には少々お怒りの様だったが
僕の話を信じてくれた様だった。
「私、それでしたら 床で充分でしたのに!
お優しいトール様が それを気にされるのでしたら
ご一緒させていただかせても…あ、ハーフエルフなんかとは嫌ですよね……」
シャルロットの方は 僕の予想通りの反応だった。
「シャルロット、そういうことになりそうだと思ったから
こんな嘘ついたんだよ、それに一緒のベッドは……その…
嫌じゃない…けど……ダメ? でしょ……」
「ちょ!ちょっとトール⁈ 後半もっとハッキリ言い切りなさいよ⁉︎
なんで尻つぼみになってんの?
シャルロットも 年頃の男女が一緒のベッドなんかダメだからね⁉︎」
イザベルから良識のある発言いただきました。
でもね イザベル
僕が シャルロットと一緒のベッドでって考えた光景は
隣でシャルロットが 眠るまで本を読んであげてるって光景なんですけど…
なんかそうゆことしたくなる魔性の女かもしれない。
「とにかくベッドは ウチの出入りの商会に言って今日中に納品させるわ。
細かいことを言わなければなんとかなるでしょ。」
さすが貴族様、こうゆう時は頼りになる。ありがとう!
「それで トール、起きてから話すって言ってた『ぎんざてん』の件、なんだけど……」
「ああ、やっぱり 2号店は 銀座で勝負してみたくってさ、
出資検討してもらえた…か…な?………って………ん…………?
あれ? ……これ……この話って………
あの……イザベル……チョット聞くけど…
僕とシャルロットで お寿司屋さんとか やってて イザベルが常連さん……
とかってことは………
ないですよね〜〜」
「あのごめん トール、なに言ってるかさっぱりわからない……」
当然のイザベルの反応だった、あれは僕の妄想の世界だったんでした…
でも なんかいい感じだったんだけどなぁ…
僕もみんなも やさしい笑顔だった。
「あの、トール様……
私におっしゃった 『しゃりきり』?手前までの準備も
出来ておりません、申し訳ありません!」
ああ、シャルロットにもそんな事 言ってたのか……
「ごめん ふたりとも!そのへん全部ひっくるめて
徹夜明けの 僕の妄想でした!
忘れてください!」
でも その後イザベルからその妄想に自分達も登場してたんなら
内容を聴く権利が ある‼︎
と迫られたんで 話しました。
『現代日本』の部分を 『僕の故郷の国』って置き換えてだけど…
イザベルもシャルロットも
そんなに悪くない妄想だと思ってくれた様だった。
「で、問題は この家の警備の件ね!
そんな 侵入者が 来る様じゃ 大至急 対応策を たてないと」
イザベル、仕切らせたら生き生きしてるよね、
こういうこと性に合ってるんだろうなぁ、
成長したら姉御肌の貴族に なりそうだ。
「あ、でも イザベルが 朝早くから来てくれた 用事っていいの?
そっちも 急ぎの件だったんじゃ?」
そっちの件は 後回しでいいそうだった。
それを言うイザベルは
姉御肌タイプだと思ったのが間違いのようにグダグダでした。




