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神官は琥珀を胸に抱く2

11話から17話までの話のスオウ視点です。

やられた!

シアさんを追って、7日。森で休んでいた時、水を汲みに行ったカサネがいなくなった。急に霧が出てきて、水筒が転がっていた辺りに足跡が複数あった。攫われたんだ。僕は水筒を拾い上げた。

僕が守るって言ったのに。一人にしちゃいけなかったのに!

とにかく足跡を追わなきゃ。待ってて、カサネ!


「カサネ~!」

もうどのくらい探しているんだろう。足跡は途中で消えていた。

カイさんには、あせるなって言われるけど、カサネの不在が僕を不安にさせる。

早く、早く見つけなきゃ。

「カサネ~!!」

僕は一層声を大きくカサネを呼んだ。


馬を駆り、時折止まってはカサネを呼ぶ。

ふと声が聞こえた気がした。もう一度カサネを呼ぶ。

「スオウ~。」

カサネだ!

あわてて馬から降り、霧を払い、声のほうへと駆け寄る。カサネが心細そうに立っていた。

「ケガは?」

カサネの肩をつかんだ。

「だ、大丈夫。」

「…よかった…。」

ほっとして頭をカサネの肩に預ける。ああ、カサネがいる。


カサネがもらってきた地図で、宵の一族の館に行くことになった。シアさんはそこで、宵の一族の長になれと言われてるらしい。僕たち日の一族がいるんだから、宵の一族も生き残ってるのはわかるけど、8年前の事件がらみだとはね。なんか。大変なことに巻き込まれたなぁ。

最終的にカイさんと、長代理のユキトって人が決闘することになった。いい勝負だったけど、カイさんの勝ちって時にシアさんがユキトをかばった。死なせたくない、共に生きてほしいと。カイさんには、一生自分が見張ってるからと、言い切った。ソレスの館にいたときの儚い女性じゃなかった。

シアさんは欠けてたものを見つけたのかな。


行きの重苦しい旅とは違って、ソレスまでの帰り道は明るかった。

シアさんとユキトさんのいちゃいちゃはおいといて、ミオ姉もカイさんもリラックスしてたし、初恋談議なんて始めちゃったもの。僕まで話させられたのは、ちょっと…だったけど。

カサネは間違えてカイさんのお酒飲んじゃって、大変。真っ赤になってふらふらしたかと思うと倒れそうになるからあわてちゃったよ。抱きとめたら寝てたし。もうお酒は飲ませられないな、うん。


ソレスでは公爵が渋い顔で待ってた。まぁ、自分の娘を攫われただけでも大変なのに、その攫った男が娘を助けたことにして結婚するって言われたら、不機嫌になるよね。

最終的には許したけど、根に持ちそうだなぁ、公爵。

その夜、カイさんはミオ姉に求婚して受け入れてもらった。後で聞いたら、双方の両親と、王と女王の了承済みだったんだって。カイさん、外堀埋めまくりだなぁ。ダメだって言えないじゃないってミオ姉はこぼしてたけど、その顔はうれしそうだった。

カサネの反応が心配だったけど、カイさんとミオ姉は両方好きだから幸せになってほしいって、明るかった。カサネが泣かなくてよかった。どうも僕はカサネの涙に弱いみたいだ。


なんだかんだあって、予定より一月遅れで、王都に着いた。まず城で王と女王に帰還の挨拶。今度はゆっくりいらっしゃいとトゥーリア様に送り出されて、大神殿へ。

アカネ先生とカルラ先生、それに男女の見習いに迎えられた。見習いは同室になる男子寮長のハーンとカサネの同室で学年代表のササラだった。カサネはササラはもちろん、ハーンとも気軽に話してる。カサネを間にすぐ親しくなれた。

見習い生活は、思ったより楽しくなりそうだ。


僕は、ヴァナート王のいとこだ。傍系だけど日の王家の力の使い手でもある。里にいた頃には、おばばの後継者であることもあいまって、ちょっと遠ざけられるか、利用しようと近づいてくるかだった。

考えると、ただのスオウとして接してくれたのは、カサネが初めてかもしれない。ハーンとササラもそうだ。この3人の前でなら、素のままでいられる。神殿の中にも、城の中にも、近づいてくる男もつきまとう女もいるけど、そういう時には、笑顔の仮面をつけて、きっぱり断ってる。

カサネに近づこうとするのは、セナさんと協力して追っ払ってる。カサネはぜんぜん気がついてないけどね。


セナさんには、神殿について早々、大まかな理由を話して協力してもらうことになった。その時、カサネはずいぶん静かに泣くんですねと話したら、すごくびっくりされた。

「カサネは、家族の前でも、めったに涙を見せないんだ。スオウはずいぶん信頼されてるんだな。」

それを聞いて、こっちもびっくりしたよ。でも、まぁ、悪い気はしなかったけど。セナさんは、ちょっと気を悪くしたみたいだった。僕にも妹がいるから、気持ちはわかるよ、うん。



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