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15.後継者

王都に帰ったその足で、騎士団長と共に王と女王に報告をした。天界から竜が迷い込み、無事に戻っていったと公表されることになった。

そのまま、王と女王の私室に招かれ、本当の事情を説明する。


「おそらく、クロスの後継者かと。」

「だろうな。」

スオウとヴァナートの会話にカサネは沈んだ。後継者が現れたということは、クロスの最期が近いということだ。

「カサネ、生きているものは必ず死を迎えるわ。」

「はい。わかってはいるんですが…。」

「そう。では、クロスのことを忘れないで。そうすれば、クロスはあなたの中で生き続けるわ。」

エルトゥーリア女王の言葉に、カサネは強くうなずいた。


今度は、シュウを連れていらっしゃいと帰されたその夜、カサネとスオウは神殿に隠れていたシュウを連れて、クロスを尋ねた。

「…親子?」

シュウを見たクロスの第一声は、これだった。

「違いますー、わかってるくせに。」

ふてくされるカサネにクロスが笑う。

「ふぉふぉふぉ、いやぁ、良く似ておるから。同族に会うのは1000年ぶりくらいかのぉ。」

「おじいちゃんだね!」

シュウが目を丸くした。


「ああ、大分長い間生きておるぞ。わしは、クロスリード、クロスじゃ。おまえは?」

「シュウリード。シュウって呼んで!」

シュウは、クロスにすぐ懐いた。

「クロス、シュウは気がついたら地上にいたそうだ。何か心当たりは?」

「…おそらく、シュウはわしの後継者じゃろう。」

「こうけいしゃ?」

シュウが首をかしげる。

「後を継ぐもののことじゃ。わしは、この泉、天界への門を守っておる。わしが死んだら、シュウが守るんじゃぞ?」

「おじいちゃん、死んじゃうの?」

シュウの目に涙がじわっとあふれる。


「今すぐには死なんよ。シュウが一人前になってからじゃ。」

クロスがなだめると、シュウは泣き止んだ。

「クロス、シュウを任せてもいいかな?」

「もちろんじゃ。しっかり仕込んでやるぞ。」

クロスが楽しそうに目を細める。


「シュウ、いつでも遊びにいらっしゃい。あ、授業中は困るけど。」

「うん、わかった。」

「今度は、お城に行って、王様と女王様に会うよ。楽しみにしてて。」

「うん、待ってるね、スオウ!」

こうして、幼い竜シュウは、老竜クロスの元にやってきた。



約束どおり、シュウを連れてきたカサネとスオウは、城中の注目の的だった。

シュウを見たヴァナート王は、爆笑した。

「ぶはっ、カ、カサネの髪と瞳で顔はスオウって、お、親子!」

「まぁあ、隠し子がって侍女たちが騒いでたけど、本当にどう見ても親子だわ~。スオウそっくり。」

エルトゥーリアもまじまじとシュウを見ている。

「だって、この顔スオウだもん。」

シュウの言葉に、全員がかたまった。

「竜のぼくがこわいみたいだったから人型になろうと思ったの。カサネの心をのぞいたらスオウが一番おっきかったから、スオウの顔にしたんだ。」

シュウが無邪気にしゃべった内容は、大人たちに衝撃をあたえた。


「ええ~、シュウ、私の心みたの!?」

うろたえるカサネ。ニヤニヤする王と女王。スオウはほんのり頬をそめている。

「あの時だけだよ。もう見ない。ねぇ、王様。ぼくとカサネとスオウは親子なの?」

シュウが不思議そうにヴァナートに聞いた。

「みたいなものだな。スオウ、カサネ、責任持って面倒みろよ。」


「じゃあ、クロスがおじいちゃんでカサネとスオウがおとうさんとおかあさんだね!」

カサネとスオウが頭を抱える中で、一人シュウが喜んでいた。



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