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フレイア+レイファー=○○フラグ

シュンさんと逸れてしまってから丸一日が過ぎた。


「うわーーーん、わんちゃんが見つからないよ~」


どうやらマナナさんは1晩中探し回ったようです。


「大丈夫ですよマナナさん、シュンさんはどこに行っても生き残るほど悪運が強い。そんな気がします」


まあ気がするだけですが。


「うううう、わんちゃんどこーーーー」


宿にとまり、身奇麗にして睡眠をたっぷり取ったので、マナナさんに付き合いシュンさんを探すことにする。


「しかし、いったいどこに居るんでしょうね」


そう呟いた時に、都市の中央にある巨大な水晶から、画像と音声が伝わってくる。


『アポロス戦闘者の肩に一匹の子犬がくっついているぞ!』


ん?子犬?


なんとなく画像を見る……いえ、ありえないでしょう?


「どういうことになったら、バトルウォーに参加する事になるのでしょう。予想の斜め上をいくにも程度があるでしょうに……」


私はありえないことをやらかしたシュンさんに呆れつつ。


とりあえず、マナナさんにシュンさんの無事(今のところ)を伝えましょう。生き残れればいいのですが。


『そして次にフィールドに現れたのは、氷結の魔女こと、魔王レイファーだーー!!』


あれは……魔王レイファーに微かな黒い靄が見えた。


「やはり魔王レイファーに入り込んでいましたか。エンヴィー……ほんとめんどくさいですね」




        ◆ ◆ ◆ ◆



バトルウォーが始まる一時間ほど前に遡る……


今俺はアポロスの肩に摑まりバトルフィールドへ向かっている所だ。


隣にはミザリーさんがいる。


《やっぱりどう考えてもおかしくない? Eクラスの俺がバトルウォーになんか出てもいいの?》


というか出たくないのでだめだといってくれ!


「なんやシュン心配するな、ルール的にはE~Aどのクラスが入ってもかまわん事になっとる」


ミザリーさんが補足してくれる。


「バトルウォーは五人一チームを二十チーム作って争うゲームです。始めに十ポイント、その後に一分1ポイント増えて生きます。E~Aクラスにはポイント消費量が設定されていて、Eが一点Aが五点と計算しています」


つまりE一、D二、C三、B四、A五点というわけだ。


「一チームにAクラスが二人Dクラスが二人Eクラスが一人で十六点となり、召還するには十六ポイント必要となりますね」


《最初に出そうと思ったら六分経たないと出れないんだ?》


「時間によるポイントだけで計算するとそうなりますね」


《時間以外にも何かあるんだ?》


俺の疑問にアポロスが応える。


「バトルウォーのフィールドは一マス一キロ四方の正方形が縦十マス、横十マスの百マスになっとる。そのうち十マスにマジックストーンがあり、そこを占領すると一分に一ポイント加算されるようになるんや。そして相手チームを撃破したらそのチーム分のポイントが入ってくる」


《なんかややこしくなってきた》


「正直言えばシュンには戦力として期待しとらん。数合わせに付き合ってもらっとるだけや。ただ……一点のEクラスやのに【火炎無効】があるのはありがたい、わいのチームに入って平均点数さげてもらうで。もう二連敗しとる。三連敗だけは絶対に阻止しなあかん」


《三連敗するとどうなるんだ?》


「バトルゲームは言ってみれば土地取りゲームです。魔王様達は契約書にバトルウォーで三連敗した場合全ての土地を譲渡すると制約したみたいですね」


《つまり、今回負けると炎魔王はゲームから脱落してしまうと?》


アポロスが苦虫を噛んだ様な顔をして頷く。


「そういうことや」


なるほど、やっぱり逃げ出す事はできないか……皆ごめん、俺今日逝きます。

 

俺の不安を読み取ったんだろうアポロスが陽気にいう。


「心配せんでええ、シュンはわいが守るさかい。大船に乗った気でおればええんや」


からからと笑うアポロス……まさか炎魔王の息子だったなんて。


「まあ他にも勝利条件やカードの種類や使い方なんぞ色々ルールはあるが、今回シュンはわいにつかまってくれてたらええ」


三人が戦闘フィールドに向かって歩いていると、一人の少女がこちらに歩いてきた。


見覚えがある。彼女は、フレイア・ゴルドワ。炎魔王の娘、アポロスの妹だ。


「兄さん、その子犬が最後の一匹?」


あれ?……なんと言うか。殺気みたいな物がにじみ出ているような?【第六感】が発動している……なぜ?


すっとミザリーさんが後ろに回り、まるで逃亡を阻止するかのような位置取りをする。


「ああ、そうや、シュンっていうんや、わいのおっぱ……飲み友達や」


そう聞いてなるほどーとにこやかに笑う。表面上は……


「ねえ兄さん。その子犬と昨日酒場で大騒ぎシタンダヨネ?」


言葉尻が硬くなっていくフレイア。


「おう、そうや、昨日シュンが熱く語った事で酒場のやつらと宴会になってな?久々に旨い酒やったで」


目の前にいる少女の口角がにゅいーとつり上がっていく……


「私が今日の朝都市の市場にいったときに、十歳ぐらいの男の子と女の子になんて言われたか分かる?」


瞳が剣呑な雰囲気を宿しだす。


「なっなんて言われたんや?」


さすがに様子が変だとアポロスも気づいた。


「ふっふふふ、ふふふふふふ。ぷっぷるるんおっぱいって言われたのよ……なんどもなんども……ぷるるんおっぱいって! 指を指されて! 私の戦闘者プロフィールの二つ名欄に! ぷるるんおっぱい姫ってのってんのよおおおおおお!!」


ゴウッと全身から炎を迸らせる。顔は笑っているのに、俺には別のビジョンが見える。


目から光が迸り、髪はゆらゆらと上に逆立って、口からは白い蒸気を噴出している姿が!


ゴキキッ、ゴキキッと指の骨を鳴らし近づいてくる恐怖の塊。


「そっその子犬よね?わっ私のことをぷっぷるるんおっぱいなんて言ったゴミ屑はっ!!」


きゃああああああああったすけてーーーーー!!!


俺は逃げ出したいのに恐怖で体がすくみ動けない。


「まっまてまてまて、今から試合やで?今シュンを殺したらわいらの不戦敗になるんや。だから落ち着け、なっなっ?」


汗をびっしりと顔に浮き上がらせ、アポロスが説得をする。


「そうね……それだけは避けなきゃいけないわね……ゲーム後に話をつけましょうね?兄さんもドウザイダカラネ?」


《「ひぃぃぃぃぃ」》


そう言ってくるりと反転して歩きさっていくフレイア。少し離れていたミザリーさんがボソリと呟く。


「自業自得です」


炎魔王の娘、フレイア・ゴルドワにロックオンされた。



        ◆ ◆ ◆ ◆



氷結の魔女、魔王レイファーの控え室。


一人の部下がレイファーに報告をする。


「そう……その念話を使う子犬が広めたのね?」


レイファーがそう呟くと、ビキビキと部屋が全て凍りだす。椅子も、テーブルも、床や部下さえすべてが氷の彫像と化す。


「ヘルハウンドの子犬……見つけたら生きていた事を後悔させてあげるわ」


表情は変わっていない。しかし、目を合わせただけでも凍りつくような、氷雪のような怒気を身に纏っていた。


シュンは魔王レイファーにもロックオンされていた。

主人公はおっぱいソムリエの名声を手に入れる代わりに、死亡フラグが立ってしまったのでした。

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