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魔王様 3魔将を語る。

「さて、聞かせてもらおうか?」


家の中はそれほど大きくない。

1DKで縦に長く、入って直ぐに玄関とキッチン。

10畳ほどのダイニングが広がり、奥に6畳の寝室とトイレとシャワールームが付いている。

アパートの一室を思い浮かべて貰えば判るだろうか?


ダイニングにおいてあるソファに座り、果物を剥きながらククリはぽちへ尋問・・・もとい質問を始めた。


今までなら「何を?」とか、「詳しく言え。」と言って斬られていたのだが、たった一日でたいした成長ぶりだ。

都合22回殺されたのは伊達ではない。

・・・だが、少しつまらない。


「何に関して話せばいいの・・・ですか。」


「そうだな、まずは核について聞かせてもらおうか。」


「結晶体・・・ですね。

 そう言えばマスターはハーフエルフなのに知らなかった・・・ですね。」


トスッ


ぽちとしては当然の疑問だったが、ぽちの目の前にナイフが突き刺さる。

目の前3ミリの所に刃がきらめいている。

あと数ミリずれていたら・・・面白かったのだが。


「すまん、手が滑った。」


それだけ言うと、ナイフを引き抜きソファへ座りなおした。


「御託は良い。聞かれた事にだけ答えろ。」


間違いなく狙って投げられている。

ククリがそんなミスをする訳が無い。

次は無い・・・とぽちは考えていたに違いない。


体色が真っ青になっている。


「は・・・はいっ!!

 結晶は人間にとっての魂のようなものです!!

 人間は死後、直ぐに輪廻の輪に組み込まれ、転生や神の国へ向かう事になりますが、魔族はそうなりません。


 魔族の魂は、消滅か復活しかありません。

 魔族は死後、結晶体にそれまでの情報と思念。その他もろもろを封じ込まれ、そのまま時を過ごす事になります。

 結晶体は、より強いものに吸収され意思が消滅するか、勇者のように"浄化"する者の手で意思を抹消されるかすることで魔族にとっての死が訪れます。


 ・・・おそらくマスターの結晶斬りも、消滅する事になると思いますが・・・

 全ての情報が凝縮されるため、そのエネルギーは強く、並みの者では破壊する事など・・・出来ないはず・・・何ですけどね?」


ここまで聞いたところで、ククリが口を挟む。


「ふむ、より強いものには吸収される。か・・・

 それだと俺をのっとろうとしたのは何故だ?」


「あれは・・・元々乗っ取れると思ってませんでした。

 魔力の底も見えなかったし、万が一に賭ける・・・みたいな?


 目が覚めたときは、イケた!?と狂喜したものなんですが・・・」


ぽちの答えがお気に召したのか、ソファの上でククリが笑い始める。


「ぷっ・・・あはっはっはっは。

 自分の存在を賭けるとは。

 じゃぁ、あの時の言葉は本当だったのか?」


「はい。

 吸収されると、意識は消えるのですが、それまでの記憶や経験が知識として取り込まれるのです。

 なので、私の意識が消え、記憶や経験を吸収すれば魔王として生きることになっていたと思います。」


「それで賭けに勝ったと思ったらスライムだった訳か?可愛そうだな。」


ククリは笑いながら、ぽちの目の前に木の皿に入れた果物を投げてよこす。


「(ぼそ)元凶が何を・・・」


シュッ・・・サクッ


「何か言ったか?」


ついでにナイフも投げてよこし、ぽちの身体6分の1を削り取った。


「いいえっ!!何もっ!!」


ぽちは痛みに脂汗を流しているが、ククリはまったく気にしない。


「そうか、なら続きだ。」


「あの・・・その前に・・・」


「何だ?あぁ大丈夫だ、その程度ならまだ死なない。」


ククリはにっこりと返す。


「・・・・・・はい。

 先ほど話した様に、強いものには吸収されるのですが、例外もあります。」


気丈にも、脂汗は流しつつ説明を続けるぽち。


「それは相手が死亡し、肉体が結晶化する前に別の結晶を埋め込む事です。

 すると、埋め込んだ結晶に宿っていた意識が肉体を支配する事ができます。」


ククリは興味深そうに、


「なるほど、死亡した瞬間と言うのは無防備になるか。

 その間に意識を割り込ませて・・・面白い事を考えるな。」


「ええ・・・ただし!!

 自分よりも強い者の体なので、魂が肉体に引っ張られる事があります。」


「引っ張られる?」


「性格がゆがむ可能性です。

 意思や思考に変化を見ることはできないのですが、それまで好戦的だった者が引き篭りになったり、力を求めていたものが怠惰になるのを見たことがあります。

 聞いた話では、穏やかだった者が人を害するようになったとの事例も・・・」


ぽちの話を聞くと、ククリは眉をひそめ、


「それは本来の力で無いとやる気を失ったり、力を得た為に破壊に悦びを持ってしまった。

 と言う事か?」


「あ・・・・おぉ。

 確かに考えてみれば・・・

 そうとも言えますね!!」


「ややこしいわっ!!」


ヒュンッ、サクッ


苛立ち紛れに投げたナイフは、先ほどとまったく逆側を6分の1ほどえぐって地面に突き刺さる。


「・・・痛い。」


「意思や思考が豹変するとかでは無いんだな?」


「そういった報告は聞いたことが・・・」


「ならいい。」


「・・・はい。」


ククリはナイフを拾いに来ると、ついでにぽちに【キュア】を掛けて行った。


「あっ・・・ありが「最後に3魔将について教えろ。」」


ぽちがお礼を言おうとするが、ククリにさえぎられる。

やるせない表情だが、しっかりと説明は行う。


「はい、3魔将は私が拾い、育てた子達です。

 赤い結晶が炎魔族のティナ。

 気性が荒く、気が短い子ですが、私に最も懐いてくれていました。

 成長し、一人前になった今も私の嫁になるとはばからない可愛い子でしてな。」


「自分好みに育てて嫁に?

 ・・・お前、最低だな。」


ククリの視線はかわいそうな人を見るそれになっている。


「違うわっ!!

 私にそんな気は無い・・・です。」


「まぁいい。次は?」


「そう言いながら距離をとるのは辞めて下さい・・・

 地味にくるんですが・・・

 ・・・はぁ。

 次に青い結晶です。

 こいつは氷魔族のファル。

 ティナと同い年の娘ですが、正反対の性格です。

 常に冷静に物事を進め、穏やかな性格をしています。

 性格の違いからか、ティナとは犬猿の仲でよく喧嘩をしては、もう1人の3魔将、ガンマになだめられてます。

 ガンマは政治向きで、よく私の代わりに国をまとめておりました。」


「それにしては、ティナを痛めつけた時、逆上して襲い掛かってきたが?」


ククリの言う事も最もだ。

3魔将は、ティナがいきなり攻撃しては返り討ちに会い、そこで逆上し、ククリに無謀な特攻をしてきたガンマがあっさりとやられる。

最後にファルが「2人の敵」と攻撃してきたが、こちらも返り討ちにした。


「判っているようで、判っていなかったようです。

 犬猿の仲と思っておりましたが、案外仲が良かったのかもしれません。」


「信頼している割には判って無いじゃないか?

 案外、復活したら裏切るかも知れんぞ?

 お前、スライムだし。」


「おまっ・・・貴方が言いますか・・・

 ですが、それは無いはずです。

 3人とも私の事を慕っており、命すら捧げる寸前の事は何度もありました。

 ・・・今回は完全に命を捧げましたけどね・・・」


「3人ともか?」


「ええ、3人共です。」


ククリは嫌そうな顔をする。


「やっぱり自分好みに育て「違うからなっ!?」」


「ちっ、まぁ良い、黄色いのは?」


「むぅぅ・・・、それは電魔族のガンマ。

 知識欲の高い男で、戦闘よりも研究を行うのが好きな奴だった。

 なぜか国民の人気も高くてな、私が先に死んだときはファルかガンマに国を任せようと思っていたぐらいです。」


「なるほど。

 ・・・・・ふむ?

 3人とも、命を捧げるほど慕っていたのだな?」


ククリが何を気にしているのか、ぽちは測りかねて


「ええ?」


「ふむ・・・・有りだな。」


「何が「知らなくていい。」」


「機会があれば、まずはガンマから復活させてやる。」


その言葉を受け、ぽちは満面の笑みを浮かべる。


「ありがとうございます!!」


「(ぼそ)面白い事になりそうだ。」


「え?何か言いましたか?」


「言って無い。」


「しかし、普通は1人ぐらいは残すだろうに・・・何故全員で押しかけてきた?」


ぽちは言いずらそうに・・・


「いや・・・それは・・・

 3人共、私の顔が汚されたと一同に怒って出て行ってしまってな。

 後から追いかけてきたら、既にマスターと戦闘を開始していた・・・」


「つまり、止められなかったと?」


「結果としてはその通り・・・です。

 あとは、3人がやられた事に逆上してこの有様に・・・」


「まぁ、楽しいからいいじゃないか?」


「私は楽しくないっ・・・です。」


ククリはほんの少し、優しそうな表情になるとぽちに近づき、ぽちを抱えあげる。


「と言う訳で、聞きたい事は以上だ。

 後は休んでて良いぞ。」


と言って、玄関の横に放り投げる。


「ぷぎゅっ・・・

 聞きたいと言いたいから説明してやってたのに、投げ捨てるとは酷いぞっ。

 ・・・ところで、どこで休んでいれば良いので?」


「そこだ。」


と言ってククリは玄関の横においてある、玄関マットを指差す。


「ひどっ!?

 せめてもう少し良い場所で・・・」


ぽちの反論にククリは少し考え込むと、ポケットから縄を取り出し・・・


「え?・・・えっと・・・マスター?」


じわじわとあとずさるぽちを持ち上げ。


「な・・・何をしているのですか?」


縄でスイカを入れるようなネットを作り、その中に入れる。


「何って?もう少し良い場所って言うから、用意してやっているのだが?」


そのまま玄関へ出る。


「ちょっ・・・良い場所って何所ですかっ!?」


結んでいない方のロープの端を屋根に引っ掛けると、つるべの原理でぽちを屋根まで持ち上げる。


「そこだ。」


縄の端を柱へ結んで、位置を固定すると、


「ハンモックみたいで心地良いだろ?

 特別だ。」


と言って、玄関から中に戻っていく。


「ちょっ・・・すいませんっ!!せめて中に・・・中にぃぃぃぃ~」


ククリは振り返って、ぽちに微笑むと、


「却下。」


と言って家に入っていった。


今回の死亡回数 0回

本日の死亡回数 22回

教育的指導 星の数。







えっ、シャワーシーンと天使のような寝顔ですか?

もちろん見せませんよ?

今話でストック終了となります。

次話からは書き上がり次第投稿になります。

たのしみにしているかたには申し訳ありませんが、はぐれ魔王、デスゲームを優先して書いているので、更新頻度は落ちるかもしれません。

なるべく待たせないように書きますので、気を長くして、お待ち下しませ。

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