セナとササラ 3
結婚前提にお付き合いすることとなったセナとササラは、まず神官長に報告をした。セナのお見合い阻止と、ササラが神官を続けるに当たって協力してもらうためである。
「ほほう、なるほど」
2人の話を聴いた神官長は、うんうんとうなずいている。セナとササラは、何を言われるかと戦々恐々だった。
「うん、セナ神官に決まった人がいなかったら、ササラ神官を勧めようと思ってたんだよ。いや、よかった、よかった!」
ニコニコ顔の神官長に、ほっと肩の力を抜いた。見合いの阻止はオーケー、次はササラの件だ。セナが恐る恐る切り出した。
「神官長、もうひとつお話があるのですが」
神官長が、うん?と二人を見る。ササラの膝の上で揃えられた手がぎゅっと服を握った。セナがそっと手を添えると、安心したように力がぬける。神官長はそれに気付いてほほをゆるめた。
「ササラのことなのですが、結婚後も神官を続けたいのです」
セナの申し出に、神官長は口許を引き締める。
「私としても、賛成ですよ。優秀な神官を失いたくありませんからね。ですが、私の一存で決められる話ではありません。女王陛下にご相談しないと。人事異動が絡んできます」
神官長の返事に、二人は深くうなずいた。
女王陛下のお返事があるまでは、まだ公にしないようにと言われて、神官長の部屋を辞したのだった。
セナとササラの件は、神官長によって速やかにエルトゥーリア女王へと伝えられた。女王はいたく喜んだ。
「まあまあ!セナとササラが!」
「はい。陛下が後押しされたのでしょう?」
「あら、私は早く決めないと押し付けられるわよって言っただけよ」
「そういうことにいたしましょうか」
神官長が苦笑した。
「そうして頂戴。さて、これで、カサネが呼び戻しやすくなるわ~。あとは、スオウよね。う~ん、どこを動かそうかしら…」
「そう、急ぐこともありますまい。ところで、2人にはまだ公にしないよう言っておきましたが、どうなさいますか?」
「そうね、年度明けまで待ってもらいましょうか。中央地区の統括官の引退が発表されるまで、ね」
「それがよろしいでしょう」
月の女王と神官長は、次の話題に移っていった。
結局、セナとササラは、都にやってきたカサネとスオウにも言えぬままに、いつもと代わらぬ、だけどちょっとだけ立ち居地が近くなった日々を過ごすことになった。
女王のお許しが出たのは、年度が替わり、中央地区の統括官の今季限りの引退が発表されてからだった。女王に呼び出された二人は、結婚式の日程やササラの異動先などについて説明を受けたのである。
「改めておめでとう。結婚式にはカサネとスオウに舞をお願いしましょうね。ササラの赴任先は、ラウの神殿よ。カサネと入れ替わりになるわ、あ、これまだ内緒よ?ああ、一度カサネとスオウを呼んで日程の調整をしないと!」
嬉しそうにはしゃぐエルトゥーリア女王に、セナとササラは、顔を見合わせて、クスリと笑った。
その晩二人が書いた両親とカサネへの手紙が、ラウの神殿に巻き起こした騒動は、また別の話。
ササラの家族は、結婚をあきらめていた娘が統括官と結婚!と、大喜びです。(神官の世界では玉の輿になるから)




