魔王様 友情を育む?
「さぁ、ぽちちゃん!!
お姉さんと契約しようね~。
大丈夫、最初は怖いかもしれないけど、すぐに良くなるからね~。」
「ぽち様!!さぁ!!早く!!
私の身体を求めてきてくださいっ!!」
この2人はどこにたどり着くのだろうか・・・
「あのさ・・・」
「うん・・・色々と申し訳ない。」
カケルはぽちから目を逸らしつつ、答える。
「どうすれば元に戻るんだ?」
「あぁ、それは簡単だよ。
ちょっと待っててね。」
そう言うとカケルはまずアンナに近づき。
「アンナ、君がレア種にこだわるのは判るけど、もっとレアな勇者という存在が目の前に居るじゃないか。
僕は君とシーナだけのものさ、だからこんな魔物程度に心奪われるのはお止め。」
「(ぽっ)か・・・カケル様っ、こんな所で何を言い出すのですか!?
でもでも、確かに勇者はレア中のレアよね・・・
レア度で言うなら勇者の方が・・・
黒くてしゃべるスライムもレアだけど、そっちにうつつを抜かしてシーナにカケル様をとられては・・・
ぶつぶつぶつぶつ・・・・・・」
「これでアンナは良しっと。
次はシーナだな。」
「シーナ、神の僕である君が魔の崇拝者である魔物に懸想なんてしちゃ駄目だよ!!
その点僕なら神に認められた物、勇者だからねっ!!
勇者である僕は君とアンナだけのものだ。
君も聖職者なら、勇者である僕にその想いをぶつけてくるんだっ!!」
「はっ・・・・
そうでした・・・・
私は神の僕・・・・
神の僕たる私が魔物なんかに心奪われるとは・・・・
なんたる魔力だったのでしょう!!
まさかこの私が誘惑されてしまうとはっ!!
申し訳ございませんカケル様、そして諭してくださってありがとうございます。
こんな黒くて薄汚く、人語を解するような悪魔に誘惑されてしまった私をお許しください!!
そもそもカケル様がシーナと一緒にじゃなく私だけを見ていてくだされば・・・ぶつぶつぶつ」
2人ともぶつぶつと呟きながら時折カケルをチラッと見てはまたぶつぶつと呟いている。
カケルはドヤ顔でぽちへ振り返った
「うん、2人とも後10分もすれば元に戻るよ♪」
「助けて貰っておいてなんだが・・・・おぬしも大概だな・・・」
訂正、この一行は3人とも変人だった。
あまりにも騒ぎ過ぎていたからか、ククリがうっすらと目を開ける。
「五月蝿い、黙れ。」
それだけ言うと目を閉じた。
・・・が、ぽちはその言葉の中に含まれていた殺気に気付いてしまった。
黒い身体が青くなって、がたがたと震えだす。
だが、変人達・・・もとい勇者パーティーの女性2人はその言葉に激昂する。
「何コイツッ!!
私を誰だと思っているのよっ!!
・・・ぜっっっっったい起こす!!」
「そうですよ!!
このお方を誰と心得るのですかっ!!
魔王との戦いをも退ける程の勇者様なのですよっ!!」
実際、彼女達は魔王との戦いで覇気に当てられただけで気絶した為、勇者と魔王の戦いを見ていなかったのだが・・・彼女達は勇者が魔王を退けたものと思い込んでいた。
だが、そんなことよりもぽちが思った事は、
(あ、こいつら詰んだな・・・)だ。
だが、ここで颯爽とかの勇者君が活躍する。
「2人とも落ち着いてっ!!
ほらっアンナ、そんなに怒ってちゃ美人が台無しだぞ♪
シーナも、敬虔なる神の僕たる君が旅人さんに迷惑をかけるものではないよ♪」
「そっ・・・そうねっ、私としたことが・・・(ぽっ)」
「そうですね、全ては神のお導き・・・カケル様の言う通り、許さなければ・・・(ぽっ)」
勇者のみが持つ事の出来る不思議パワー、モテオーラで2人はまたもやもじもじし始めた。
「すまなかったね、スライム君。
でも2人も君の事を本当に気に入っての事なんだ、許してもらえないかい?」
勇者君のステキスマイルに、ついぽちも頬を紅く染める。
「あ・・・あぁ、マスターを起こさないなら別に良い・・・」
勇者のモテパワーおそるべしっ!!
(わっ・・・我は何故頬を染めておるのだっ!?
これが勇者の力というのか・・・今だ覚醒しないでこの状態・・・覚醒したらどれだけの人間を誑し込めるんだろうかっ!!!!)
どうでも良いが、勇者の力として何か間違っている気がする。
「これだけ強力な結界、どんな術者か気になってきてみたけど、疲れて休んでいるんじゃ邪魔できないよね。」
「そうですよ!!こんな無礼な奴、仲間になんて考えなくて良いんです!!」
「そうですね・・・ぽち様とご一緒できないのは残念ですが、お休みのご様子ですし・・・」
(しまったぁぁぁぁ、こいつらを呼び込んだのは我の結界のせいかっ!?)
今更気付いた所で、ククリからの極刑は既に確定済みです。
ずっと寝た振りをしていたハウンドドックも、ぽちが気づいた事にため息を漏らしている。
「お詫びに"これ"置いていくから、後で足しにでもして。」
目の前に置かれたのは紫の結晶。
それなりに力のある魔族の結晶である。
「これはっ!?」
「うん、やっぱり判ったみたいだね。
さすがに人語を解するだけあって、知識も人並み以上みたいだ。
そう、これは魔結晶だよ。
あぁ、安心して良いよ?
僕の力で浄化したから純粋な結晶にになっている。
間違いなく、君の力になるはずだよ。
処分したばかりだったから1個しかなくて申し訳ないけどね。」
それはぽちが喉から手が出るほど欲しかった物だ。
復活で失った魔力を回復させ、最終的には魔王に舞い戻る為にも!!
※ククリが魔力を補充し、すでに魔王の時よりも魔力が強大になっていることを知りません。
「良いのか!?」
「うん、マスターに後で起こられちゃうだろうから・・・
罪滅ぼしもかねてね。」
「カケルよっ!!
我の生涯の友として礼を言おう!!」
「ははっ、僕も君みたいな楽しい人?と友達になれて嬉しいよ。」
こうして魔王と勇者の友情が成立した!!(お互いに知らなかったり、忘れてたりするが。)
「我は人の顔を忘れやすいが、お主ら3人のことは決して忘れぬ事を誓おう!!」
「こっちこそ君の事は忘れようとしても忘れ無そうだよ♪また会おうねぽち君。」
「我の名は!!
・・・・・・・・・・・・・ぽちである!!
(くぅぅぅぅ、バクアと名乗りたいがこの姿で北の魔王などと名乗れる訳が無かろう・・・・)」
名乗らなくて正解だと思います。
2人はがっちりと握手を交わし(カケルがぽちの頭に手を置くだけだが。)アンナとシーナをつれて去っていった。
「ぽちく~ん、今度こそペットになってね~。」
「ぽちさま・・・はぁはぁはぁ・・・はっ、いけないいけない。」
2人はどうやらぽちの事を諦める気が無いような・・・まぁ、それはまた別のお話。
3人が去るのを見届けると、ぽちは感慨深げに
「ふぅ、楽しい客人だった。
良いものも貰ったし、早速取り込もう・・・とぉっ!?」
ぽちが早速、結晶を取り込もうとすると目の前に手が現れて結晶を奪い去る。
奪い去った手の持ち主は、いわずとがなククリである。
「言ってなかったな。
ああいう手合いが発生するから、結界は張らない事にしている。」
「・・・はい!!」
結晶を奪われた事に躊躇いは覚えるが、いかにして殺される回数を減らすか・・・だ。
「とは言え、俺の名前を出さなかった事。
穏便に追い返した事は褒めてやろう。」
「ありがとうございますっ!!」
「マスターと言う呼び方なら俺の名前を出す事も無いし、お前も呼びやすそうだ。
今後はマスターという呼称は許してやろう。」
「あっ・・・ありがとうございますっ!!」
「ここら辺は・・・亜種だが、スライムが結構居るな。
3回で勘弁してやる。」
何が3回かは・・・まぁ、言わなくても分かる事だろう。
「ひぃっ・・・せっ・・・せめて1回でっ!!」
「断るっ。
というか抵抗したから5回で。」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ザシュ
今回の死亡回数・・・5回?




