転生前もこんなもん
七時前頃、学校帰りのいつもの道を歩いていると女性が一人歩いている。女性は俺に気づくとあからさまな電話するふりをし道を譲った。
(何もそこまでしなくても…)
俺はそう思った。
中学の頃までは自分の顔はそこそこいいものだと思い込み、その結果真冬に水鉄砲をかけられたり、集会前に体育館シューズを隠して先生に俺が怒られる姿を楽しまれたりするなどのいじめを食らった。それからは自分の顔はキモい、ブサイクと自認していたが、こういうことをされると未だに堪える。
今日もなぜこんな暗い時間になったのかそれさえ思い出せず記憶を探ると友達と遊んでいたが、その友達が別の友達と会い、気まずくて帰ったようだ。せっかく友達ができたのにこいつは何をしてるだろうか。
俺はそのままトボトボと駅まで行き、快速に乗り帰った。
毎日快速に乗れることが唯一の嬉しいことだ。
「…ガチャ」
「ん?誰、拓海か、おかえり」
「…ただいま」
家に帰ると父が定時だったらしく、父の声がした。
そのままリビングに行き、妹を横目に見ながら、母さんは3時間残業らしいので遅れると伝えた。
「よし…!ならご飯にするか」
「ん」
俺は軽い返事だけし作り置きのものはレンジを使い、時間がかかるため2階へ上がった。
「…はあ死にたい」
別に家族は悪い人というわけではない。しかしそれがかえって俺を苦しめた。悪い人であれば両親に責任を転嫁し、頭の悪い高校に通っている自分を正当化できたからだ。そんな風に考える自分にさらに嫌気がさし頭が痛くなる。
(なんか読も…)
俺はベッドに腰を掛けたあと逃げるように異世界転生ものの小説を手に取った。
(最悪しおり挟むの忘れた。)
そう思い、ページを探そうとした、瞬間だった
俺は別空間にいた。
周りは小高い丘に囲まれ、初春の陽光が俺を照らしている。
「は?」
心地のいい空間だったが、意味がわからずうっすらと恐怖を感じた。
「バックルームかよ」
そう言い、俺は探索しようとし、まず辺りを少し見渡すと小高い丘に誰かが座っていた。相当な距離はあったが声は聞こえた。
「こちらに来なさい。異世界転生させてあげますよ」
俺はその甘言に引き寄せらるように歩いた




