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18.神官は琥珀を胸に抱く5

教師編のスオウ視点です。

「ばか。」

カサネが腕の中でつぶやく。

「うん。」

僕は微笑んだ。カサネが何か言おうとしていたのを、口付けでふさいだ。


―やった!!

ついにカサネをつかまえた!

カサネが好きだと自覚してから6年間。長かった…。


2、3年で大神殿に呼び戻されると思ってたのに、なかなか話がこない。研修だといって半年に一度は大神殿でカサネと会ってたけど、気が気じゃなかった。

セナさんの友達経由で近づく男を排除し、エルトゥーリア女王の命で見合いを無いものとしてきたけど、手紙が来るたびにドキドキした。

いざ、カサネを目の前にすると、付き合いについてなんか聞けない。ああ、なんて情けないんだろう。


やっと大神殿に呼び戻してもらったと思ったら、女王がトゥーリアと呼ぶことを許しちゃったから、周囲がうるさいこと。二人にまとわりつく輩を排除するのに、大変だった。

ラッキーだったのは、ミサキが味方についたこと。

僕がカサネを特別な目で見てるのはすぐわかったという。見習いの頃からカサネに向ける笑顔は違ったそうだ。…そんなにわかっちゃってたんだ。

まあ、応援してくれるって言うから、お願いしておいた。カサネのニブさに手を貸したくなったそうだ。


カサネの酒癖は相変わらずだった。すぐ寝ちゃう。シアさんとユキトさんに招待されたときも、そう。大人だから大丈夫だなんて、全然じゃないか。

着任早々朝帰りするわけにも行かず、連れて帰ることに。大人の女性になったカサネを抱き上げると、自分も大人になったことを実感した。カサネがしがみついてきてくれる。信頼、されてるんだよな…?

馬車で送ってもらって、門限ぎりぎりに神殿に帰りつくと、門を閉めにきていたリュウ神官に見つかった。


「おや、お泊りになられるかと思ってましたよ。」

ニコニコと出迎えてくれる。いつ見ても紳士だ。本当にミサキの伯父さんなのか、いつも疑問に思う。

「着任早々朝帰りはできませんよ。」

「それもそうですね。」

クスクスと笑うリュウ神官は、手早く門を閉めると、そのまま、途中の扉を開けながら、カサネの部屋までついてきてくれた。

僕がカサネのピンを使って鍵を開けると目を丸くしている。

「スオウ先生。いつでも泥棒に転職できますな。」

そう笑いながら、帰っていった。


カサネは全く無防備に僕の腕の中で眠っている。僕以外にも、無防備なのかと思うと非常に心配になる。ああ、カサネを利用しようとする者たちを、早く何とかしないと。



トゥーリア様は、どういうつもりなんだ!?

僕とカサネでユーリ王子を光の神殿まで秘密裏に連れて行けなんて!チャンスだって!?

子連れで、どうやってくどけと?!

ああ、ユーリ王子は僕にも懐いてくれた。くれたけど、寝てるときも一緒じゃ、どうにもならないじゃないか。

極めつけは、嵐の夜。一つベッドに腕枕で、カサネとの間にはユーリ王子。天国のような地獄のような。良く我慢したな~、自分を褒めてやりたい。


帰ってきたら、カサネは暗示をかけられるし。違和感に気がついてよかった。カサネに怪我をさせてしまった事が悔やまれる。

誰がカサネを守るのか、うるさい奴らに見せ付ける必要があった。

謁見の間で、少し力を溢れさせただけで、家臣たちは慌てふためいてた。僕の力をあなどっていたらしい。

打ち合わせ通り、トゥーリア様がカサネを庇護下におき、僕が正式に保護者になった。これで、手を出す奴は、ほとんどいなくなっただろう。


カサネが竜に攫われたときは、あせった。あわてて、騎士団長の馬を借りて後を追い、やっと見つけたときは手が震えた。あんなに怖いことはない。二度とごめんだ。

見つけたカサネに抱きついていたシュウを見たときは、自分の目が信じられなかった。小さな頃の自分がいる。それも、カサネの髪の毛と瞳で。

あとで、カサネの心の中で僕が一番大きかったから、その顔にしたと聞いたときは、にやけるのを必死でおさえたな。

シュウを天界に帰したことにした後、カサネに触れるのをこれでもかと周りに見せ付けてやった。対抗馬といわれる騎士団長に対しては特に念入りに。


シュウを城に連れて行ったら、隠し子だという噂があっと今に広がった。いや、自分でもシュウを見てると本当じゃないかって思ってしまうくらいだ。そんな訳ないが。ヴァン様には爆笑され、トゥーリア様には納得され。

ミサキにも、からかわれたな。

ミサキには感謝してる。あの時、ミサキにカサネが僕が王のいとこというのを気にしてることを聞かなかったら、どうなっていたか。

王のいとこでも、僕は貴族じゃない。そんなの、気にすることないのに。


そして夜。カサネが、部屋を出た気配がした。誘拐未遂事件以来、夜間部屋を出たらわかるようにしている。どうやら、塔に登っているようだ。後を追うことにした。

カサネは、夜着に上着という薄着で突っ伏して城を見ていた。二人並んで話し始める。

やがて、カサネが「死ぬまで一緒」と言った時、今だ!と思った。

「どうせ死ぬまでいっしょなんだから、ついでに結婚しない?」

あああ、なんてプロポーズなんだ。でも、口をついてしまったものはしょうがない。

カサネがそうねと言ってくれるまでの間、心臓が破裂しそうだった。聞いた瞬間、決定といってカサネを上着の中に抱き込む。もう逃がさない。


神官ぼくは、琥珀カサネを胸に抱く。これからもずっと。


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