↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/14

魔王様 ドヤ顔をする。

次の日の朝、ネグリジェからいつもの冒険者服に着替えたククリは、パンとサラダを食べている。

足元では、モモが干し肉を美味しそうに頬張っていた。


食べ終わり、"洗浄"で食器を洗った後は、歯磨きをして鏡の前で耳が隠れるよう慎重に髪を束ねる。

身だしなみをチェックした後は靴を履き、玄関から外へ出る。


「くぴゅ~、すぴゅるるるるる~」


そこでは、ぽちが風に揺られながら、気持ち良さそうに寝ていた。


「・・・・・・」


無言で紐を解く。


ひゅ~・・・ぽよんっ・・・ぽよんっぽよんっ、ころころころ


基本的にスライムは水風船のようなもので、衝撃にはかなりの耐性を持っている。


いつものぽちのように衝撃に耐える為、歯を食いしばったりすれば、体に力が入る為衝撃が通りやすくなるのだが・・・

ある意味、寝ていた事で命を永らえさせる事ができた。


「くぴゅ~、すぴゅるるるるる~

 ・・・んう・・・もう食えない・・・」


そのまま地面で寝続けるぽち。


ククリはその上まで歩いていくと、おもむろに"ポケット"から果物ナイフを取り出し、そのまま落とす。


サクッ


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ、目がっ・・・めがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


見事、ナイフが目に命中すると、ぽちは痛みに目を覚まし、某天空の城の大佐のセリフそのままに地面を転がった。


ククリはぽちを鷲づかみにして持ち上げると、「目がぁぁぁぁぁ」と騒ぎ続けているぽちのナイフを引き抜き、"キュア"をかけてやる。


「お・・・おぉ、マスターありがとう。

 一体何がプギュッ!?」


そして、ぽちのセリフ途中で握りつぶした。





ククリは新しいグラススライムに結晶を与えながら、"浄化"で飛び散った体液を落としていた。


「マスター!!

 いきなり朝から握りつぶすとは酷いです!!」


新しい身体を得たぽちはくくりに食って掛かる。


「朝の挨拶は違ったと思うが?」


「うっ、・・・おはようございます。」


律儀に朝の挨拶をし直す。


「うん、おはよう。」


「そして、何故朝から握りつぶされないとならないのでしょう?」


改めて質問をすると、ククリはさっくりと返事を返す。


「五月蝿かったからだ。」


「うるさっ!?・・・いやいや。ここで切れては駄目だ・・・切れては駄目だ・・・切れては駄目だ・・・」


なにやらぶつぶつと呟いている。

悟ったかのような顔になると、ククリに振り返り、


「今朝はいきなり目に激痛があって飛び起きてしまったのです。

 外で寝ていたのですし、鳥に目をつつかれたか、落ちて石か何かが目に刺さったのではないでしょうか?

 お騒がせして申し訳ありません。」


なんという大人な対応だろうか?

だが、ククリの口から飛び出した言葉に固まる事となる。


「ナイフだ。」


「は?」


「だから、刺さったのは石じゃなくナイフだ。」


「ナイフが・・・落ちていたのですか?」


「いや、刺した。」


ピキッと音を立ててぽちは固まるが、直ぐに何とか立て直すと、


「・・・・・・・聞き間違えでしょうか?

 マスターが刺したと聞こえたのですが?」


その問いに、ククリは悪びれもせず、


「ああ、気持ち良さそうに寝ていて、ムカッと来たからな。」


バタンッ


ククリの返答にぽちはひっくり返る。


「・・・・・・・・・

 しくしくしく・・・もうやだ・・・こんな生活・・・」


魔王としてのプライドは既になく、地面に寝そべって泣き続けるスライムがそこに居た。



「さて、準備をして出る。

 今日中には着きたいからな。」


ぽちが泣き止むまで、少々待っていたククリは、ぽちが気持ちを立て直した後、そう宣言した。


ククリは空中で指を回すと、家が小さくなっていく。

縮小魔法"ミニマム"だ。


「便利な魔法だ・・・

 マスター、いつか教えて貰えないでしょうか?」


「ふむ・・・」


ククリは家を"ポケット"にしまいながらぽちのほうを見る。


「そのナリで魔法が使えるのか?」


その問いに、ぽちはドヤ顔で答える。


「ふっふっふ、見ててください!!」


自信満々に答えると、


「いけっ、水よ!!"ウォーターカッター"」


ぽちのおしっこが近くに在った木を切り倒す。


「食らえっ"ストーンキャノン"」


ぽちのう○ちが木に穴を開ける。


「ラストっ!!"ウインドストーム"」


ぽちのおな○が斬られ、穴をあけられた大木を舞い上げる。


そして渾身のドヤ顔でくくりに向き直り、


「いかがですかっ!!」


「下品。」


サクッ


「あっ・・・」


投げナイフがぽちの眉間に刺さると、集中が切れたのか、ウィンドストームがキャンセルされ、空に浮いていた大木がぽちに向かって落ちてくる。


「ぎゃぁぁっぁあっぁぁあぁぁぁ」


ドォンッ


哀れぽちは大木に押しつぶされ、周辺に体液を撒き散らした。




「そろそろグラススライムが周りにいなくなってきたな。」


そりゃ、あれだけ魔法を使えば近くのスライムは逃げるかと・・・

ククリは気配を頼りに、グラススライムを見つけると結晶を与えた。


「ぽち、あまり死ぬなよ。ここはグラススライムが少ない。」


「殺してるのはマスターじゃないですかっ!!」


最早ぽちは投げやりだが、ククリは更に上を行く。


「気にするな。」


「うぅぅ・・・はい。」


「さて、そろそろ行くか。」


モモを呼び寄せ、その上にぽちを乗せ、寄りかかるようにククリが寝そべる。


「やはり、このポジションは固定なんですね・・・」


ぽちはククリの為すがままにされる。


「あぁ、思ったより快適だったからな。」


「それは光栄です・・・」


喜んでいるはずのセリフは、涙声だった。


「昨日は寄り道も多く、時間が掛かったからな。

 皇龍山には今日にでも着きたい。

 それに・・・やってみたい事もできたからな。」


ククリの言葉にぽちは言葉を返す。


「そう言えば、マスターは何をしに皇龍山へ向かうのですか?

 マスターの実力なら皇龍山の龍種にも敵うとは思いますが・・・」


それに対してククリの返答は、


「言う必要があるのか?」


だけである。

実際にはこの性格でいろいろな所から恨みを買っているククリだが、信者の数は更に多い。


「出来れば教えていただけると・・・そのぅ、心構えと言いますか・・・」


しどろもどろに言い訳するぽちへ、ククリはニヤリと笑いながら答える。


「別に良いぞ、教えてやろう。」


「あっ・・・ありがとうございます。」


「お前の見世物小屋を作りにだ。」


「・・・・・・え?」


その答えにぽちは全ての動きが止まった。


「世にも珍しい、スライムになった魔王だ。

 龍種には面白い余興になるだろうさ。」


「くくくくくくくくく・・・ククリ様っ!!

 そそそそそそそそ、それだけはご勘弁をっっっっっ!!」


体色がが黒から青へ、青から土気色へ代わりつつ、がたがたと震えながらも懇願する。

もたれかかっていたククリへとその震えは振動となって伝わる。


「く・・・くっくっく、あははははは。

 安心しろ、嘘だ。

 そこまで怯えるな。」


「はっ・・・はぁぁっぁあぁぁぁぁぁっぁ!?」


その答えに、驚きともため息ともつかない返事を漏らす。


「ただの商売だ。

 そこまで怯える必要も無いぞ。

 龍種は下手な人間よりも紳士的だからな。」


「は・・・・ははは・・・あははははは、それも嘘で?」


一応、見世物にされない。と言う事で安心できたが、ぽちの知っているククリは冒険者である。

何を商売にいくのだろう?これもまた嘘だろう。と思った。


「いや、本当だ。

 冒険者は副業で、メインは万屋だからな。」


「えええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!!!?!?!?!?!?」


疾走するモモの背中では、今までで最大級の叫びが響き渡った。


余談ではあるが、あまりに五月蝿かった為、ぽちは縄しっぽの刑(縄でぐるぐる巻きにされ、疾走するモモの尻尾に繋がれる刑である。)となったのは言うまでも無い。


今回の死亡回数 2回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。