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白脚と呼ばれた男  作者: アパーム
第1章-メイル伯爵領にて-
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08-念願の魔法を覚えよう!

1月8日色々修正

 アルビノ種と遭遇した日は、街へ戻りそのまま解散となった。

 因みになんでか分からないが、アリサは泊まってた宿を引き払い、俺の泊まってる『ドゥーシェ』で宿を取った。アリサ曰く「近いほうが行動しやすいから」だそうだ。

 どっちでもいいけど、客が増えてツィツィが喜んでいたので良かった。御礼の言葉と、再びの腕の感触は忘れないようにしよう。


 翌日は、計画通りにギルドと装備を準備してもらっている武器屋に行った。

 ギルドでは、アルビノの魔石を渡したところ、ディグさんと合うことになってしまい「昨日の今日でまたお前か」と苦笑いを頂戴してしまった。

 魔石を渡した職員が、ライラさんじゃなかったせいもあるのだろう。俺だって驚かせたくてやっている訳じゃないんだけどな。

 受け取ったディグさんが「討伐部位は?」と聞いてきたので、昨日戦った訓練所でふくろから死体を出した。驚きを通り越して呆れたのか、ディグさんは笑っていた。

 ギルドが買い取ってくれるというのでそいつはそのまま置いて行った。忘れていたが、昨日渡した狼の魔石の金と一緒に明日渡してくれるらしい。

 千切れていた片方の腕についても聞かれたが、アリサ用の新しい剣を打ってもらうと説明したら持っていけと言われた。なんでもこの大きさの鎌熊の腕なら、いい剣が作れるらしい。

 後の処理をディグさんに任せて、俺達は受付に入っていたライラさんに挨拶をして、ギルドを後にした。


 ギルドを後にして、俺達は武器屋に向かった。

 武器屋で依頼した俺の装備を受け取りついでに、アリサの剣を見てもらう。


「嬢ちゃんの腕には重すぎるだろ、これは」


 アリサが剣を2,3振りする姿を見て、呆れ返った店主はそう言った。なんでも剣が重すぎてアリサの動きを邪魔しているらしい。

 店主に鎌熊の腕を渡して、剣を打って貰えないか頼んだところ、金貨2枚で打ってくれるらしい。アリサに物を言わせず、即決で金貨を渡して依頼した。

 どうやら鎌熊の腕。しかもレベル50以上に成長した物はなかなか出回らないとのことで、ヤル気の店主が「明日には完璧に仕上げてやる」と約束してくれた。

 その後は、剣ができるまでやることもないので、早めの解散にした。

 アリサはしきりに「返せるものがない」と項垂れていたが、魔法を教えてもらえないかお願いしたところ、「早めに寝る!」と言い残して、自分の部屋に入っていってしまった。

 落ち込んでいるより全然いいよね!

 俺は、最近やってなかったトレーニングを2時間ほど行い、風呂に入ってその日は寝た。

 夕食の時に、ツィツィちゃんとお喋りをしていたら、店主が恨めしそうに俺を見ていた。なんかアリサからも同様の視線を感じたが、気のせいだろう。



 そして翌日。俺達は早速武器屋で、依頼していたアリサの剣を受け取った。その後、ギルドで金を受け取り、薬草採取の依頼を受けて街を出た。

 熊と狼の売上は、なんと白銀貨2枚になった。ほとんどが熊の報酬で、なんでもあの大きさの魔石と素材で白銀貨1枚と金貨90枚だそうだ。

 熊の報酬を2分割 (いらないと言っていたが、無理やり受け取らせた)したら、剣の金とお礼ということで金貨5枚を渡された。別にいいんだけどな。

 薬草の依頼は、20株の薬草を取ってこいというものだった。

 因みに、剣を受け取ったとき、アリサが嬉しそうにビュンビュン振り回していた。まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のようだった。笑顔が可愛かったなぁ。

 まぁそれを言うと、間違いなく怒るので言わなかったが。


 薬草の群生地の小川の近くは、多少の魔物がいた。すべて一昨日見た蟻の魔物だ。1匹を残し他を倒す。

 そして残った1匹をアリサと戦わせる。レベルは同じだし、特殊な攻撃もして来そうにない。練習台としてはうってつけだ。

 最初はビクビクしていたアリサだが、俺が声をかけているうちに慣れてきたのか、最後は圧倒していた。おそらく剣の指導をしていた人が優秀だったのだろう。

 所々攻撃を食らってしまい、腕などに傷もできていたみたいだが、魔法で回復したのだろう。終わった時には綺麗なものだった。


「や、や……やったぁぁぁ!!」


 初めて自分だけで魔物を倒した喜びか、叫んだ後は自分の手を見てニヨニヨしていた。が、途中で何かに気づいたのか、俺のもとに歩いてきた。


「えー、こほん。色々アドバイスありがと」


 なんだお礼を言いたかったのか。いえいえ、良い剣捌きでしたと返しておく。

 と、思ったら先程よりも嬉しそうな笑顔になって、こっちを見上げてくる。いや、可愛いのはわかったけど。なんだろう?


「今度はリュウイチに魔法を教える番ね」


 なんか、イキイキしてるな。あ、枝毛見っけ。

 って、魔法? ……なんだっけ?。


「えっと……魔法?」


「昨日教えるって約束したでしょ? もう忘れちゃったの!?」


 あぁ、そうだった。そんなことをお願いした気がする。深く考えてなかったから忘れてた。

 それにしても魔法! 魔法である。魔法といえばファンタジーのお約束のようなものだし、それを俺が使えるようになると思うと……オラワクワクしてきたぞ!


「よろしくおねがいします」


「この私にまっかせなさい!」


 なんか自信満々なアリサを見ると、急に不安になってくるね。言わないけど。


「まずは簡単な物から……。”魔に連なる無形の刃よ、目の前の敵を殲滅せん”……『魔力剣マジック・デーゲン』! 」


 アリサが何か呟いた。おそらく呪文の詠唱だろう。魔法の名前を唱えた途端、アリサの身体から昨日回復してもらった時に見えたモヤが手に集まるおそらくあれは魔力だ。そしてそれは手の上で形を変え、ナイフほどの大きさになった。

 手の上にできた魔力のナイフを確認したアリサは、そのまま目の前の木に向かって手を振るう。ナイフが手の上から木に向かって飛んでいき、木に刺さって消える。木を確認すると小さな刺傷ができていた。


「おぉ~」


 驚きの声と一緒に拍手を打つ。嬉しいのか、アリサの頬に若干の朱が差す。


「これが練習の魔法『魔力剣マジック・デーゲン』よ。簡単な魔法で、魔法を学ぶ人はまずこれで自分の魔力のコントロールを覚えるの。」


 そうか、これを極めてからが本番ってことだな。ようし、やってやる。

 魔力の流れは、一昨日回復してもらってから、自分の体を巡っている魔力を確認できた。それに寝る前に体中を駆け巡らせるという練習はしておいた。あとはぶっつけ本番だ!


「魔法は殆どがイメージに左右されるわ。起こる事を自分の中で明確にイメージするの。」


 魔法を使おうとする俺に、アリサからのアドバイスが飛ぶ。ふむ……イメージか。とりあえずさっきのアリサをお手本に同じようにやってみる。


「”魔に連なる無形の刃よ、目の前の敵を殲滅せん”……『魔力剣』」


 俺が唱えだしたと同時に、魔力が手の上に集まっていく。この呪文自体が魔力の動きの引き金なんだろう。なんとなく唱えていると思っていたが、意味があるってことか。

 そのまま俺の手の上には、さっきアリサが見せてくれたような大きさのナイフが浮かぶ。真似をして近くの木に抜けて振る。ナイフは、やはり木に刺さって消えた。傷跡も同じような大きさだ。


「あら、簡単にできちゃった。私もこれを覚えるのに10日はかかったのよ? リュウイチは凄いわね」


 驚いているアリサを尻目に、もう一度詠唱を開始する。

 結果は変わらず、木にちょっとした傷をつけただけだった。


「私は薬草を取ってくるわ。その場所で練習しててね。魔物が出てきたら叫ぶから、叫んだら助けてよ? 絶対よ!?」


 念押しをして、アリサは依頼を達成するため薬草を探しに行った。その間に俺はこの魔法を極めるか。

 まずは詠唱だな。あれをいちいち唱えるのはめんどくさい。

 幸い魔力の流れはわかってるし、詠唱がなくてもできるんじゃないか?

 体の中の魔力を放出する。詠唱を行った時を参考に同じくらいの魔力量を外に出す。そしてそれをナイフの形になるようにイメージする。

 結果として、先ほどと同じような大きさのナイフが出来上がった。それを木に投げつける。木に刺さって消滅した。

 傷跡を確認すると、先程よりも若干深くなっている。ナイフを構成する魔力量の差だろうか。


「あれ? つまり魔力を増やせば、もっと強力にできんじゃない?」


 詠唱ありだと消費魔力が均一で、出来上がるナイフも同じような威力だ。なので詠唱なしで魔力量を増やし、威力を上げる。

 早速先程より多くの魔力を使って形を変える。大きさはさっきと同じくらいのナイフ。だが内包してる魔力量を段違いに上げてみた。

 出来上がったそれを木に投げる。ナイフは木を貫通していった。……計画通り。

 次は同じ魔力量で、剣の大きさを変えてみる。イメージはバスタードソードくらいの大きさだ。

 出来上がった大きな剣で木を切り払う。『ガツッ』という音がして剣は消滅してしまった。おそらく魔力が足りなかったのだろう、威力が出ない。

 その後も魔力を増やし、試し切りをしていった。最終的に標的を木から岩に変えたが、プリンを掬うように軽く切れてしまった。

 しかも地面を割るというおまけ付きで。これを鍛えていけばモーゼごっこが……、そういえばあれは海だったな。

 切り終わった後も剣は消滅せず浮いている。どうやら俺の意志で簡単に動かせるようだ。


「威力向上はこれくらいでいいか。次は数だな」


 今みたいに少数対少数で戦いができればいい。だけど多数対少数になることは、この先予想されるだろう。作れる数が増やせるか、試してみないと。

 まずはさっきの剣を増やす。倍の魔力が必要となったが、2つの剣が俺の横に浮かび上がった。イメージって大事なんだな。

 そしてそのまま数を倍々に増やしていく。4、8、16、32、……256本になったところで数えるのをやめた。

 多数の同じ剣が、俺の周りを浮いてるのを見て、ひとつ思いついた。


「剣の種類を一つづつ変えれるかな」


 イメージは勿論、某ゲームのメソポタミアの英雄だ。

 魔力を練る前に、浮かべる剣をそれぞれイメージする。こういうとき現代日本の知識は便利だ。日本、中国、ヨーロッパ、古代文明。色々な種類の武器をイメージする。

 何でもかんでも思いついたものから魔力で出したせいか、三八式騎銃が出ていた時にはちょっと呆れた。いや、刃物ついてるけどさぁ。

 それにしても、俺の後ろに多数の武器が浮かんでいるのを見ると、壮観だ。気分はまさにバビロン。


「何やって……何やってんの!?」


 鼓膜が破れそうなくらいの叫び声が聞こえた。アリサだ。帰ってきたのか。


「おう、おかえり。」


「おかえりじゃないわよ。おかしな魔力を感知して戻って来てみたら……。なによこれ!?」


 俺の後ろに浮かぶ武器たちをみて、俺に詰め寄ってくるアリサ。いや、何って聞かれても。


「アリサが言ったんじゃないか。まずは『魔力剣』を極めろって」


「え、極める!? 何言ってるの?」


 心底呆れたような顔で睨まれる。あれ、俺何かおかしな事言ったか?

 アリサ曰く、『魔力剣』は簡単なナイフを作り出す魔法らしい。詠唱を唱えれば、誰が使っても同じような威力のナイフが出来上がるそうだ。

 これの改良に目をつけた元宮廷魔術師でさえ、最終的に鉄剣くらいの威力の物を5本程度作れたくらいらしい。

 なんでも必要な魔力量が多すぎるらしく、これを強化するくらいなら、別の殺傷能力の高い魔法を覚えたほうが楽だそうだ。……かっこいいのに。

 っていうかあのジジィの精神強化って凄いのね。


「それにしてもこんな大量の数。しかもひとつひとつが神器くらいの威力があるんじゃない?」


 アリサからお褒めの言葉を貰う。顔は笑ってなかったが


「こんな大規模な魔法、詠唱が長すぎて戦いで使えないんじゃない?」


「?? 何言ってるんだ? 詠唱なんて必要ないぞ」


 おかしな事を呟くアリサの言葉を訂正する。浮かんでいた剣郡を消し、もう一度無詠唱で作り出す。


「無詠唱……?」


 目の前のことが信じられないのか、目を見張り、剣郡を見つめている。あれ、俺またやっちゃった?


「うん……そうだった。リュウイチが規格外の奴なんてこと分かってた。驚くだけ損よね」


 諦めた様にそう呟いている。失敬な。ただちょっと人より世間に疎いだけだ。


「その力、他には黙っておいた方がいいかもしれないわね。目をつけられるわよ」


「だろうなぁ。俺も目立ちたくないし、そうしとく。んで、薬草は?」


「勿論取ってきたわよ! あぁもう、事の大小がまるでわかってない……」


「む、わかってるぞ。依頼が達成できるかどうかのほうが重要じゃないか」


「だから……。はぁ、もういいわよ。街に帰りましょう」


 疲れたのか、ため息を付きながら先を歩いていく。可愛い顔が台無しだぞ?


「あんたのせいでしょ!?」


 おっと、言葉に出ていたみたいだ。怒りからか、少し赤くなったアリサに突っ込まれる。

 俺は苦笑しながら、アリサの後をついていった。



 帰り際に、久しぶりに自分を『診断』で確認すると、なんか色々増えていた



名前:佐伯龍一


職業:冒険者


レベル:255


ステータス異常:無し


固有能力:身体強化

     精神強化

     EX『診断』

     魔力の元

     成長の証


スキル:格闘

    気配察知

    気力変換

    無属性魔法

    魔力変換

    瞬動


称号:『魔力宝庫』『魔道の探求者』『魔の暴虐』『粗忽者』



 誰が粗忽者か。責任者出てこい!

読んでいただき、ありがとうございます。

やっと主人公が魔法を覚えました。

次回更新は20日を予定しています。

よろしくお願いします。


12月21日 誤字修正

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