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748 つまずきの元
2019.1 作
夜の八時過ぎ。
妻が顔をしかめて帰ってきた。
「捻挫したみたい」
隣保班の区費を集めている最中、暗がりでつまずいて足をくじいたと言う。
ひどく痛そうである。
「オマエ、しょっちゅう足をくじいてないか。結婚した直後も駐車場のロープにひかかって転んで、病院に行ったら骨にヒビが入ってて」
「そうやったね」
「あれがつまずきの元や」
「ううん、その前」
「その前って?」
妻いわく。
「あんたと出会ったとき。あのとき、うちは人生につまずいたんよね」




