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【幕間】 お館様 闇に蠢く。

「駄目です!!

 追跡が途切れました!!」


「ばかなっ!!

 シノビの追跡を見破るとは・・・龍種ですら不可能な所業だぞ!?」


シノビの里と呼ばれる隠れ里の中、最も大きな屋敷の一室で2人の男が言いあっていた。

部屋の中はろうそくの明かりすらなく、真っ暗だが、話をする男達には障害にすらならない。


「ですが、サスケは目を潰され、代わりのものを派遣した時にはすでに痕跡一つ残らず・・・」


「ならば過去視が使える者を派遣すれば良いではないか!!」


「言った筈です!!

 全ての痕跡が残っていなかったと!!」


「馬鹿なっ!!

 過去視すら出来んとは・・・

 どう言う事だ!!」


「判りません!!

 ですが、土地の記憶からばっさりと切り取られていると過去視の者は言っております!!」


「土地の記憶・・・だと?」


「はい!!

 本当に僅かな違和感しか感じなかったので、何度も繰り返し行ったのですが、可能性としてそれしか考えられないと言っております。」


「本当に・・・何一つ手がかりを見つけることが・・・」


「出来ぬで済む事ではないのだぞ!!

 我らシノビは出来て当然。

 クライアントへ出来ないという報告を行う事は許されておらぬ!!」


「それは・・・」


「・・・・・・・・・仕方ない。

 今は少しでも情報を整理しなければ・・・


 サスケを呼べ。」


「お館様!?

 サスケはまだこの館へ入る許可は出ておりませぬ!!」


「かまわぬ!!

 緊急事態だ。


 今は少しでも・・・情報が欲しい。」


「・・・・・・・・・はっ。」




影が一つ去り、暫くすると新しい影が部屋の中へ現れる。




「お館様、こたびの失敗。真に申し訳無く「良い。」・・・はっ。」


「お主の"穏業"は里一番。

 ワシでも敵うまい。

 さらにお主には油断という言葉が最も遠い男。


 一体何があったか全て話してくれないだろうか?」


「はっ・・・・

 今にして思えば、最初から全て気付かれていたかと思います。」


「最初からか・・・」


「お恥ずかしながら・・・」


「そうか・・・

 目を潰された時の状況はどうだった?」


「・・・はっ。

 途中までの報告は目を通し、お館様へも伝わっていると思います。」


「うむ、ほんとうの直前だけで良い。

 あとは気になった所があればその点もな。」


「はっ。

 あの時、アシッドスライムへとなった北の魔王を結晶化したと思ったときのことです。


 何時、何を投げたのかすら判らないうちに目に痛みを覚え、そのまま意識が途切れました。

 気がつくと、辺りは既に暗くなっており、頭領から呼び戻しの連絡が・・・


 ですが、それまではかの者が私に気付くそぶりも、視線を置くことをたった一度もせずに・・・でした。

 そこから考えられるのが、最初から気付き、敢えて泳がせていたのではないか・・・と言う事です。」


「そうか・・・

 目の痛みはどうだ?」


「今はなんともありません。

 何故あの時、痛みを受けたのか?

 何故意識を持っていかれたのか・・・未だに判りませぬ。」


「ならば良い。

 かの者で映像以外から把握できる情報に心当たりはあるか?」


「はっ。

 姿は見ていただいてお判りかと思います。


 男装の女性でハーフエルフ。

 かなりしつけには厳しく、やさしい一面も併せ持っておるように受けました。

 目的地は・・・確か皇龍山・・・と。」


「今の話・・・本当だな?」


「えっ?・・・あっ、ははっ、その通りでございます。」


一瞬・・・ほんの一瞬だけだが、お館と呼ばれた男の声が震えた気がしたサスケである。


「ご苦労・・・下がって良い。目を大事にせよ。」


「はっ、ありがとうございます。」




そして再び、部屋の中の影は一つになった。




「ふぅ・・・やな予感がすると思っておったが・・・

 やはり、ククリ様だったか。


 これは困った・・・

 後で侘びにククリ様の好きな羊羹でも包まないとならないな。

 

 ついでにどれだけ情報を売ってもいいのか確認しないとな。


 ふぅ・・・


 サスケにも悪い事をさせちまったな。

 ククリ様が相手じゃ、そりゃサスケでも役にはたたねぇ。


 今回の件はサスケに落ち度は全く無かったといっておかなきゃなんねぇな。


 ・・・・・・よしっ。」


ぶつぶつと呟くのを辞めると、今度は館中の響く声で怒鳴る。


「おうい!!

 皆のもの聞こえるか?

 よろず屋へ行くこととする。


 最高級の羊羹と土産を用意しろ!!


 あ、あとナッツの詰め合わせも忘れずにな。」


その言葉に何所にいたのか館中から人が湧き出てくると、上に下にの大騒ぎへと発展して行った。


「っかぁ~~~、西の魔王様もろくでもねぇ依頼をよこしたもんだ。

 こりゃ、相当弾んでもらわねぇと割にあわねぇな。」


それだけを呟くと、部屋の中に残っていたもう1つの影も消える。


そして、その部屋には誰もいなくなった。

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