06-ギルドでバトル!?
12月23日 ちょこちょこ修正。
翌朝はスッキリとした目覚めだった。やっぱりベッドで眠ると安眠度が違うね。
酒場へ下りて朝食を食べる。黒パンとスープだ。
食後、備え付けの風呂場で風呂に入り、早速冒険者ギルドへ向かった。
扉を開けて受付に向かう。昨日のお姉さんがいた。話が早そうだ。
「こんにちは。お姉さん」
「はい。あ、リュウイチさん。こんにちは」
ニッコリ笑顔で挨拶してくれる。美人の笑顔は癒やされるなぁ。
「受け取りに来ました。できてますか?」
「えぇ、こちらへどうぞ」
奥の部屋へと促される。おや、この場で貰えないのかな?
お姉さんの後について行き、ひとつの部屋の前に案内された。ドアをノックしてお姉さんが告げる。
「失礼します。リュウイチさんをお連れしました」
「おぉ、ライラか。待っていた。入ってくれ」
中から男の声が聞こえる。そうか、このお姉さんライラさんって言うのか。覚えておこう。
ライラさんと一緒に部屋に入った。部屋には事務机、ソファーが2脚、丸型テーブルに本棚があり、ソファーの1つに鈍く光る鎧を着た男が座っていた。
「リュウイチさん、この方は……」
「いや、私から話そう。」
説明しようとするライラさんを男が遮る。どうせ説明してくれるなら、美人のライラさんのがいいんだけど。
「ようこそ、ザンドウの冒険者ギルドへ。私はディグという。ここのギルド長をやっている」
? 意味がわからない。なんで突然偉い人が、俺に会いたがるんだろうか。
それともギルド証を貰うには、ギルド長に合わないと貰えないんだろうか。仕事が増えて大変だろうに。
「はじめまして、リュウイチといいます。俺が呼ばれたのはどういった理由でしょうか?」
「あぁ、なんでも冒険者志望に来た奴が、ヴェンウルフの魔石を持ってきた。と聞いてな。」
ディグさんの手には、昨日俺が渡したものだろう魔石があった。
「えぇ、俺が昨日預けました。」
「間違いないか。……この魔物を倒すのは一筋縄じゃいかなくてな。ランクBの冒険者でも一人では倒すのが難しいんだ」
そうだったのか。チョップだけだったからわからなかった。
「そしてこの色。おそらくレベルは30を超えていただろう」
レベル30? そんなに高いの!?
「そしてそれを倒したのは、レベル5の素手の男。興味を持たないほうが変だろう?」
そう言ってディグさんがニヤリと笑う。この人は俺が倒したと確信しているようだ。別の仲間と一緒に倒したとか考えなかったのかな。
「確かに、俺が倒しました。できればこのことは黙っていてもらえれば嬉しいんですが」
「なぜだ? コレを公表すれば、君はここのギルドでも一目置かれるようになるぞ?」
「苦手なんですよ、騒がれるのは」
俺の言葉を聞いて、心底楽しそうに笑うディグさん。冒険者には、有名になりたがる奴が多いらしい。5分ぐらいして、ようやく笑いが収まった。
「わかった、このことは他言しないようにしよう。ただし、条件がひとつ。今から私と戦ってくれ」
「なぜですか?」
「有能な冒険者の情報を隠すのは、ギルドとしても不利益だ。そして、ギルドとしては君の実力を知っておきたい。後は……私が戦ってみたいからだ。」
つまり、テストしたいってことか。
言ってることはわかるんだが……。実は最後の理由が一番じゃないのか? ライラさんも『また始まったよ』と言いたげにため息を付いているし。
「分かりました。ただし、戦ってるところは他の人に見られたくありません」
「話が早くて助かる。もちろん、このテストを知ってるのは私と、君と、このライラだけだ。ライラはこう見えて元Aクラスの冒険者だ、言いふらすことなどしない。安心してもらっていい」
そう言って立ち上がり、歩き出したディグさんに着いて行く。
□
通された部屋は、訓練所のようだった。広く、グラウンドのような地面。
ディグさんは、置いてある片手剣を取って、距離を取る。ある程度離れたところで向かい合う。
「この剣は訓練用だ。刃は落としてあるが、鉄で出来ている。切れはしないが、当たると痛い」
そして剣を軽く振るう。『ビュン』という風切り音がする。あれだと切れる切れない関係ないな……。
「理解できたか? 私も気をつけるが、殺さないようにしてくれると嬉しいな。始めようか」
ディグさんは軽口を叩いて、構えをとった。畑仕事の時みたいに手加減すれば大丈夫かな? ゴブリンの時よりも抑えないと。ギルド内でマスターを殺してしまうとか最悪すぎる。
ディグさんを見ながら、俺も左半身に構える。テストが、始まった。
ディグさんは、無手の相手と戦うことは少ないのだろう。警戒しながらジリジリと間合いを詰めてくる。
距離が近づいてきたところで、こちらから仕掛ける。
「っ!」
すぐ手前で、ディグさんが剣を斜めに振るう。
反応が早い。斜めに切りつけてくるので懐に入れない。
上体を反らし、前足を起点に左前に抜け、剣を躱してディグさんの横に接近する。
脇腹に向かって拳を打ち込……首筋がチリッとした。
「むんっ!」
剣が横薙ぎに返ってくる。切り返しも早い!
手を引き、後ろにステップ。剣を躱して距離を取る。
ディグさんがこちらを向く。再び向かい合う。
「ハハッ、早いな」
「ディグさんこそ。反応も切り返しも早い。一度も打ち込めない」
正直な感想を告げる。
懐にも入れず、異常な速さで抜けたにも関わらず、的確に剣が襲ってくる。この人、強い。
息を整え、距離をゆっくり詰めていく。
距離が近づいた所で、後ろ足を強く踏み込む。次は当てる!
「ハッ!」
剣が横薙ぎに振るわれる。体勢を低くしてそれを躱す。
剣が通り過ぎたことを確認して、上体を起こす。同時に剣を持っていない方の手を弾き、ガードを緩めさせる。
拳を打ち込む前に剣が返ってくる。今度は斜めに振り降ろされる。
しゃがんで避ける。が、体勢を直す前に剣が返ってくる。脚を狙ったのだろう、低い位置で横に振るわれる。
「早っやい!」
早すぎて後ろに下がれない! ジャンプして剣を避ける。
それを見越していたのか、即座に剣が引かれ、真っ直に突出される。
空中にいるために躱しようがない。このままでは突かれる!
咄嗟に脚を出す。剣の柄を握っている拳を蹴りあげる。
「何!?」
剣は落とさなかったものの、狙っていた位置がずれた。
追撃なんて待たない、地面に降りた瞬間に再び距離を取る。
「今のは、手を狙ったのか? 全く、恐ろしいな」
「たまたまですよ。アナタが早すぎて苦し紛れに出たんです」
「事も無げに避けておきながら、よく言う」
薄く笑いを浮かべて答える。内心は冷や汗ダクダクだった。
最後に打った蹴り。本当なら剣を弾き飛ばすはずだった。
しかし、剣の軌道を逸らすことが精一杯。俺は再び距離を取ることしかできなかった。
向かい合う、その前に胸元で左の拳と右の掌を打ち付ける。次で終わらせる。
心を落ち着かせ、左半身に構える。ディグさんも、剣を握り直した。
「シッ!」
前傾になり、距離を一気に詰める。その俺に剣が突き出される。
上体を反らし、左手で剣を持つ腕を弾く。そのまま懐に右肘を向ける
「むん!」
ディグさんの左拳で肘が叩き落とされる。読まれてたか。
体勢が崩れた俺に、剣が振り下ろされた。
前足で飛び、少し下がる。左手で剣の軌道を逸らすのを忘れない。
「っ……。と!」
よろけながらも剣が横薙ぎに振るわれる。また少し後ろに下がり、それを避ける。
避けたと同時に、今度は勢いをつけて踏み込む。
速さに驚いていたが、予想していたのか再び剣が突き出される。
「うっ……おおお!」
剣を躱し、左手で右手首を掴む。そのまま背を向け、右腕で右手を担ぐ。
腰を落とし、手を引きつけ、そして腰を跳ね上げる。『一本背負い』だ。
背中から地面に叩き落とす。仰向けのディグさんに馬乗りになり、首に腕を突きつける。
「どうでしょう?」
「……まいった。私の負けだ」
□
「う~ん。どれにしようかな」
テストが終わり、俺はGクラスと書かれたギルド証を手に、依頼書が掲げられている掲示板の前にいた。金は特に必要ないが、色々経験しておくに越したことはない。
訓練所を離れる前に『Bクラスで作り直せるが、どうする』と聞かれたが、丁重に辞退しておいた。知識のないBクラスとか外れ以外の何ものでもない。
俺が見ていたのは薬草等の収集依頼だ。
本当は魔物討伐の依頼を受けたかったのだが、状況がそうさせてくれなかった。
なんでもDクラス以下の冒険者は、魔物討伐の依頼を2人以上のパーティでないと受けられないらしい。そう告げてくれたライラさんの申し訳なさそうな顔が浮かぶ。
まぁルールなら仕方ない。でもどれにしようかな……。
「収集依頼かい? 君は一人なのかな?」
そんな俺に声をかけたのは、銀色の鎧を身に纏ったショートカットの女性剣士だった。
読んでいただき、ありがとうございます。
ようやくヒロイン候補が登場しました。
冒険者ギルドの設定が適当に見えますね……。まぁ、気にしない!
次回更新は17日予定です。
よろしくお願いします




