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クロスのつぶやき

短いです。

わしはクロスリード。クロスと呼ばれておる。

月の大神殿の地下、天界への門たる泉を守っておる天竜じゃ。

今でこそ、真っ白になってしまったが、若い頃は白銀のクロスと呼ばれてそりゃあ、もてて…。

ん?カサネとスオウのことが聞きたい?よしよし、いくらでも聞くが良い。


そうじゃな~、初めて会ったときは二人ともまだ見習いで、16,7くらいじゃったか。

スオウは細ほそで、カサネは三つ編みのおさげじゃったなぁ~。まだまだ子供じゃった!


スオウはさすが、日輪王の血を引くもの。わしのことを、すぐに理解してくれた。

なんでも、一族の伝承に竜の加護というものがあるそうじゃ。

そんな話をしておったら、帰ったと思ったカサネが戻ってきてしまっての~。わしを見て腰を抜かしてしまったんじゃ。

仕方あるまい。我ら竜の身体は大きいし、人の子には恐ろしくうつるのだろう。


でな、こわがらせないように人型をとったら、ようやっと近寄ってきてくれたんじゃ。そのうちに竜体でも、大丈夫になってな、おじいちゃんと呼んでくれるようになったんじゃよ。

孤独を好む竜といっても、おじいちゃんと懐いてくれれば悪い気はせん。なんだか、わしもカサネが孫のように思えてきたほどじゃ。


スオウと二人で、いろんな話をしてくれてのぅ。楽しかったぞ?

カサネとスオウが出会った旅の話は、何回聞いたか。顔を合わせたことの無い、カイやミオが身近に感じるわい。


この5百年ほど、寝ているときがほとんどじゃったが、最近は起きてることのほうが多いのぅ。

カサネとスオウだけでなく、王や女王も時にはやってくるからの。

カサネとスオウの《鏡の舞》は、すばらしいものじゃったと、王と女王が言っておった。あの二人が褒められると、なんじゃ、わしまでうれしくなる。

なに? じじ馬鹿? ふん、ま、否定はせんがの。


二人の舞が、あそこまですばらしいのは、技術だけでなく、二人とも光の女神の血をひくからじゃろう。ん?スオウは日輪王の血族じゃが、カサネは違うって?

いや、カサネもごくごく薄くだが、ひいておるぞ。おそらく、本人も知らんじゃろうて。遠い先祖に、降嫁した王女でもおったのじゃないかの。

神々も、あの二人の舞は喜んでおるよ。


そういえば、見習いを卒業するときに、こっそりスオウがやってきての、二人ともすぐ呼び戻されるからと言うんじゃ。女王にも気に入られてるし、まあ当然だといえば、スオウが女王に願い出たんだと。

カサネと一緒になるために、スオウも必死のようじゃ。そうじゃよ? スオウは見習いの頃から、カサネにほれておったんじゃ。

そんなに驚くことかの~?


ま、そういうわけで、呼び戻されるまでの間、スオウは気が気じゃないみたいじゃったな。良くわしに愚痴をこぼしておった。

カサネがまた鈍くての~。スオウの前で、早くいい人見つけたいとか、今度見合いするとか口にするもんじゃから、スオウが後ですねて困ったもんじゃった。

女王が手を回したらしく、実際には、ずっと独り身じゃったのだがな。カサネとスオウが不憫で、思わず王と女王に早く一緒にしてやれと口にしてしまったわ。


こうやって、二人とも神殿に戻ってきてくれて、わしもうれしいしの。

なんだかんだ、あったらしいが、無事に結婚も決まったし、ああ、ホッとしたわい。

もう、先は長くないわしじゃが、竜生(じんせい)の最後にカサネとスオウに会えて、よかったぞ。お前も連れてきてくれたしな、シュウ。

はじめて見た時は、本当に親子かと思ったんじゃ。それくらい、3人が家族に見えた。


ああ、そうじゃな。わしがおじいちゃんで、カサネとスオウが両親で、シュウが孫じゃな。

自然に生じて孤独を好むはずの竜が、子と孫を得られるなんて、わしは幸せ者だな。


さあ、誰か来たようじゃ。また楽しい話を聞かせてもらおうかの。



結婚式前くらい。シュウが自分の知らないカサネとスオウのことをクロスに聞きました。

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