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魔王様 放置される。

この世界には基本的なスライム(青くてぽよんとしている大きな目と口がチャーミングな最下層モンスター)を中心に、様々な亜種が存在している。


例えば色違いでは、草原に住むグラススライムや砂地に住むサンドスライム等。

変質系では、体液が酸で出来ているアシッドスライムや、表皮ながくべとべとしているジェリースライム等。

金属系では、メタルスライムやミスリスライム等が存在し、スライムの最高峰がこの金属系のオリハスライムである。


現在の水辺周辺ではアシッドスライムやグラススライムが存在している。


アシッドスライムは体液が酸性のため、"剣が錆びる"という理由で嫌われる性質を持つ。

だが、塩の素ソルトボールというアイテムをぶつけると、水と塩を落として簡単に倒せると主婦の皆さんには人気が高い。


グラススライムは性質や強さは普通のスライムとまったく違いが無い。

違うのは体色が緑色というだけだ。




「さて、どちらにする?」


ククリは2種のスライムを両手で掴み、ぽちに突きつけている。


先ほどご褒美おしおきに、切り殺され、焼き殺され、おしつぶされ、溺死し、3枚におろされた時点でアシッドスライムになった際、


「街中で塩の素を使われたら、死ぬでは無いかっ!!」


と抗議した結果、調味料アシッドスライム座布団グラススライム好きな方を選べ。となったのである。


「う・・・むむむ・・・」

(安全性で言えばグラススライムなのだが、また殺されると言う事ではないか!!

 最近手の込んだ殺し方になってきて、精神がゴリゴリ磨り減っておるからな・・・

 発狂するようなひ弱な精神は持っておらぬが、痛いものは痛いのだし・・・

 結局、紫結晶も取り上げられて魔力を回復できておらぬからな・・・

 うむむむぅ・・・ここは塩の素が怖いが、アシッドスライムなら、もう一度殺されなくてすむはずだ!!!!)


「よし!!」

「遅い。」


スパッ


ククリが指先から発した魔法により、ぽちの体は真っ二つに切り裂かれる。

ぽちが消滅した所に残っていた、黒い結晶とドロップアイテムである、塩(スライムの表皮に覆われて汚れてはいない。)を拾い・・・少し考え事をする。

そして、"ポケット"へ黒結晶と塩を入れると、茂みの方へ細い針のようなものを投げた。


「モモ、水浴びをする。

 お前も来るか?」


ハウンドドックへ問いかけると、ハウンドドック―モモはククリの横について水辺へ歩いていく。


「"浄化"でも清潔に保てるが、やはり水を浴びると気持ちが良いからな。」


モモへ語りかけながら、フードつきの緑のローブ。赤茶けたなめし皮の鎧。男性用の上着とズボン。女性用のブラとショーツを脱ぐと、"浄化"の魔法を使って綺麗にし、"ポケット"へと突っ込む。


"ポケット"を上空へ放り投げると、モモが素早く口の中へ収納する。

(収納と言っても、口の中の頬袋へ入れておくだけだが。)


その肌は透き通るほど白く、曲線を描く肢体は女神のように神々しい。

おしむべきは、控えめすぎるうすい胸部だが、小さくかわいらしいヒップラインとは素晴らしく均整が取れている。

肩まである緑髪を無造作に縛った紐を解くと、「やっと自由になった。」とばかりに飛び出す先のとがった耳。


その姿は美しく、夕日に彩られた女神のようなた佇まいは紛れも無く"美少女"である。

ここまで書けば判るとおり、ククリは青年でなく、美少女だったのだ!!!!!!!!



・・・・・・・・・・・・・あ、判ってました?


ククリはモモと一緒に水の中へ入っていくと、身体を伸ばし水面に浮き上がる。


「久しぶりの水浴びだ。

 お前も気持ち良いか?」


ククリの横でばしゃばしゃと泳いでいたモモも気持ち良さそうに目を細める。


「そうか、気持ち良いか。

 良かったな。」


青年の格好の時には浮かべる事の無かった柔らかな微笑を浮かべる。

その微笑みはとても美しく、一目見るだけで恋に落ちるには十分な破壊力を持っていた。





1人と1匹は十分に水浴びを堪能し、水辺へ上がろうとした時そいつ等は現れた。


「フヘヘ、人の気配がすると思ってきてみれば、極上級の美女じゃねぇかよ。」


「兄貴、しかもあの耳、ありゃエルフかハーフエルフですぜ!!」


「マジかよ!?出す所に出しゃ2億は値がつくぜ!!

 おう、おめぇら!!今日は良い稼ぎになりそうだ。」


「「「「「ぎゃはははははははははは」」」」」


ご存知の通り、ただのざこ・・・じゃなかった。

この辺りを根城とする盗賊集団【百舌のハヤニエ】。

まさしくククリの為の餌・・・である。


首領格の男を中心に、盗賊たちが15人水辺周辺を囲むように立っていた。


「グルルルルルルルゥ」


モモが先に水辺に上がり、威嚇をする。

その後ろに身を隠すようにククリも水辺から上がる。


「"ポケット"は後生大事に持ち歩いてるみたいだが、下手に動きゃ大事なハンドドックがお亡くなりになるぜ?」


「「「「「ぎゃはははははははは」」」」」


「兄貴、あのハウンドドックも見た事無い極上の品ですぜ。」


「お?良く見りゃ、普通のハウンドドックと違う気がするな・・・珍しけりゃ高く売れそうだな。」


「「「「「ぎゃはははははははは」」」」」


「アニキィ味見はしてもイイッすか?」


「馬鹿やろう、初モノだったら価値は倍だ!!確認するまでお預けに決まってる!!」


失礼な発言をした部下を殴りつける首領格の男。


「良いか?傷つけず取り押さえるんだ。

 嬢ちゃんも命が惜しけりゃ、そのハウンドドックをを大人しくさせて捕まりな。

 大丈夫、嬢ちゃんだったら良いところに買われるからよ。」


ククリはモモの頭を撫でて大人しくさせる。


「お?いさぎ良いねぇ。

 そうこなくちゃな。おい、縛っておけ。」


モモを大人しくさせた事が投降の意思と取った首領格の男は部下に命じると、ククリに近づいてくる。


「それ以上近づくな。下水臭い。

 汚物は汚物らしく、有り金置いて帰れば許してやる。

 だが、それ以上近づくなら容赦しないぞ?」


汚物発言に激怒した首領格の男はシミターを構え突進してくる。


「なめたこと言ってんじゃねぇぞ、このアマー!!」


「ったく、変なのがいるから、穏便に済ましてやろうと思っていたのに・・・」


どう考えても喧嘩売ってましたよね?


盗賊たちがククリへ殺到しようとした時、後ろの茂みから黒い影が現れ、


「待てっ!!」と叫んだ。


だが、ククリはまったく気にせず、指を回して魔法を発動させる。


"ブラインド"(自分の認識する相手全ての視界を奪う魔法。)


「なっ・・・なんだっ!?何も見えない!!

 クソッ・・・盗賊どもめ、まさか視界を奪う魔法を使ってくるとはっ!!

 お嬢さん、待っててくださいっ!!

 すぐにこいつらを倒します!!」


茂みから飛び出した黒い影は、意味不明なことを喚きながら魔法の詠唱を行う。


「クソッ!!何しやがったっ!?見えねぇ!?

 おう、おめぇら下手に武器を振り回すな!!

 同士討ちになるぞ!!」


盗賊たちは地面にしゃがみ込み、耳を澄ませながら声のするほう―先ほどの黒い影へ向けて進んでいく。


ククリは指を振って対魔対物の障壁を張ると、ゆうゆうとポケットをモモの口内から取り出し、"浄化"を使って自分とモモの水分を飛ばした。

"ポケット"からブラとショーツ、そしていつもの男性服ではなく、赤いワンピースを取り出すと身につけた。


「"クリア"・・・よし、視界が戻った!!

 お嬢さん大丈夫ですか!!・・・・あれ?服を着てる?

 あれ・・・着てたっけ??

 いやいや、そんな事は関係ない!!

 お嬢さん、俺がこいつらを倒すので安心して見ていてください!!」


黒い影はそれだけ言うと、盗賊たちに向き直った。


「覗きが何を言うかと思えば・・・」


ククリの呟きに、黒い影の男が慌てだす。


「それはっ・・・

 誤解ですっ!!偶然見てしまって、直ぐに引き返そうとしたのですが、その美しさに見とれてしまって・・・」


「じろじろと見ていたと?」


「はい!!

 あ・・・いや・・・誤解なんですっ!!」


誤解もろっかいも無く、覗きは性犯罪。


「とにかく、ここは勇者カケルを信じてください!!」


どうやらこの覗き犯は前回ぽちと交友を深めた勇者だったらしい。

勇者が覗きとは・・・・・・まぁ勇者なら良くある事か。


「まぁ良い。

 とりあえずそいつら片付けとけ。」


「ハイッ!!」


そして勇者vs盲目の盗賊たちの戦いが始まった。



今回の死亡回数・・・前回約束分の5回+1回(というか、出番がない気がする。)

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