剣と魔法
正直、今僕は退屈している。はじめの頃は新しいこととかを見ていて「うわー、面白いなー」と、思っていたが…、今は退屈である。
目の保養になる妹がいてもだ。まずアクションがない。なにもない。食べ物もいつもあんまり変わらないし、親は妹にデレデレ。
することがねぇ。
超世界ってもんだからもっと何かないものか…。
自分の名前はティーナ・マルテリアと言うらしい。正直慣れない。名乗ることはないがティーナと呼ばれてもたまに反応が遅れる。
「ティーナ!ちょっと来て~!」
「…」
「ティーナ?」
(やべっ…)
急いで母親のもとに向かう。
「ちょっとこれラーティのとこに持っていってくれる?お兄ちゃんでしょ。」
パシリかよ…。
キュウリのようなご飯を妹のもとに持っていく。この世界に来てから始めてのパシリ。パシリデビューである。
母親は僕がすこし大人びてるからって利用してくる。精神年齢高校一年ではあるが。
それからつまらない日々が三年続いた。もう四歳。
言葉もある程度話せるようになってきた。体も十分に動かせる。今日は二階に行ってみようか。前回は階段を上ろうとして落ちかけたからな。
一段一段丁寧に上がっていく。
二階には部屋が三つあった。一つの部屋の扉が開いている。
(入るか…。)
ギギィ、と扉が開く音。
中には本と服。使わなくなった家具などが置きっぱなしだった。埃が被っている。
「ちょっと読んでみるか。」
それから本を手に取り埃を手で払い開く。
「魔法…?」
そこには魔方陣の図や魔法の種類、魔法発動の仕方などなど。
「…すっげ。」
正直興奮した。
それから魔導書を読み漁った。新しいことにすこしワクワクしてしまったのだ。そしてすこし面白そうなものを見つけた。
「低級風系統魔術?」
低級か、僕でもできるかな。
「風斬!」
なにもでない。風の一つも起こらない。
(まぁ最初からそう上手く行く訳じゃない。)
まだ四歳だしな。大丈夫、焦ることはない。その時、後ろから声がした。
「おにいちゃんなにやってるの?」
「おう、ラーティか。」
「その本なに?」
興味があるらしい。良いことだ。たくさんのことに挑戦してほしい。
「これは魔導書ってやつだよ。魔法の使い方とか書いてある本。」
「私も使える?」
「やってみるか?たぶん無理だけど。」
兄貴の僕で無理だったんだから妹のラーティには出来やしないさ。
これで一発成功とかされたらショックなんだが。
「どうやってやるの?」
「風を飛ばすイメージをして風斬って言うらしい。そう書いてある。」
「わかった!風斬!」
その瞬間、二階の壁が斬れた。えぐられたように。
「嘘だろ…」
「おにいちゃんできた!」
はしゃぐ妹を横目に壁の断面を見る。したから母親が駆けてきた。
「なにやってるの?!」
「か、母さん…」
「ティーナ?!ティーナがやったの?!」
「違うよ母さん!僕じゃなくてラーティが!」
「ラーティ?それ本当?」
首を縦にブンブン振る。
「もう魔導書は没収です!」
「そんなぁ。」
ラーティは酷く悲しそうな顔をしたが許してはもらえなかった。
それから三日。ラーティはふてくされてすこしいじけていたがすぐに復活してくれた。
そういえば魔法があるなら剣術もあるのでは?純粋なる疑問。おそらく僕には魔法の才能がない。なら、せめて剣術だけでも。
夕食時、父親に聞いてみることにした。
「父さん。」
「なんだ?」
今さらだがどう聞こう。ド直球に剣術ってありますか?と聞いてみるか。いや、なんか不自然な気がするな。なら、魔術の話から連鎖させるように聞いてみようか。
「父さんは魔術って使えますか?」
「急だなぁ。父さんはあんまり詳しくないんだよ。魔法とか魔術の類いってのは。剣術なら得意なんだけどなぁ。」
「剣術?!」
「ん?なんだ?興味あるのか?」
「ある!」
テンションが上がった。魔術がない僕にとっては朗報。それから僕は剣術を極めることにした。




